仕事に就くために資格を取りたい、運転免許が必要な求人に応募したいと考えても、受講料や教習費用を用意できないことがあります。生活保護には、働くための技能の修得や就職の準備を支える生業扶助があります。
生業扶助のうち技能修得費の基準額は、2026年4月から9万2000円以内に引き上げられました。厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領」では、専修学校での修得や自動車運転免許の取得などについて38万円の範囲内まで認める特別基準も定めています。
この記事では、技能修得費と就職支度費の額と、特別基準が使える場合を確認します。
1. 生活保護の生業扶助は、生業費・技能修得費・就職支度費に分かれる
生業扶助は、生活保護の8つの扶助の一つです。高校の就学費用もここに含まれますが、働くための費用としては生業費、技能修得費、就職支度費の3つがあります。
1.1 技能修得費は9万2000円以内、就職支度費は3万5000円以内に
2026年4月施行の改正で、技能修得費(高等学校等就学費を除く)の基準額は9万円以内から9万2000円以内に、就職支度費は3万4000円以内から3万5000円以内に上がりました。
小規模の事業を営むための資金や器具にあてる生業費の基準額は4万7000円以内です。
1.2 技能修得の期間は原則1年、効果が認められれば2年まで
技能修得費は、技能修得の期間が1年以内の場合に、1年を限度として算定します。世帯の自立更生に特に効果があると認められる技能修得は期間を2年以内とし、1年につき技能修得費の範囲内の額を2年を限度に算定します。
技能修得のために交通費が必要な場合は、その実費が加算されます。
2. 技能修得費の特別基準は、15万4000円から38万円まで段階がある
実施要領では、基準額の9万2000円では足りない場合に、特別基準として認定できる範囲を段階ごとに定めています。
2.1 基準額で足りないときは15万4000円、自立支援プログラムで複数回なら年24万6000円
技能修得費として認められる経費が基準額によりがたく、やむを得ない事情があるときは、15万4000円の範囲内で認定できます。
福祉事務所の自立支援プログラムに基づいて、1年間に複数回の技能修得費が必要な場合は、年額24万6000円の範囲内です。
2.2 専修学校・自動車運転免許・指定講座は38万円の範囲内
15万4000円を超えて費用が必要で、次のいずれかにあたるときは、38万円の範囲内で認定できます。給付は必要と認められる最小限度の額を確認したうえで、その都度分割して行われます。
- 生計の維持に役立つ生業に就くため、専修学校や各種学校で技能を修得する場合で、世帯の自立助長に役立つことが確実に見込まれるとき
- 自動車運転免許を取得する場合(免許の取得が雇用の条件になっているなど、確実に就労するために必要な場合に限る)
- 雇用保険法の教育訓練給付金の対象として厚生労働大臣が指定する講座を受講する場合で、世帯の自立助長に効果的と認められるとき
生業扶助の技能修得費は、基準額9万2000円以内を基本に、事情に応じて15万4000円、年24万6000円、38万円と範囲が広がります。
受けたい講座や教習所が決まったら、申し込む前に福祉事務所の担当者に計画と見積もりを示して、対象になるかを確かめることができます。
次のページでは、技能修得費で認められる経費の中身と、就職が決まったときの就職支度費の使い方を見ていきます。