3. 死亡退職金を受け取る遺族は法律や勤務先の規程で決まる

死亡退職金を誰が受け取るかは、相続税の計算とは別に決まります。国家公務員は法律で定められ、会社員は勤務先の規程が基準になります。

3.1 国家公務員は退職手当法で遺族の順位が決まっている

国家公務員の場合は、国家公務員退職手当法が退職手当を受ける遺族の範囲と順位を定めています。順位は次のとおりです。

  • 1位:配偶者(届出をしていないが事実上の婚姻関係にあった人を含む)
  • 2位:子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、職員の死亡当時、主としてその収入で生計を維持していた人
  • 3位:2位のほか、職員の収入で主として生計を維持していた親族
  • 4位:子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、2位に当たらない人

同じ順位の人が2人以上いるときは、人数で等分して支給されます。生計を維持されていたかどうかで順位が変わるため、民法の相続順位とは決まり方が違うのです。

3.2 会社員は退職金規程で受け取る人を確かめる

会社員の死亡退職金は、勤務先の退職金規程などにもとづいて支払われます。受け取る遺族の範囲や順位も、まずは規程で確かめておきたいところです。

相続税の非課税枠が使えるのは、相続人が受け取った分だけです。規程で相続人以外の人が受取人になっている場合、その人が受け取った分は非課税になりません。

4. 支給の確定が死亡から3年を過ぎた死亡退職金の税金

死亡退職金が相続税の対象になるのは、死亡後3年以内に支給額が確定したものでした。では確定が3年を過ぎたらどうなるのか、国税庁の質疑応答事例で確認します。

4.1 退職金規程があれば亡くなった時点で額が決まる

国税庁の質疑応答事例では、退職給与規程にもとづいて退職金が支給される従業員は、退職と同時に支給額が確定すると説明しています。そのため、実際の支払いが死亡から3年を過ぎてからでも、相続税の対象になる退職手当金等に当たります。

4.2 役員などは決議が3年を過ぎると一時所得に

一方、退職給与規程の適用がない役員などは、株主総会など正当な権限を持つ機関の決議があったときに支給額が確定します。その決議が死亡から3年を過ぎて行われた場合、遺族が受け取る退職金は相続税ではなく、遺族の所得税(一時所得)の対象になります。

5. 死亡退職金を含む相続税の申告期限と配偶者の税額軽減

死亡退職金の課税対象分を含めた遺産が基礎控除を超えるときは、相続税の申告が必要です。期限と、配偶者が遺産を受け取る場合の軽減を見ておきます。

5.1 申告と納税は10か月以内

相続税の申告は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内に行います。たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が申告期限で、納税も同じ期限までに行います。

5.2 配偶者の税額軽減

配偶者が実際に取得した遺産は、1億6000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までなら、配偶者に相続税がかかりません。この軽減を受けるには、明細を書いた相続税の申告書に、配偶者が取得した財産が分かる書類を添えて提出します。

6. まとめにかえて

会社員の定年退職の平均退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1896万円でした。在職中に亡くなった場合、本人が受け取るはずだった退職金は死亡退職金として相続税の対象になります。

非課税は「500万円×法定相続人の数」までで、配偶者と子2人なら1500万円です。課税対象に加わる分も、ほかの遺産と合わせて基礎控除の範囲に収まれば相続税はかかりません。

受け取る遺族の範囲は、法律や勤務先の退職金規程で決まります。相続税の申告が必要か迷うときは、税務署や税理士に相談してみてください。

参考資料

太田 彩子