朝晩の冷え込みが強まり、冬用の布団や衣類を出す時期になりました。台風や大雨、火災などで寝具や衣類を一度に失うと、生活保護を受けている世帯にとっては買いそろえる負担が大きくなります。

厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」には、災害で失った布団類や日常着る被服をまかなえない場合の被服費の上限が、世帯人員別に夏季と冬季で分けて定められています。

この記事では、冬季(10月から3月)に2人世帯まで4万300円以内とされている被服費について、対象になる場面と上限額を確認します。

1. 生活保護を受けている世帯は令和8年7月分で164万4102世帯、衣類の費用は毎月の生活扶助が基本

はじめに、生活保護を受けている世帯の状況と、被服費が保護費のなかでどう扱われているかを厚生労働省の資料で確認します。

1.1 生活保護を受けている人は196万9655人、高齢者世帯が55.2%

厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。

保護を停止している世帯を除いた163万5284世帯のうち、高齢者世帯は90万3116世帯で55.2%を占めています。

1.2 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、衣類は生活扶助の範囲でまかなう

生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に差額が保護費として支給されます。

厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」では、生活扶助は食費・被服費・光熱水費等の日常生活に必要な費用にあたると説明されています。

生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在、児童養育加算等を含む)1/2

3人世帯・高齢者単身世帯・高齢者夫婦世帯・母子世帯の生活扶助基準額を東京都区部等と地方郡部等で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」を参考にLIMO編集部作成

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
  • 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円

実施要領等には、被服費などの日常の諸経費は本来この毎月の生活費の範囲で計画的に買い替えていくものだと書かれています。一時扶助は、最低生活に欠かせない物がなく、緊急やむを得ない場合に限って臨時に認められる扱いです。

2. 生活保護の被服費、災害で布団類や衣類を失ったときの上限は冬季の2人世帯まで4万300円

一時扶助の被服費には、災害で失った布団類や日常着る被服をまかなうための上限額があります。局長通知にもとづき、対象と額を見ていきます。

2.1 対象は災害救助法第4条の救助が行われない場合

局長通知が対象としているのは、災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合です。そのうえで、地方公共団体などの救護では、最低生活に直接必要な布団類や日常着用する被服をまかなえないことが条件になります。

災害救助法の救助が行われる規模の災害では、まずそちらの救助が優先される考え方です。

2.2 世帯人員別の上限額は夏季と冬季で分かれる

上限額は、4月から9月までの夏季と、10月から3月までの冬季で分けて定められています。

災害で失った布団類・被服の被服費の上限(世帯人員別、夏季と冬季)2/2

災害で失った布団類と被服の被服費の上限を、2人まで・4人まで・5人の世帯人員別に夏季と冬季で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」を参考にLIMO編集部作成

  • 2人まで:夏季2万2500円以内、冬季4万300円以内
  • 4人まで:夏季4万2800円以内、冬季6万8200円以内
  • 5人:夏季5万5000円以内、冬季8万6800円以内
  • 6人以上:1人増すごとに夏季8000円以内、冬季1万1900円以内を加算

2人までの世帯では、冬季の上限は夏季より1万7800円高くなっています。厚手の布団や冬物の衣類が必要になる季節の分が、額に反映されている形です。

生活保護の被服費は、本来は毎月の生活扶助でまかなうものです。そのうえで、災害救助法の救助が行われない災害で布団類や衣類を失った場合には、冬季なら2人世帯まで4万300円以内という上限が定められています。

被害を受けたときは、なくしたものを書き出し、住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当に早めに伝えておくと、必要な支給の相談につながります。

ここからは、災害のとき以外に布団類や衣類の費用が認められる場面と、それぞれの上限額を見ていきます。