2. 【厚生年金の平均月額】受給権者全体の平均は男性16万9967円、女性11万1413円

試算とあわせて、実際に年金を受け取っている人の平均も確かめておきましょう。はじめに、年金の仕組みを押さえておきましょう。

公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。

これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

日本年金機構の「公的年金制度の種類と加入する制度」によると、会社員や公務員などは第2号被保険者として国民年金と厚生年金保険に加入し、「国内に居住し、第2号被保険者に扶養されている配偶者」は第3号被保険者として国民年金に加入します。専業主婦の妻が受け取るのは1階の老齢基礎年金で、厚生年金に加入して働いた期間があれば、その分の2階部分が加わります。

2.1 厚生年金(第1号)の平均月額は男性16万9967円、女性11万1413円

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で、令和6年度末の厚生年金保険(第1号)の平均月額を見ると、次のとおりです。

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含みます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

同資料によると、この平均は60歳以上の受給権者全体のものです。国民年金(老齢基礎年金)の平均月額は、女性で5万7582円でした。この平均には、厚生年金を上乗せで受け取っている人の基礎年金も含まれています。平均の金額には、これまでの働き方が人によって大きく違うことも表れているといえるでしょう。

2.2 試算の妻の年金と、厚生年金の女性の平均月額を並べる

試算で正社員として40年働いた妻の年金は月15万1727円で、厚生年金の女性の平均月額11万1413円を上回ります。ただし、平均には加入期間が短い人や、報酬比例部分のみを受け取る65歳未満の人も含まれるため、そのまま比べられない点に注意しておきたいところです。試算は、40年同じ働き方を続けた場合の一つの目安として見ておくとよいでしょう。

3. 【パートで厚生年金に加入すると】妻の年金は専業主婦の場合より月3万2703円多い試算

パートで働く場合も、条件によっては厚生年金に加入するため、その条件を確かめておきましょう。

3.1 パートで厚生年金に入る条件=勤め先の規模と週20時間以上など

日本年金機構の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」によると、厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上となる見込みの企業などで働き、週の所定労働時間が20時間以上で学生ではない短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険の加入対象です。2カ月以内の期間を定めて雇われる人などは対象から除かれます。令和9年10月からは、被保険者数が36人以上の企業などに広がります。自分が対象になるかは、勤め先の担当部署に確かめておくと確実でしょう。企業の規模の要件は段階的に広がっているため、今は対象外でも、これから加入対象になることも考えられます。

3.2 専業主婦の場合との差は月3万2703円、12月15日の2カ月分では6万5407円

試算では、年収179万円で40年厚生年金に加入した妻の年金は月10万3311円で、専業主婦の場合の月7万608円より3万2703円多くなりました。12月15日に届く夫婦の2カ月分では、6万5407円の違いです。厚生年金の保険料を納める分、働いているあいだの手取りは減りますが、その分が老後の年金の2階部分として積み上がる仕組みといえるでしょう。年収や加入期間がこれより短ければ、上乗せされる金額も小さくなる点には注意しておきたいところです。

4. 【65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計】支出は月29万6829円、年金などの社会保障給付は月22万8614円

最後に、年金を中心に暮らす夫婦の家計と並べてみましょう。

4.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計=収入は月25万4395円、支出は月29万6829円

総務省の家計調査(家計収支編・2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1か月の実収入は25万4395円で、そのうち公的年金などの社会保障給付が22万8614円でした。消費支出26万3979円と、税金や社会保険料などの非消費支出3万2850円を合わせた支出は、29万6829円です。

夫婦の年金の試算と、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計(月額)2/2

夫婦の年金の試算と、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計(月額)

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」、総務省統計局「家計調査結果」をもとにLIMO編集部作成

4.2 試算の夫婦の年金と、家計調査の支出を並べると

試算の夫婦の年金(額面)は、妻が専業主婦の場合の月25万836円ではこの支出に届かず、妻が正社員の場合の月33万1955円では上回ります。ただし、試算の世帯と家計調査の世帯は同じではなく、住まいや暮らし方によって支出も大きく変わる点に注意が必要です。並べて見るための目安としてとらえ、わが家の支出と比べてみることが大切でしょう。年金だけで足りない分は、貯蓄の取り崩しや働いて得る収入でまかなうことになるため、どのくらいの期間、毎月いくら足りないのかを早めに数字にしておきたいところです。

5. 年金額のシミュレーションをもとにこれからの働き方を確かめる

試算の数字を、わが家に当てはめていきましょう。

5.1 ねんきん定期便やねんきんネットで、夫婦それぞれの見込額を確かめる

まずは、夫婦それぞれの年金見込額を確かめましょう。日本年金機構の案内によると、ねんきん定期便は毎年の誕生月に届き、50歳以上の人には老齢年金の種類と見込額が載っています。ねんきんネット(利用には登録が必要)でも、自分の年金記録や見込額を確かめられます。夫と妻の2人分を足してみると、試算の早見表のどのあたりになるのかがわかるでしょう。ねんきんネットでは、条件を自分で設定して将来の見込額を試算することもできるので、働き方や働く期間を変えた場合も確かめておくとよいでしょう。

5.2 夫婦の年金と毎月の支出を並べ、妻の働き方とこれからの家計を考える

次に、毎月の支出を書き出し老後の生活費を試算し、夫婦の年金の見込額と比べてみましょう。足りない分が1年でいくらになるかを計算しておくと、貯蓄からどのくらい取り崩すのか、何歳まで働くのかを考えやすくなります。

パートで働いている場合は、勤め先で厚生年金に加入できるかどうかも確かめておきたいところです。

また、夫が先に退職する場合や妻が年下の場合は、夫婦の年金がそろうまでの期間の家計も考えておくとよいでしょう。

6. まとめにかえて

まずは、ねんきん定期便やねんきんネットで、夫婦それぞれの年金見込額を確かめておきましょう。次に、毎月の支出を書き出して2人分の年金と比べ、足りない分が1年でいくらになるかを計算してみましょう。そして働き方や、夫婦それぞれが何歳まで働くかを話し合っておきましょう。

年収600万円の夫と妻の夫婦の年金は、妻の働き方によって月25万836円から33万1955円まで変わる試算でした。違いを生むのは、妻が厚生年金に加入して働いた期間と、そのときの収入だと考えられます。

もちろん、働き方は家族の事情や健康状態などによって選ぶもので、年金の金額だけで決めるものではないでしょう。それでも、夫婦の年金は2人分を合わせて初めて見えてくるものだといえるでしょう。今回の試算を夫婦でこれからの働き方と家計を話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子