会社勤めを続けたまま75歳を迎えると、本人は会社の健康保険から後期高齢者医療制度へ移ります。このとき、扶養に入っていた75歳未満の妻は、その日に会社の健康保険の被扶養者ではなくなるのです。
総務省統計局が2026年9月に公表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の就業者は943万人と過去最多で、就業者全体の13.8%を占めています。働き続ける人が増えるなか、夫の75歳到達とともに妻が新たに保険料を払う側に回るケースは見落とされがちです。
本記事では、妻が入る保険の選択肢と届出の期限、国民健康保険料の軽減のしくみを整理します。
1. そもそも夫が75歳になると、扶養されていた妻の保険はどうなる?
後期高齢者医療制度は75歳以上の人が一人ひとり加入する制度で、扶養という考え方がありません。
そのため、会社の健康保険に加入していた夫が75歳の誕生日に後期高齢者医療制度へ移ると、扶養されていた妻は同じ日に会社の健康保険の資格を失うことになります。
さいたま市の案内でも、被扶養者は他の人の扶養に入るか、国民健康保険などに加入する手続きが必要とのことです。
夫の誕生日が、妻にとっては保険を切り替える日になると考えておきましょう。なお、夫がもともと国民健康保険に加入している場合、国民健康保険に扶養という考え方がないため、この切り替えは起こりません。
2. 妻が入る保険の選択肢と、届出の期限は?
75歳未満の妻が入る保険は、主に次の2つです。
- 住所地の市区町村の国民健康保険に加入する
- 子どもなど、会社の健康保険に加入している家族の被扶養者になる(収入などの要件を満たす場合)
国民健康保険に加入する場合、名古屋市の案内では、退職などで加入するときは14日以内に届け出るよう求めています。
届出が遅れた場合でも、保険料は加入する事実が発生した月までさかのぼってかかるしくみです。一方で、14日以内の届出期限を過ぎた場合、保険給付は原則として届け出た日からとなり、届出日の前日までの医療費は全額自己負担になると案内されています。
3. 国民健康保険料はいくら?65歳以上なら軽減がある
会社の健康保険の被扶養者だった妻は、それまで自分で保険料を払っていませんでした。国民健康保険に加入すると、妻本人の分の保険料がかかるようになります。
ただし、夫の後期高齢者医療制度への移行で国民健康保険に加入した65歳以上75歳未満の人(旧被扶養者)には、保険料を軽くするしくみがあるので確認しておきましょう。
- 所得割:当分の間、免除
- 均等割:加入から2年(24か月)を経過する月まで5割軽減
- 対象:加入時点で65歳以上75歳未満の人
杉並区の案内では、この減免を受けるには国民健康保険の加入手続きの際に申し出て、減免申請書を提出する必要があるとされています。申請が不要で自動的に適用される自治体もあるため、加入手続きの際に確認してください。
3.1 名古屋市の令和8年度の料率で計算すると
名古屋市の令和8年度の国民健康保険料は、1人あたりの均等割が医療分5万591円、支援金分1万5784円です。
たとえば65歳以上の妻の場合、医療分と支援金分の均等割は合わせて年6万6375円になります。旧被扶養者の減免で均等割が5割軽減されると、この部分はおよそ3万3000円です。所得割も免除されるため、加入から2年間は保険料の負担がかなり抑えられる計算になります。
実際の保険料は、子ども・子育て支援納付金分の有無や世帯の所得、住んでいる自治体の料率によって変わる点に注意が必要です。正確な金額は、住所地の市区町村の国民健康保険の窓口で確認してください。
会社の健康保険に加入する夫が75歳になると、扶養されていた75歳未満の妻は夫の誕生日に被扶養者の資格を失います。
国民健康保険に加入する場合は、14日以内の届出が必要です。
65歳以上の妻であれば、所得割の免除と均等割の5割軽減を受けられる場合があります。夫の誕生日が近づいたら、妻の保険をどうするか夫婦で話し合っておくと安心です。
次のページでは、64歳以下の妻の扱いや届出が遅れた場合など、保険の切り替えで注意したい点を解説します。