給料日の昼休みや仕事帰りにATMの列に並び、給料口座から数万円〜数十万円を引き出して、そのまま別の銀行のATMへ向かう。
家賃やカードの支払い、貯金のために口座を分けている人ほど、こうした作業が毎月の決まりごとになっているのではないでしょうか。
口座を目的ごとに分けて管理するのは、お金をきちんと把握しようとしている証拠です。
ただ、自分名義の口座の間でお金を移すなら、ATMを回らなくても、決まった日に決まった金額を自動で移せる銀行のサービスがあり、手数料無料で使えるものもあります。
この記事では、ATMで現金を移すことに潜むコストを整理したうえで、定額自動入金と定額自動振込の仕組みや手数料、利用例、設定するときに注意したい入金までの日数のずれを解説します。
1. ATMで現金を移す方法に潜む「3つの見えないコスト」
「自分で運べば手数料はかからない」と考えがちですが、ATMで現金を移す方法には、お金以外のコストもかかっています。
1.1 並ぶ時間と移動の手間
給料日や月末のATMは混み合いやすく、引き出しと入金で2カ所を回ると、並ぶ時間と移動の時間がかかります。
仮に1回あたり15分〜30分かかるとすると、毎月1回でも年間で3時間〜6時間ほどをATMでの作業に使っている計算です。
1.2 まとまった現金を持ち歩くリスク
給料の大部分を引き出して移す場合、10万円単位の現金を財布や封筒に入れて持ち歩くことになります。
移動の途中で落としたり、盗まれたりした場合のリスクは、口座の間でお金を移す方法では生じないものです。
1.3 移し忘れたときの支払いトラブル
仕事が忙しい月や体調を崩した月に、移す作業ができないこともあります。
その結果、クレジットカードや公共料金を引き落とす口座の残高が足りなくなると、支払いが遅れ、カード会社などによっては遅延損害金がかかる場合があります。
2. 自分名義の口座間なら「定額自動入金」という方法がある
給料口座から自分名義の別の銀行の口座にお金を移す方法として、いくつかの銀行が「定額自動入金」などの名前でサービスを用意しています。
2.1 給料口座から毎月決まった額を自動で移す仕組み
定額自動入金は、入金先の銀行に申し込むと、本人名義の他の銀行の口座から毎月決まった日に決まった金額を引き落とし、入金先の口座に入金してくれるサービスです。
クレジットカードの代金などと同じ「口座振替」の仕組みで引き落とすため、振込とは異なり、手数料無料で利用できるサービスが多くなっています。
ただし、引落口座と入金口座が同じ本人名義であることが条件で、家族や他人の口座との間では使えません。
2.2 定額自動入金サービスの主な例
2026年10月時点で各行の公式サイトに掲載されている、主なサービスの内容は次のとおりです。
定額自動入金サービスの主な例2/3
出所:ドコモSMTBネット銀行「定額自動入金サービス」、auじぶん銀行「定額自動入金サービス」、PayPay銀行「定額自動入金サービス」、ソニー銀行「おまかせ入金サービス」、三井住友銀行「定額自動入金(Olive専用サービス)」をもとにLIMO編集部作成
- ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)「定額自動入金サービス」:引落日は毎月5日か27日、入金は原則として引落日の4営業日後、手数料は無料(スルガ銀行Dバンク支店の口座から引き落とす場合を除く)、1万円以上1000円単位
- auじぶん銀行「定額自動入金サービス」:引落日は毎月6日か26日、入金は原則として引落日の4営業日後、手数料は無料、1万円以上1000円単位
- PayPay銀行「定額自動入金サービス」:引落日は毎月5日か27日、入金は引落日の4営業日後、手数料は無料、1万円以上1億円以下で1000円単位
- ソニー銀行「おまかせ入金サービス」:引落日は毎月5日か27日、入金は引落日の4営業日後、手数料は無料、1万円以上1000円単位
- 三井住友銀行「定額自動入金(Olive専用サービス)」:Olive契約者が対象で、引落日は毎月5日か27日、入金は引落日から4営業日後、手数料は無料、1万円以上100万円以下で1000円単位
引き落とせる金融機関は銀行ごとに決まっており、都市銀行やゆうちょ銀行、地方銀行、信用金庫などに対応しているサービスが多い一方、一部の金融機関は対象外です。
給料口座が対象に含まれているかは、利用したい銀行の公式サイトで確認しておきましょう。
3. 家賃や仕送りなど他人の口座へは「定額自動振込」
大家さんや家族など、自分以外の名義の口座に毎月お金を送る場合は、定額自動入金ではなく、振込を自動で行うサービスを使います。
3.1 指定した日に自動で振り込む仕組み
定額自動振込は、振込先と金額、振込日を登録しておくと、毎月(銀行によっては毎週)自動で振込をしてくれるサービスです。
たとえばドコモSMTBネット銀行の「定額自動振込サービス」は、他行宛ての振込にも使え、振込日を毎月1日〜31日の中から選べます。
3.2 手数料は無料回数の範囲かどうかで変わる
他行宛ての振込には通常手数料がかかりますが、ネット銀行などでは、条件に応じて毎月の振込手数料の無料回数が決まっている場合があります。
ドコモSMTBネット銀行では、取引状況などに応じたランクによって他行宛て振込の無料回数が月1回〜20回と決まっており、無料回数を超えた分は1回77円(税込)がかかります。
三井住友銀行では、Olive契約者がSMBCダイレクトで行う他行宛て振込は月3回(Olive Infiniteは月10回)まで無料で、定額自動送金《きちんと振込》もOlive契約者は手数料がかからない仕組みです。
無料回数や条件は銀行ごとに異なり、変更されることもあるため、使い始める前に確認しておくことが大切です。
3.3 口座を移す必要があるかも見直す
家賃やカード代金の引落口座を給料口座に変更できる場合は、そもそもお金を移す必要がなくなることもあります。
自動で移す方法と、引落口座をまとめる方法の両方を比べて、手間が少ない方を選ぶとよいでしょう。
3.4 口座の役割を決めるときに考えたい3つのこと
自動で仕分ける流れをつくる前に、次の3点を整理しておくと、どのサービスを組み合わせればよいかが見えやすくなります。
- 移す先が自分名義の口座か、他人名義の口座か
- 家賃やカードなど、毎月の支払いの引落日はいつか
- 給料口座が、使いたい銀行の引落対象の金融機関に入っているか
ここからは、給料から家賃と貯蓄を自動で仕分ける具体的な流れと、設定するときに注意したい点を見ていきます。