4. 売る前に何をする?耐震か取り壊し
特例を使うには、家を耐震基準に合うように改修するか、取り壊す必要があります。これまでは売る時までに済ませる必要がありましたが、2024年1月1日以後の売却からは、売った年の翌年2月15日までに買い手が耐震改修や取り壊しをした場合も対象になりました。
手続きの流れは次のとおりです。
空き家の3000万円特別控除を使うまでの、主な手続きの流れです。4/6
出所:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について 制度の詳細」をもとにLIMO編集部作成
買い手に取り壊してもらう場合は、買い手の協力が欠かせません。国土交通省は、トラブルを防ぐため、売買契約の特約などで取り壊しについて取り決めておくことを確認事項にしています。
5. 相続人が3人以上なら?控除は2000万円
2024年1月1日以後の売却では、家と土地の両方を相続した人が3人以上いる場合、特別控除額は3000万円ではなく2000万円になります。
家と土地を相続した人の数ごとの特別控除額です。5/6
出所:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について 制度の詳細」をもとにLIMO編集部作成
相続する人数によって控除額が変わるため、売却価格によっては税額も変わります。3人以上で相続した実家を売る場合の具体的な税額は、税務署や税理士に確認してください。
6. FPの検証:書類集めは早めが安心
モデルケースでは、特例を使えるかどうかで、きょうだい2人の税負担に340万円の差がつきました。そして、いま相続した人にとっての期限は、「3年以内」より早い2027年12月31日です。
特例を使うには、家がある市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告で提出します。国土交通省は、申請に使う書類の中には、相続や売却のあとでは手に入れにくいものもあるとして、早めの準備を呼びかけています。
たとえば、電気・水道・ガスの使用をやめた日が分かる書類は、契約を解約したあとでは取り寄せに時間がかかることがあります。実家を売るかどうか迷っている段階でも、こうした書類だけは先にそろえておくと、期限が迫ってから慌てずに済みます。
実家を手放すことは、家族の思い出と向き合うことでもあります。きょうだいで気持ちを確かめ合いながら、期限と手続きの段取りも早めに共有しておきたいところです。
7. まとめ
空き家の3000万円特別控除は、相続から3年を経過する年の12月31日までという期限に加えて、制度そのものの適用期限が2027年12月31日までとなっています。いま相続した人は、こちらの期限が先に来ます。
モデルケースでは、特例を使えるかどうかで、きょうだい2人の税負担に340万円の差がつきました。対象は1981年5月31日以前に建てられた家に限られ、耐震改修か取り壊し、市区町村の確認書も必要です。実家をどうするか考え始めたら、まず家が対象になるかを確かめ、書類の準備を進めておきましょう。
※本記事は情報提供を目的としています。ケースは国土交通省の資料をもとに設定した試算例で、試算は一定の前提に基づく概算です。特例の適用要件や税額は、家がある市区町村、税務署や税理士にご確認ください。
参考資料
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について 制度の概要」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について 制度の詳細」
青木 里美