病気やけがにより、これまでのように働くことが難しくなり、これからの収入や生活に不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのようなとき、経済的な支えとなるのが「障害年金」です。
しかし、「制度の存在は知っているけれど、実際に自分がいくら受け取れるのか分からない」と悩む方も少なくありません。障害年金は、予期せぬ病気やけがによって就労や日常生活に支障が生じた際、暮らしを支える大切なセーフティネットとなる公的年金であり、原則として現役世代の方も受け取ることができます。
ただ、実際に受け取れる金額を考えるうえで、見落としやすいポイントが3つあります。それは、「初診日に加入していた年金制度」「障害の等級」、そして「家族の状況による加算」です。
ここでは、日本年金機構が公表している最新の年金額(※令和8年度)をもとに、ご自身の状況によって金額がどう変わるのか、これら3つのポイントを詳しく解説します。
※編集部:本記事のケースは、日本年金機構の資料をもとに設定した試算例です。
1. 1級・2級はいくら?2級は年84万7300円
まずは、すべての人に共通する「障害基礎年金」の額からみていきましょう。
日本年金機構によると、障がいの原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に国民年金に加入していた場合などは、障害等級1級・2級に該当すると障害基礎年金が支給されます。令和8年4月分からの年額は次のとおりです(昭和31年4月2日以後生まれの方)。
- 【1級】年105万9125円(月約8万8000円)
- 【2級】年84万7300円(月約7万600円)
生計を維持している子どもがいる場合は、子どもの人数に応じた加算もあります。
※子とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。
2. 会社員・公務員など厚生年金に加入していた人は? 厚生年金が上乗せ
初診日に厚生年金に加入していた場合、つまり会社員や公務員として働いていた間に初診日がある場合は、障害基礎年金に「障害厚生年金」が上乗せされます。障がいの状態が2級に当たらない場合でも、3級の認定基準に該当すれば、障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金の額は、これまでの給与や加入期間をもとにした「報酬比例の年金額」で決まります。加入期間が300月(25年)に満たない場合は、300月とみなして計算します。
平均標準報酬額(賞与を含めた月の報酬の平均)が30万円の人をモデルに試算しました。
- 【報酬比例の年金額】30万円×5.481/1000×300月で、約49万3300円
- 【2級】障害基礎年金84万7300円+障害厚生年金約49万3300円で、年約134万600円(月約11万2000円)
- 【3級】報酬比例の年金額が最低保障額を下回るため、最低保障額の年63万5500円(月約5万3000円)
平均標準報酬額30万円の人の、等級ごとの障害年金の額を試算しました(単身の場合)。2/6
出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「報酬比例部分」をもとにLIMO編集部作成
※試算の前提:加入期間はすべて平成15年4月以降で300月未満とし、300月とみなしています。再評価率などは考慮していない概算です。1級の障害厚生年金は報酬比例の年金額の1.25倍です。
同じ2級でも、初診日に厚生年金に加入していたかどうかで、年額に約49万円の差がつく計算です。
3. 家族がいると?配偶者と子に加算
障害年金には、家族の状況に応じた加算もあります。1級・2級の場合、障害基礎年金には子の加算、障害厚生年金には、生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに配偶者の加給年金額(年24万3800円)が加わります。
2級の場合で、家族の状況ごとに年額を比べました。
- 【自営業などで単身】障害基礎年金のみで、年84万7300円
- 【自営業などで子ども2人】子の加算48万7600円が加わり、年133万4900円
- 【会社員で配偶者と子ども2人】配偶者の加給年金額と子の加算が加わり、年約207万2000円
2級の場合の障害年金の額を、家族の状況ごとに試算しました。3/6
出所:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」をもとにLIMO編集部作成
※試算の前提:会社員のケースは前の章と同じく平均標準報酬額30万円、300月とみなしています。配偶者が一定の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合などは、配偶者の加給年金額は支給停止されます。
障害年金の額は、等級だけでなく、初診日に入っていた年金制度や家族の状況によって大きく変わります。ご自身の場合の金額は、年金事務所などで確かめることが大切です。
ここからは、障害年金を受け取るための要件と、請求の時期を確かめます。