12月の年末調整では、配偶者の1年間の所得を見積もって、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるかを判定します。

配偶者が年金を受け取っている場合、判定に使うのは年金の額そのものではなく、公的年金等控除を差し引いた後の所得です。公的年金等控除の額は配偶者の年齢で変わり、65歳未満の配偶者は年金収入122万円以下、65歳以上の配偶者は172万円以下が配偶者控除の目安になります。

この記事では、年金を受け取る配偶者の所得の計算と、65歳未満・65歳以上で変わる年金収入の目安を確認します。

1. 年金を受け取る配偶者の所得は「公的年金等の収入金額-公的年金等控除額」で計算する

配偶者控除・配偶者特別控除の判定には、配偶者の合計所得金額を使います。年金を受け取る配偶者の場合は、年金の収入から公的年金等控除額を差し引いた「公的年金等に係る雑所得」が所得になります。

1.1 令和8年分の配偶者控除は合計所得金額62万円以下、配偶者特別控除は62万円超133万円以下

国税庁のタックスアンサー「No.1191 配偶者控除」によると、令和8年分の配偶者控除の対象は、配偶者の合計所得金額が62万円以下の人です。

62万円を超えて133万円以下なら、配偶者特別控除の対象になります。どちらも、控除を受ける本人の合計所得金額が1000万円以下であることが条件です。

1.2 公的年金等に係る雑所得には、国民年金・厚生年金のほか確定給付企業年金も入る

国税庁のタックスアンサー「No.1600 公的年金等の課税関係」は、雑所得となる主な公的年金等として、国民年金法・厚生年金保険法などによる年金、過去の勤務により会社などから支払われる年金、確定給付企業年金法にもとづく年金を挙げています。

一方で、生命保険契約にもとづく年金などは公的年金等に当たりません。

1.3 公的年金等控除額は年齢で違い、最低額は65歳未満が60万円、65歳以上が110万円

公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下の場合、65歳未満の人は年金収入が130万円未満なら、収入から60万円を差し引いた額が所得になります。65歳以上の人は、年金収入が330万円未満なら110万円を差し引きます。

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」では、令和8年分で65歳以上になるのは、昭和37年1月1日以前に生まれた人です。

2. 65歳未満で年金だけを受け取る配偶者は、年金収入122万円以下なら配偶者控除の対象

配偶者の所得が年金だけなら、年金収入がいくらまでなら配偶者控除を受けられるかを、年齢の区分ごとに示せます。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」に載っている目安で確認します。

2.1 65歳未満は、年金収入から60万円を差し引いて62万円以下になる122万円が目安

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」では、配偶者の所得が公的年金等に係る雑所得だけの場合、年齢65歳未満の人は公的年金等の収入金額が122万円を超えると配偶者控除を受けられないと示されています。

122万円から公的年金等控除の60万円を差し引くと、所得は62万円です。65歳になる前に老齢年金を繰上げて受け取っている人や、企業年金を受け取っている人は、この目安で確かめます。

2.2 65歳以上は年金収入172万円が目安で、65歳未満より50万円高い

65歳以上の人は公的年金等控除が110万円なので、年金収入172万円までなら所得は62万円以下に収まります。

同じ年金収入150万円でも、65歳以上なら配偶者控除の対象、65歳未満なら所得が85万円になって配偶者特別控除の対象です。

年金だけの配偶者は、65歳未満なら年金収入122万円、65歳以上なら172万円までが配偶者控除の目安1/2

配偶者の年齢が65歳未満と65歳以上の場合に分けて、配偶者控除と配偶者特別控除の対象になる年金収入の上限を示した棒グラフ

出所:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」を参考にLIMO編集部作成

3. 65歳未満の配偶者特別控除は年金収入214万1円まで、65歳以上は243万円まで

年金収入が配偶者控除の目安を超えても、配偶者特別控除を受けられる範囲があります。65歳未満の人は、年金収入130万円を境に公的年金等に係る雑所得の計算式が変わります。

3.1 65歳未満で年金収入130万円以上なら、所得は「収入金額×0.75-27万5000円」

国税庁のタックスアンサー「No.1600 公的年金等の課税関係」の速算表では、65歳未満で年金収入が130万円以上410万円未満の人の公的年金等に係る雑所得は、収入金額の合計額に0.75をかけて27万5000円を差し引いた額です。

この式に当てはめると、年金収入214万円の所得は133万円です。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」は、65歳未満の人で公的年金等の収入金額が214万1円を超えると配偶者特別控除を受けられないとしています。

3.2 65歳以上は、年金収入243万円を超えると配偶者特別控除も受けられない

65歳以上の人は年金収入330万円未満なら公的年金等控除が110万円のままなので、年金収入243万円で所得は133万円です。

本人の合計所得金額が900万円以下なら、配偶者特別控除は配偶者の所得が95万円以下で38万円、そこから段階的に下がって130万円超133万円以下で3万円になります。

年金を受け取る配偶者の所得は、65歳未満なら年金収入122万円、65歳以上なら172万円までが配偶者控除の目安です。配偶者特別控除まで広げると、65歳未満は214万1円、65歳以上は243万円までが対象になります。

配偶者の年金の額は、年金の支払者から届く通知書で確かめられます。

ここからは、年金とパートの給与の両方がある配偶者の所得の計算と、障害年金を受け取っている場合の扱い、年金の扶養親族等申告書との関係を見ていきます。