夫を亡くした妻が受け取る遺族厚生年金には、一定の条件を満たすと、40歳から65歳になるまで年金額が上乗せされる仕組みがあります。

それが「中高齢の寡婦加算(中高齢寡婦加算)」で、2026年度の加算額は年63万5500円です。

ただし、同じように夫を亡くしても、そのときの妻の年齢や子の年齢によって、加算を受け取れる人と受け取れない人に分かれます。

この記事では、中高齢寡婦加算の金額と仕組みを確認したうえで、夫を亡くしたときの妻と子の年齢別に4つのケースで受け取り方を整理します。見落としやすい注意点や、2028年4月からの見直しの内容もあわせて解説します。

1. 中高齢寡婦加算とは?2026年度は年63万5500円

中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金を受け取る妻のうち、40歳以上65歳未満の方に対して、遺族厚生年金に上乗せして支給されるものです。

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中高齢寡婦加算の金額と受け取れる妻

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」をもとにLIMO編集部作成

1.1 月あたりでは約5万3000円の上乗せ

2026年度の加算額は年63万5500円で、月あたりに換算すると約5万3000円です。

加算額は夫の厚生年金の加入期間や給与の額には左右されず、条件を満たした妻には一律の額が加算されます。

仮に40歳から65歳になるまでの25年間受け取った場合、2026年度の額で単純計算すると約1589万円になります。実際の額は年度ごとに改定されるため、あくまで目安です。

1.2 受け取れるのは2つのパターンのどちらかに当てはまる妻

中高齢寡婦加算を受け取れるのは、遺族厚生年金を受け取る妻のうち、次のどちらかに当てはまる方です。

  • 夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた「子のある妻」(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る)が、子が18歳になった年度の3月31日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった

つまり、子がいない妻は「夫を亡くした時点の年齢」、子がいる妻は「40歳の時点で遺族基礎年金を受けていたか」が分かれ目になります。

2. 夫を亡くしたときの妻と子の年齢で変わる4つのケース

具体的に、夫を亡くしたときの妻と子の年齢によって、中高齢寡婦加算がどうなるかを4つのケースで見ていきましょう。

夫を亡くしたときの年齢別・中高齢寡婦加算の受け取り方(例)2/3

夫を亡くしたときの年齢別・中高齢寡婦加算の受け取り方(例)

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」をもとにLIMO編集部作成

2.1 ケース1:妻45歳・子なし→65歳まで20年間加算

夫が亡くなったときに妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいないため、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が上乗せされます。

45歳から65歳になるまでの20年間が加算の対象期間です。

2.2 ケース2:妻36歳・子8歳→子の18歳年度末のあとから加算

子が18歳になった年度の3月31日までは、遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金(子の加算額を含む)を受け取ります。

妻は遺族基礎年金を受けている間に40歳に達しているため、子が18歳の年度末を迎えて遺族基礎年金が終わったあと(妻が46歳ごろ)から、65歳になるまで中高齢寡婦加算が上乗せされます。

遺族基礎年金が終わるタイミングで加算が始まるため、受け取る年金額の落ち込みを和らげる役割があります。

2.3 ケース3:妻30歳・子14歳→加算はない

子が18歳になった年度の3月31日を迎えて遺族基礎年金が終わるのは、妻が34歳ごろです。

妻が40歳に達した時点ではすでに遺族基礎年金を受けていないため、子がいた場合でも中高齢寡婦加算は加算されません。

遺族厚生年金そのものは、その後も受け取ることができます。

2.4 ケース4:妻38歳・子なし→40歳になっても加算はない

夫が亡くなったときに妻が40歳未満で、子もいない場合は、中高齢寡婦加算の対象になりません。

その後に妻が40歳になっても、あとから加算が始まることはありません。

なお、夫が亡くなったときに30歳未満で子のない妻の場合、遺族厚生年金自体が5年間の有期給付となります。

ここからは、条件を満たしていそうでも加算を受け取れないケースなど、見落としやすい点を確認していきます。