3. 入院が続くときの「多数回該当」と年単位の上限

入院が長引いたり、入退院を繰り返したりすると、月ごとの上限を何度も支払うことになります。こうした長期の療養には、負担をさらに軽くする仕組みがあります。

3.1 4か月目からは4万4400円

厚生労働省によると、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目からは上限額がさらに下がります。この仕組みを多数回該当といい、一般の区分の人は4万4400円です。

今回の見直しでは、長く治療を続ける人の負担を増やさないよう、多数回該当の金額は据え置かれました。月6万1500円に引き上げられたのは、多数回該当にあたらない月の上限です。

3.2 8月から翌年7月までの年単位の上限

2026年8月からは、新たに年単位の上限も設けられました。一般の区分の人は年53万円で、8月から翌年7月までの自己負担の合計がこれを超えた分は、あとから保険者から払い戻されます。

月ごとの上限に届かない月が続いた人でも、1年分を合計すると年単位の上限に届く場合があります。厚生労働省の資料では、年単位の上限を月平均にすると約4万4200円になると示されています。

4. 2027年8月からは一般の区分が3つに分かれる予定

高額療養費の見直しは2026年8月で終わりではありません。厚生労働省は、2027年8月から所得の区分をさらに細かく分けるとしています。

70歳以上の一般の区分は、年収の目安で次の3つに分かれる予定です。

  • 年収約260万円から約370万円:世帯の上限6万9600円、外来2万8000円
  • 年収約200万円から約260万円:世帯の上限6万5400円、外来2万8000円
  • 年収約200万円以下:世帯の上限6万1500円、外来2万2000円

年収約200万円以下の区分は、多数回該当が3万4500円に、年単位の上限が41万円に下がります。自分がどの区分にあたるかは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口で確かめられます。

5. 窓口での支払いと住民税非課税の世帯

マイナ保険証を使えば、医療機関の窓口での支払いは、原則として月ごとの上限額までになります。上限を超える分をいったん立て替えて、あとで払い戻しを待つ必要はありません。

なお、世帯全員が住民税非課税の人は、上限額も食事代も一般の区分より低く設定されています。食事代を減額の区分にするには申請が必要な場合があるため、入院が決まったらお住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口に確認しておくと安心です。

6. 入院中の食事代は医療費控除の対象になる

高額療養費の対象にならない食事代も、所得税の医療費控除では医療費に含められます。国税庁の「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」でも、入院の際の食事代が対象として挙げられています。

入院した年は、医療費の自己負担と食事代を合わせると、医療費控除を受けられる額に届く場合もあります。病院の領収書は、食事代の分も含めて捨てずに保管しておきましょう。

7. まとめにかえて

後期高齢者医療制度の一般の区分の人は、2026年8月診療分から、入院を含む世帯の上限が月6万1500円になりました。6月からの食事代1食550円を足すと、30日の入院で11万1000円が自己負担の目安です。

長く入院が続く場合は、4か月目からの多数回該当や、2026年8月に始まった年単位の上限で負担が軽くなります。差額ベッド代などは別にかかるため、入院が決まったら病院の窓口で費用の見込みを聞いておくとよいでしょう。

上限額の区分や払い戻しの手続きは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口や、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合で確かめられます。

参考資料

太田 彩子