「車を1台持つと、1年でいくらかかるのか」。よく見かける維持費の平均には、任意保険料や整備の費用のように契約や車の状態で大きく変わるものも含まれているため、その金額が自分に当てはまるとは限りません。
そうしたなかで、2026年11月から自賠責保険料(自動車損害賠償責任保険の保険料)が引き上げられます。金融庁によると、全車種の平均で6.2%の引き上げです。
この記事では、車の維持費を「国の制度で額が決まる費用」と「契約や使い方で変わる費用」に分け、自賠責保険料の新旧と税金を一次資料で確かめます。そのうえで、軽自動車・1.5リットル車・2リットル車の年間の維持費を試算します。
1. 【自賠責保険料】11月から車の維持費が上がる
自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている保険です。車検を受けるときは、次の車検までの期間をカバーする契約をまとめて結ぶのが一般的です。
金融庁の自動車損害賠償責任保険審議会は2026年4月30日、新しい基準料率を2026年11月から適用することについて答申しました。保険金の支払いを将来まかなえる水準に戻すことと、賃金・物価の上昇で事業費が増えていることが理由として挙げられています。
1.1 自家用乗用車は2年契約で910円上がる
審議会の資料によると、離島以外の地域(沖縄県を除く)の自家用乗用車は、24か月契約が1万7650円から1万8560円になります。上がる額は910円で、率にすると5.2%です。
36か月契約は、2万3690円から2万4690円に上がります。こちらは1000円の引き上げです。
1.2 軽自動車は乗用車より高くなる
軽自動車(検査対象車)の24か月契約は、1万7540円から1万8660円になります。上がる額は1120円で、自家用乗用車より上げ幅が大きいのです。
これまでは軽自動車のほうが110円安かったのですが、11月からは軽自動車が100円高くなります。36か月契約も、2万3520円から2万4830円へ1310円上がります。
自賠責保険料は2026年11月から引き上げ。軽自動車の24か月契約は1万8660円で自家用乗用車を上回る1/2
出所:金融庁 自動車損害賠償責任保険審議会「自賠責保険基準料率改定の届出について」をもとにLIMO編集部作成
- 自家用乗用自動車・24か月契約:1万7650円→1万8560円(910円増)
- 自家用乗用自動車・36か月契約:2万3690円→2万4690円(1000円増)
- 軽自動車(検査対象車)・24か月契約:1万7540円→1万8660円(1120円増)
- 軽自動車(検査対象車)・36か月契約:2万3520円→2万4830円(1310円増)
- 全車種の平均:6.2%の引き上げ
2. 車の維持費のうち国の制度で決まる3つの費用
車の維持費には、ガソリン代や任意保険料、整備の費用のように使い方や契約で変わるものと、制度で額が決まるものがあります。制度で決まるのは、毎年かかる自動車税(軽自動車は軽自動車税)、車検ごとに納める自動車重量税、そして自賠責保険料の3つです。
2.1 家計調査の平均には任意保険と整備も入る
総務省「家計調査」によると、2025年の二人以上の世帯の「自動車等維持」の支出は、1世帯あたり年22万4338円でした。このうち自動車保険料(任意)は4万1143円、自動車整備費は3万3830円で、自動車保険料(自賠責)の7133円を大きく上回ります。
この平均には車を持たない世帯も含まれるので、車を持つ世帯の負担はこれより重くなります。また、任意保険料は補償の内容や運転する人の年齢で、整備費は車の状態や年数で変わるため、平均の金額をそのまま自分の維持費とみなすことはできないのです。
そこでここからは、だれが持っても同じ額になる税金と自賠責保険料を先に確かめ、そのあとでガソリン代を走る距離に合わせて足していきます。
2.2 毎年かかる自動車税と軽自動車税
自動車税の標準税率は地方税法で決まっていて、自家用乗用車は総排気量で額が変わります。東京都主税局の税率表では、2019年10月1日以後に初めて登録した車の年額は次のとおりです。
- 1リットル以下:2万5000円
- 1リットル超1.5リットル以下:3万500円
- 1.5リットル超2リットル以下:3万6000円
- 2リットル超2.5リットル以下:4万3500円
2019年9月30日以前に初めて登録した車は、1.5リットル以下が3万4500円のように額が少し高くなります。なお「自動車税種別割」は、2026年4月1日から「自動車税」に名前が変わりました。
軽自動車税は市区町村の税で、総務省によると、2015年4月1日以後に最初の新規検査を受けた自家用の軽四輪乗用車は年1万800円です。それより前に新規検査を受けた車は年7200円のままです。
2.3 車検ごとに納める自動車重量税
自動車重量税は、車検のときに次の車検までの分をまとめて納める国の税です。財務省の資料によると、自家用乗用車は車両重量0.5トンごとに1年あたり4100円で、2年ごとの車検なら0.5トンあたり8200円になります。
たとえば車両重量が1トン超1.5トン以下の車は、1年あたり1万2300円、車検2年分で2万4600円です。軽自動車は重さに関係なく1年あたり3300円で、エコカー減税の対象車などは、これより低い本則税率(自家用乗用車は0.5トンごとに年2500円)が使われます。
3. 【車の維持費の試算】軽自動車は年7万5030円
ここまでの額をもとに、3つの車で1年あたりの維持費を計算しました。ガソリン代は総務省「小売物価統計調査」の東京都区部のレギュラーガソリン(セルフサービス式を除く)の2026年9月の価格、1リットル172円を使っています。
前提は、自家用で登録から13年未満、エコカー減税の対象外、年6000キロメートル走る場合です。燃費は軽自動車を1リットル20キロメートル、1.5リットル車を15キロメートル、2リットル車を12キロメートルと仮定しました。
3.1 税金と自賠責保険料だけで年2万3430円から
自動車税・軽自動車税、自動車重量税、自賠責保険料の3つを1年あたりに直すと、軽自動車は2万3430円、1.5リットル車は5万2080円、2リットル車は6万1680円です。重量税と自賠責保険料は、車検2年分の額を2で割りました。
3.2 ガソリン代を足した合計
ガソリン代は、軽自動車が年5万1600円、1.5リットル車が6万8800円、2リットル車が8万6000円です。合計すると、軽自動車は年7万5030円、2リットル車は年14万7680円になり、2倍近い開きがあります。
例)年6000キロメートル走る場合 車の維持費は軽自動車で年7万5030円、2リットル車で年14万7680円2/2
出所:財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料」、金融庁「自賠責保険基準料率改定の届出について」、総務省統計局「小売物価統計調査」などをもとにLIMO編集部作成
- 軽自動車:軽自動車税1万800円、自動車重量税3300円、自賠責保険料9330円(小計2万3430円)、ガソリン代5万1600円、合計7万5030円
- 1.5リットル車:自動車税3万500円、自動車重量税1万2300円、自賠責保険料9280円(小計5万2080円)、ガソリン代6万8800円、合計12万880円
- 2リットル車:自動車税3万6000円、自動車重量税1万6400円、自賠責保険料9280円(小計6万1680円)、ガソリン代8万6000円、合計14万7680円
※試算の前提:1.5リットル車は車両重量1トン超1.5トン以下、2リットル車は1.5トン超2トン以下とし、自賠責保険料は2026年11月からの24か月契約の額を使っています。任意保険料、駐車場代、車検の整備費用、オイル交換などは含みません。
制度で決まる税金と自賠責保険料だけでも、軽自動車で年2万3430円、2リットル車では年6万1680円かかります。自分の車の総排気量と車両重量は車検証に書かれているので、手元の車検証と毎年届く納税通知書で確かめてみてください。
ここからは、登録から13年を超えた車の税金と、走る距離によってガソリン代がどれだけ変わるかを見ていきます。