夫に先立たれたとき、子どもがまだ小さい専業主婦の妻は、遺族年金をいつまで、いくら受け取れるのか。見通しを持てている方は多くないのではないでしょうか。

会社員の夫が亡くなった場合、40歳の専業主婦・子ども2人(12歳と8歳)の世帯が最初に受け取る遺族年金は、年182万8190円(月約15.2万円)です。ただし、子どもが18歳になった年度の末日を迎えるたびに額は減ります。

この記事では、令和8年度の金額で、遺族年金が3つの段階で変わる様子と、妻が65歳までに受け取る総額を試算します。

1. 前提:40歳の専業主婦・子ども2人、会社員の夫が亡くなった場合

試算の前提は、編集部が置いた仮定です。

  • 夫:42歳の会社員。厚生年金の加入期間は20年(240月)、平均標準報酬額は40万円(年収の目安は約480万円)
  • 妻:40歳の専業主婦。収入はなく、生計は夫に維持されていた
  • 子ども:長男12歳、長女8歳(いずれも18歳になった年度の末日より前)
  • 夫は令和8年度中に、厚生年金に加入している間に亡くなり、年金の納付要件を満たしている
  • 金額は令和8年度の額で固定する

1.1 遺族年金の仕組みと、令和8年度の額

日本年金機構の資料をもとに、計算に使う仕組みを確認します。遺族年金は、会社員の夫が亡くなった場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで受け取れます。

遺族基礎年金は、「子のある配偶者」と「子」が対象です。令和8年度の額は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者の場合、84万7300円に子の加算額を足した額です。子の加算額は、1人目と2人目が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円です。「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子を指します。

遺族厚生年金は、亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分は、平成15年4月以降の期間であれば「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」で計算します。在職中に亡くなった場合などは、加入期間が300月に満たなくても300月とみなします。

この前提では、夫の報酬比例部分は「40万円×5.481÷1000×300月」で年65万7720円、その4分の3の年49万3290円が遺族厚生年金です。子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間は、子には遺族基礎年金は支給されません。

2. 受け取る額は、3つの段階で変わる

遺族基礎年金は、子が18歳になった年度の3月31日までしか受け取れません。そのため、子どもの成長にあわせて、受け取る額が段階的に変わります。

2.1 段階1:子ども2人が18歳年度末まで(年182万8190円)

最初は、子ども2人が対象の間です。遺族基礎年金は133万4900円(84万7300円+24万3800円×2人)、遺族厚生年金は49万3290円で、合計は年182万8190円、月にすると約15万2349円です。

この段階は、長男が18歳になった年度の3月31日まで続きます。12歳の長男であれば、およそ6年間です。

2.2 段階2:長男が18歳年度末を迎えたあと(年158万4390円)

長男が18歳になった年度の3月31日を過ぎると、子の加算が1人分になります。遺族基礎年金は109万1100円(84万7300円+24万3800円)となり、遺族厚生年金49万3290円とあわせて、年158万4390円、月約13万2033円です。

この段階は、長女が18歳になった年度の3月31日まで、およそ4年間続きます。

2.3 段階3:長女も18歳年度末を迎えたあと、妻が65歳まで(年112万8790円)

長女も18歳になった年度の3月31日を過ぎると、遺族基礎年金は終わります。このとき妻はおよそ50歳です。

遺族基礎年金を受けていた妻が、子の18歳到達年度の末日などで受けられなくなったとき、40歳以上65歳未満であれば、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加わります。加算額は年63万5500円で、妻が65歳になるまで続きます。

遺族厚生年金49万3290円と中高齢寡婦加算63万5500円で、年112万8790円、月約9万4066円です。段階2の月約13万2033円から、約3.8万円下がることになります。

ただし、中高齢寡婦加算は2028年4月から見直しが予定されています。施行後に新たに加算が始まる分は、2053年度まで25年かけて段階的に縮小される見込みです。この試算で加算が始まるのは約10年後のため、実際の加算額は63万5500円より少なくなる可能性があります。

40歳の専業主婦・子ども2人、遺族年金の年額は3段階で変わる(夫の平均標準報酬額40万円)1/2

40歳の専業主婦・子ども2人、遺族年金の年額は3段階で変わる(夫の平均標準報酬額40万円)

出所:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」、「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとにLIMO編集部作成(試算は編集部の仮定による)