3. 受け取れても「止まる・減る」ことがあるケース
遺族年金を受け取り始めたあとも、家族の状況や年齢の変化によって、受け取れる期間や金額が変わることがあります。
3.1 子が18歳の年度末を迎えると遺族基礎年金は終わる
子のある配偶者が受け取る遺族基礎年金は、遺族基礎年金の受給権を持つすべての子が18歳になった年度の3月31日に到達するなどした時点で、受け取る権利がなくなります。
2026年度の遺族基礎年金は、子のある配偶者が受け取る場合で年84万7300円(1956年4月1日以前生まれの方は年84万4900円)に子の加算額(1人目・2人目は各24万3800円、3人目以降は各8万1300円)が加わるため、子が成長したあとは受け取る年金額が大きく変わります。
一方で、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた妻が、40歳に達した当時に子がいて遺族基礎年金を受けていた場合などは、子が18歳になった年度の3月31日を迎えて遺族基礎年金を受け取れなくなった後、65歳になるまで遺族厚生年金に中高齢の寡婦加算(2026年度は年63万5500円)が加算されます。
3.2 30歳未満で子のない妻は5年間の有期給付
夫を亡くした当時に30歳未満で子のない妻が受け取る遺族厚生年金は、5年間の有期給付となっています。
受け取れる期間が限られるため、その後の生活設計をあわせて考えておく必要があります。
3.3 再婚すると受け取る権利がなくなる
遺族年金を受け取っている方が婚姻した場合は、受け取る権利がなくなります(失権)。
この「婚姻」には、届出をしていない事実上の婚姻関係(内縁関係)も含まれます。
受け取る権利がなくなった場合は、年金事務所などに「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
3.4 65歳以降は自分の老齢厚生年金が優先される
65歳以上で、自分の老齢厚生年金を受け取る権利がある方は、自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。
つまり、遺族厚生年金として受け取れるのは、遺族厚生年金の額が自分の老齢厚生年金の額を上回る差額分だけになります。
自分も長く会社員として働き、老齢厚生年金が多い方ほど、65歳以降に受け取る遺族厚生年金は少なくなる仕組みです。
4. 国民年金だけの加入なら「寡婦年金」と「死亡一時金」も確認
遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取れない場合でも、国民年金の独自給付が受け取れる可能性があります。
4.1 寡婦年金は60歳から65歳になるまで
寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて10年以上ある夫が亡くなったときに、夫によって生計を維持され、夫との婚姻関係(事実婚を含む)が10年以上継続している妻が、60歳から65歳になるまで受け取れる年金です。
ただし、夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取ったことがある場合や、妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている場合は、請求できません。
4.2 寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方
寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取れる場合は、どちらか一方を選択して受け取ることになります。
受け取れる期間や金額が異なるため、年金事務所で試算してもらったうえで選ぶと安心です。
5. まとめ:遺族年金を受け取れるかは、元気なうちに確認しておこう
遺族年金は、配偶者と死別すれば必ず受け取れるものではなく、亡くなった方の年金の加入状況や保険料の納付状況、子の有無、遺族の収入や年齢といった条件をすべて満たす必要があります。
子がいない、亡くなった方が国民年金だけに加入していた、保険料の未納が多い、遺族の年収が850万円以上ある、妻を亡くした夫が55歳未満といったケースでは、遺族年金の一部または全部を受け取れないことがあります。
万一のときの生活を考えるうえでは、遺族年金を受け取れるかどうかを夫婦でねんきん定期便などを使って確認し、受け取れない場合や金額が少ない場合の備えを早めに考えておくことが大切です。
参考資料
和田 直子