4. 所得の低い世帯向けの均等割の軽減と重なるとき
後期高齢者医療制度には、世帯の所得が一定以下の人の均等割を軽くする仕組みもあります。被扶養者だった人がこちらにも当てはまる場合の扱いを確認します。
4.1 軽減の割合が高いほうが適用される
所得の低い世帯向けの均等割の軽減には、7割(医療分は2026・2027年度に7.2割)、5割、2割の3段階があります。被扶養者だった人がこの7割や5割の軽減に当たる場合は、そちらが適用されます。
2割の軽減に当たる場合や、どの軽減にも当たらない場合は、被扶養者だった人の5割軽減が使われます。区市町村の案内でも、軽減割合の高いほうが優先されると説明されています。
4.2 世帯の所得の判定には世帯主の所得も入る
所得の低い世帯向けの軽減は、加入者本人だけでなく、世帯主の所得も含めて判定します。会社員の夫が世帯主なら、夫の給与の所得も判定に加わるのです。
夫が働き続けている世帯では、所得の低い世帯向けの軽減に当たらないことが多くなります。だからこそ、被扶養者だった人の軽減が保険料を左右する場面が出てきます。
5. 75歳の誕生日の前後に確かめておきたいこと
筆者が元公務員として後期高齢者医療制度を担当していた頃、「扶養に入っていたのに保険料の通知が届いた」という声を窓口で聞くことがありました。扶養から外れて自分の保険料が始まる点は、意外と知られていないと感じてきました。
軽減を正しく受けるために、加入の前後で確かめておきたい点を挙げておきます。
5.1 会社の健康保険の扶養から外れる手続き
75歳になると、会社の健康保険の被扶養者ではなくなります。市区町村の案内には、この軽減は申請しなくても適用されるものの、健康保険の資格を失う手続きが済んでいないと適用されないことがある、とするものもあります。
扶養している家族の勤務先で、被扶養者から外れる手続きが進んでいるかを確かめておくと安心です。
5.2 3年目の保険料の上がり方
均等割の5割軽減は2年で終わるため、3年目からは保険料が上がります。試算の例では、年2万7200円から年5万4600円になりました。
年金から天引きされる保険料の額が変わる時期でもあるので、通知書が届いたら金額の変わり方を見ておくと慌てずにすみます。
6. まとめにかえて
会社の健康保険などの扶養に入っていた人は、75歳で後期高齢者医療制度に加入しても所得割がかからず、均等割は加入から2年間5割軽減されます。国民健康保険から移る人は対象にならない点に注意が必要です。
保険料率は都道府県ごとに異なり、所得の低い世帯向けの軽減との関係もあります。自分の保険料がどう計算されているかは、住んでいる市区町村の後期高齢者医療の窓口や広域連合で確かめてみてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律施行令」
- 厚生労働省「健康保険・船員保険事業状況報告」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」
- 東京都保健医療局「保険料の仕組み」
- 大田区「保険料の計算方法について」
- 名古屋市「保険料の軽減(被扶養者)」
太田 彩子