3. 後期高齢者医療の保険料を口座振替に変えるには市区町村への申し出が必要

年金からの天引きは、何もしなければそのまま続きます。口座振替に変えたいときは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口に申し出ます。

3.1 天引きが止まるまで数か月かかる

切り替えにかかる期間は市区町村ごとに異なります。たとえば広島市では、口座振替を申し出てから特別徴収が止まるまで、おおむね3〜4か月かかると案内しています。

これから申し出る場合、2026年中の天引きは続く可能性があります。2026年分の年末調整に入れられるのは、12月31日までに子どもの口座から実際に引き落とされた保険料だけです。

3.2 「生計を一にする」かどうか

子どもが控除を受けられるのは、保険料を納める親と生計を一にしている場合です。別々に暮らしている親の保険料を払うときは、生計を一にしているといえるかを確かめておく必要があります。

判断に迷う場合は、年末調整の書類を出す前に、勤務先の担当者や税務署で相談しておくと安心でしょう。

4. 【注意したい点】親の課税所得が増えて窓口負担割合が変わることも

口座振替にすると、親の側では保険料の社会保険料控除がなくなります。子どもの税金が軽くなる一方で、親の側に出てくる影響も見ておきましょう。

4.1 親に税金がかかっていれば親の税金は増える

親に所得税や住民税がかかっている場合、保険料の分の控除がなくなるため、親の税金はその分増えます。親と子どもの税率が同じなら、家族全体で見た税金はあまり変わりません。

反対に、親の所得が少なく税金がかかっていないなら、親の控除は使われないままです。この場合は、子どもに控除を移すことで家族全体の税金が軽くなります。

4.2 窓口負担割合は控除を差し引いた後の課税所得で判定

後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、住民税の課税所得などで判定されます。たとえば文京区では、この課税所得は総所得金額から各種所得控除を差し引いて算出するのです。

厚生労働省によると、課税所得が28万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額が単身で200万円以上、複数世帯で320万円以上なら2割負担です。文京区の案内では、課税所得が145万円以上の被保険者がいる世帯は3割になります。

社会保険料控除がなくなると課税所得が増えるため、境目の近くにいる人は負担割合が上がる場合があります。一方で、保険料の所得割は所得控除を差し引く前の所得で計算するので、口座振替にしても保険料の額は変わりません。

筆者が元公務員として後期高齢者医療制度を担当していた頃、窓口では「急に窓口負担割合が増えた」という相談を受けることがありました。負担割合は毎年8月1日に前年の所得で判定し直されるため、2026年の控除の変化は2027年8月からの判定に表れます。

5. まとめにかえて

年金から天引きされた後期高齢者医療の保険料は、年金を受け取っている親本人の社会保険料控除になります。子どもが年末調整で控除できるのは、子どもの口座から口座振替で納めた分です。

全国平均の年9万5875円を納めた場合、子どもの所得税率が10%なら税金は約1万9400円軽くなります。ただし切り替えには数か月かかり、親の税金や窓口負担割合に影響する場合もあります。

口座振替に変える前に、親の住民税の課税所得がいくらかを住民税の通知書で確かめておきましょう。手続きはお住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口で、控除の扱いは勤務先や税務署で確認できます。

参考資料

太田 彩子