5. 借入3000万円なら、300万円の繰り上げ返済で住宅ローン控除は返済した年から毎年2万円あまり減る

年末残高が最初から3000万円を下回っている人は、繰り上げ返済した額の分だけ、その年から住宅ローン控除が減ります。同じ条件で借入額だけを3000万円に変えて計算しました。

5.1 借入3000万円の住宅ローン控除は、3年目に2万1000円減る

2024年1月から3000万円を35年・元利均等・金利年1.0%で返済し、2026年11月に300万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合です。3年目の年末残高は2781万9651円から2481万7151円に減り、控除額は19万4700円から17万3700円になります。

減る額は3年目が2万1000円で、その後は少しずつ広がり、13年目には2万3200円です。期間短縮型では毎月の返済額が変わらないため、元金の減り方が早まり、年末残高の差が年々大きくなるからです。

5.2 13年間で減る住宅ローン控除の合計は、借入4000万円で11万5100円、3000万円で24万3300円

控除期間13年間の控除額を合計して比べると、繰り上げ返済で減る控除は、借入4000万円のケースで11万5100円、3000万円のケースで24万3300円でした。

同じ300万円の繰り上げ返済でも、年末残高が3000万円を超えている期間が長い借入4000万円のケースは、減る控除が半分以下にとどまります。

6. 住宅ローンの繰り上げ返済で減る利息は、どちらのケースも100万円を超える

繰り上げ返済で減る住宅ローン控除と、減る利息を並べておきます。いずれも先ほどと同じ金利年1.0%・期間短縮型の計算例です。

6.1 300万円の繰り上げ返済で減る利息は約105万円~約107万円

借入4000万円のケースでは、35年間に払う利息の合計が約742万円から約635万円に減り、減る利息は約107万円です。返済期間は3年短くなります。

借入3000万円のケースでは、減る利息は約105万円で、返済期間は3年11か月短くなります。どちらも、13年間で減る住宅ローン控除の合計を大きく上回ります。

6.2 金利や繰り上げ返済の時期が変われば、減る利息と控除の差も変わる

この計算例は金利を年1.0%で固定しています。金利が低いほど減る利息は小さくなり、住宅ローン控除の減り方との差は縮まります。

また、住宅ローン控除には「10年以上にわたり分割して返済する方法」になっている借入金であることという要件があります。期間短縮型で返済期間を大きく縮めると、この要件を満たさなくなることがあります。大きな額を返すときは、短くなったあとの返済期間も確かめておきましょう。

7. 住宅ローン控除が残っているうちに繰り上げ返済する前に確かめたいこと

住宅ローン控除の期間中に繰り上げ返済を考えるときに、手元の書類で確かめられることを3つにまとめます。

7.1 入居した年と住宅の区分から、自分の控除限度額を確かめる

控除限度額は、入居した年と、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅のどれに当たるかで決まります。最初の年の確定申告で出した計算明細書の控えを見返すと、区分と控除の額が分かります。

7.2 年末残高等証明書で、年末残高と控除限度額の水準を並べる

金融機関から届く年末残高等証明書の残高に0.7%をかけ、控除限度額と比べます。限度額を上回っていれば、上回っている分の範囲で繰り上げ返済しても、その年の控除額は変わりません。

7.3 繰り上げ返済をする月によって、その年の年末残高が変わる

住宅ローン控除は12月31日時点の年末残高等で計算します。12月中に繰り上げ返済すればその年の年末残高から減り、1月以降にずらせば翌年の年末残高から減ります。

8. まとめ

住宅ローン控除の額は、年末残高等の0.7%と控除限度額の小さいほうで決まります。2024年に入居した省エネ基準適合住宅なら、年末残高等3000万円が控除限度額21万円に届く水準です。

年末残高がこの水準を上回っている間は、繰り上げ返済しても控除額は変わりません。計算例では、借入4000万円で300万円を返しても13年間で減る控除は11万5100円で、減る利息の約107万円を大きく下回りました。

繰り上げ返済を決める前に、年末残高等証明書と最初の年の計算明細書の控えをそろえ、自分の控除限度額と年末残高を並べてみてください。判断に迷うときは、借入先の金融機関や税務署に確認すると確実です。

参考資料

鶴田 綾