「障害者手帳を持っているから、障害年金も同じ等級で受け取れるはず」。そう考えて、障害年金の手続きをしていない方もいるかもしれません。
障害者手帳と障害年金は、どちらも障がいのある方の生活上の負担を軽減し、暮らしや社会参加を支えるための制度です。ただ、2つの関係を考えるうえで見落としやすい点が3つあります。手帳と年金は別の制度で、等級の決め方も違うこと。手帳を持っていても、障害年金を自動的に受け取れるわけではないこと。そして、精神障害者保健福祉手帳は、障害年金の年金証書で等級を認定できる場合があること。
ここでは、精神の障がいで障害年金2級を受け取っている人が、精神障害者保健福祉手帳を申請するケースをモデルに、この3つを日本年金機構と厚生労働省の資料で確かめます。
※編集部:本記事のケースは、日本年金機構と厚生労働省の資料をもとに設定した例です。
1. 手帳と年金は同じ等級?別の制度
まずは、2つの制度の違いからみていきましょう。
日本年金機構の「障害等級表」には、障害年金の等級(1級〜3級)について「身体障害者手帳の等級とは異なります」と記されています。手帳と年金は、根拠となる法律も、等級の段階も、申請先も違う制度です。
- 【障害年金】国民年金法・厚生年金保険法にもとづき、1級・2級(障害厚生年金は3級まで)。請求先は年金事務所など
- 【身体障害者手帳】身体障害者福祉法にもとづき、重度の側から1級〜6級。都道府県知事などが交付
- 【精神障害者保健福祉手帳】精神保健福祉法にもとづき、1級〜3級。申請は市町村の窓口を経由して都道府県知事などに行う
たとえば身体障害者手帳が4級でも、障害年金の等級がそれに合わせて決まるわけではありません。障害年金の等級は、障害等級表と障害認定基準にもとづいて、年金の制度の中で判断されます。
2. 手帳があれば年金も?判定は別
では、手帳を持っていれば、障害年金も受け取れるのでしょうか。
厚生労働省が精神障害者保健福祉手帳の制度を始めたときに示した疑義照会への回答では、手帳を取得しているからといって自動的に障害年金が取得できるという関係には無く、通常の年金の判定手続が必要だとしています。
障害年金を受け取るには、手帳とは別に、初診日や保険料の納付などの要件を満たしたうえで、年金の請求手続きをする必要があります。手帳を持っていることで、年金の手続きが省略されるわけではありません。
3. 精神の手帳は?年金証書で申請可
一方、逆の方向には結びつきがあります。精神の障がいを支給事由とする障害年金を受けている人は、精神障害者保健福祉手帳を申請するときに、年金証書などの写しを使うことができます。
厚生労働省の通知では、年金証書等の写しによる手帳の等級の認定は、年金1級であれば手帳1級、年金2級であれば手帳2級、年金3級であれば手帳3級としています。モデルケースでは、障害年金2級の年金証書などの写しを出すことで、手帳は2級として認定されることになります。
年金証書等の写しで精神障害者保健福祉手帳を申請した場合の等級の認定です。3/6
出所:厚生労働省「年金証書等の写しによる精神障害者保健福祉手帳の障害等級の認定事務についての一部改正について」をもとにLIMO編集部作成
※この場合、障がいの種別や等級、現に年金を受けていることを確認するため、年金証書のほか、直近の年金振込通知書などの写しが求められます。必要な書類は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
ここからは、手帳の有効期間と、申請のときに注意したい点を確かめます。