生活保護を受けながら働くと、給料の分だけ保護費が減ってしまうのではと心配になる人もいるでしょう。
生活保護では、働いて得た収入から「基礎控除」などの勤労控除を差し引いてから収入として認定します。基礎控除の額は、厚生労働省の通知「生活保護法による保護の実施要領について」の別表「基礎控除額表」で、月の就労収入ごとに決められています。
この記事では、就労収入の額ごとに基礎控除がいくらになるのかを、基礎控除額表で確認します。
※生活保護法第1条は、国が生活に困っているすべての国民に、困っている程度に応じた保護を行い、最低限度の生活を保障して自立を助けることを、この制度の目的としています。病気やけが、障害、高齢、失業、介護や子育てなど、保護を受けるまでの事情は一人ひとり違います。本記事は、制度を必要とする方が安心して利用できるよう、制度の内容等をお伝えするものです。
1. 生活保護の勤労控除、月10万円の就労収入なら基礎控除は2万3600円
まず、基礎控除額表から、代表的な収入の額にあたる基礎控除を抜き出します。
1.1 就労収入が増えると基礎控除も段階的に増える
基礎控除額表は、収入金額を区分ごとに分け、それぞれの基礎控除の額を示しています。月1万5000円までの収入は全額が控除され、それを超えると区分ごとに控除額が増えていきます。
月の就労収入が10万円なら基礎控除は2万3600円、15万円なら2万8400円です。
1.2 2人目以降の就労者は控除額が低い
世帯のなかで2人以上が働いている場合は、収入が最も多い人に「1人目」の欄を、ほかの人に「2人目以降」の欄を当てはめます。
月10万円の収入で比べると、1人目は2万3600円、2人目以降は2万60円です。
【1人目】
- 3万円:1万6400円
- 5万円:1万8400円
- 8万円:2万1600円
- 10万円:2万3600円
- 15万円:2万8400円
【2人目以降】
- 3万円:1万5000円
- 5万円:1万5640円
- 8万円:1万8360円
- 10万円:2万60円
- 15万円:2万4140円
2. 働いている人がいる生活保護世帯は2026年7月に25万7309世帯
勤労控除の対象になる、働いている人がいる世帯の数を、厚生労働省が2026年10月7日に公表した被保護者調査(令和8年7月分概数)の閲覧表で見ておきます。
2.1 保護停止中を除く世帯の15.7%
保護停止中を除く163万5284世帯のうち、世帯主か世帯員が働いている稼働世帯は25万7309世帯でした。全体の15.7%にあたります。
働いている人がいない非稼働世帯は137万7975世帯です。
2.2 世帯主が常用で勤務している世帯が16万3070世帯
稼働世帯のうち、世帯主が常用で勤務している世帯は16万3070世帯で、最も多くなっています。
- 世帯主が常用で勤務:16万3070世帯
- 世帯主が日雇:2万1550世帯
- 世帯主が内職:1万4942世帯
- 世帯主がその他の就労:3万629世帯
- 世帯主は働いていないが世帯員が働いている:2万7118世帯
3. 生活保護の保護費は、最低生活費と認定した収入の差額
勤労控除がなぜ手元に残るお金につながるのかを、保護費の決まり方から確認します。
3.1 基礎控除を差し引いた後の額が収入として認定される
生活保護の保護費は、国の基準で計算した最低生活費から、認定した収入を差し引いた差額です。
月10万円の就労収入で基礎控除が2万3600円なら、収入として認定されるのは7万6400円です。社会保険料や通勤費などの実費は、ここからさらに差し引かれます。
3.2 控除された分は保護費と給料をあわせた手取りに残る
保護費は認定した収入の分だけ減るため、控除された額は保護費を減らしません。そのぶん、保護費と給料をあわせた世帯の手取りが、働かない場合より多くなります。
月10万円の就労収入なら基礎控除は2万3600円で、2026年7月時点では25万7309世帯が働きながら生活保護を受けています。
自分の収入がどの区分にあたるかは、給与明細の総支給額を基礎控除額表に当てはめると目安がわかります。
続いて、収入区分の決まり方と、新規就労控除・20歳未満控除、収入を申告するときの注意点を見ていきます。