厚生労働省が10月9日に公表した健康保険の事業月報(速報値)によると、2026年5月時点で協会けんぽ(全国健康保険協会)の被扶養者は1350万人で、そのうち70歳以上は34万人でした。

配偶者や子どもの会社の健康保険で扶養に入っている人も、75歳になると後期高齢者医療制度に加入し、自分で保険料を納めることになります。

ただし、加入する前日まで会社の健康保険などの被扶養者だった人には、保険料の軽減があります。政令では、こうした人の保険料は所得割をかけず均等割だけとし、均等割も加入した月から2年を経過する月までは5割減らすと定めています。

この記事では、軽減の対象になる人とならない人を整理し、年金収入179万円の人の保険料が加入後にどう変わるのかを、東京都の2026年度の料率で試算します。

1. 後期高齢者医療制度で「被扶養者だった人」に当たるのは

後期高齢者医療制度の保険料には、加入する直前にどの医療保険に入っていたかで変わる軽減があります。まずは、被扶養者だった人の範囲から確認していきます。

1.1 加入の前日に会社の健康保険などの扶養に入っていた人

対象になるのは、後期高齢者医療制度に加入する日の前日に、会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、船員保険、公務員などの共済組合といった、働く人が入る医療保険の被扶養者だった人です。

夫が会社員として働き続けていて、その健康保険の扶養に入っていた妻が75歳になったケースが典型です。子どもの会社の健康保険で扶養されていた親が75歳になる場合も同じように扱われます。

1.2 国民健康保険から移る人は対象外

国民健康保険や国民健康保険組合から移る人は、この軽減の対象になりません。国民健康保険には被扶養者という仕組みがなく、世帯主以外の家族も1人ずつ加入者として扱われるためです。

軽減の対象は、会社の健康保険などの被扶養者だった人に限られる1/2

後期高齢者医療制度の被扶養者だった人の軽減について、対象になる人とならない人、所得割と均等割の扱いをまとめた図

出所:e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律施行令」を参考にLIMO編集部作成

2. 被扶養者だった人の後期高齢者医療の保険料は均等割だけ

後期高齢者医療制度の保険料は、加入者全員が同じ額を負担する均等割と、所得に応じてかかる所得割を足して計算します。被扶養者だった人は、このうちの所得割がかかりません。

2.1 所得割はかからない

高齢者の医療の確保に関する法律施行令では、被扶養者だった人の保険料を均等割額だけとしています。2026年度から加わった子ども・子育て支援金分も、同じく均等割額だけです。

所得割がかからない扱いに、加入から何年までという区切りは書かれていません。後で見る均等割の軽減とは、期間の扱いが違うのです。

2.2 均等割は加入から2年間5割軽減

均等割は、加入した月から2年を経過する月までの間に限り、5割軽減されます。3年目からは、均等割を軽減なしで納めることになります。

保険料率は都道府県ごとの広域連合が2年ごとに決めるため、金額は住んでいる地域で異なります。たとえば東京都の2026年度の均等割は、医療分が5万3300円、子ども・子育て支援金分が1300円です。

3. 【試算】年金収入179万円なら1・2年目の保険料は年2万7200円

では、被扶養者だった人の後期高齢者医療の保険料は、実際にいくらになるのでしょうか。年金収入179万円で、ほかに収入がない人の保険料を試算します。

3.1 軽減がなければ年8万800円

年金収入179万円から公的年金等控除110万円を引くと、所得は69万円です。さらに基礎控除43万円を引いた26万円に、東京都の2026年度の所得割率(医療分9.88%、子ども・子育て支援金分0.26%)を掛けます。

均等割と所得割を足し、それぞれ100円未満を切り捨てると、軽減がない場合の保険料は年8万800円です。

3.2 1・2年目は年2万7200円、3年目以降は年5万4600円

被扶養者だった人なら所得割はかからず、均等割も5割軽減されるため、1年目と2年目は年2万7200円になります。3年目以降は均等割だけを納める形となり、年5万4600円です。

年金収入179万円の場合、1・2年目の保険料は軽減がない場合の3分の1ほど2/2

年金収入179万円の被扶養者だった人の後期高齢者医療の保険料を、軽減がない場合、加入1・2年目、3年目以降で比べた棒グラフ

出所:東京都保健医療局「保険料の仕組み」を参考にLIMO編集部作成

この試算は、世帯の所得が低い人向けの均等割の軽減に当たらない場合のものです。世帯の状況によって、軽減の当てはまり方が変わります。

会社の健康保険などの扶養に入っていた人は、後期高齢者医療制度に加入しても所得割がかからず、均等割は加入から2年間5割軽減されます。年金収入179万円の例では、1・2年目の保険料は年2万7200円でした。

自分に当てはまる保険料の額は、加入後に広域連合から届く保険料の決定通知書で確かめられます。

ここからは、所得の低い世帯向けの軽減と重なるときの扱いと、75歳の誕生日の前後に確かめておきたいことを見ていきます。

太田 彩子

扶養に入っていた人も、75歳からは自分の保険料を納めることになります。加入の前日にどの医療保険に入っていたかで保険料が変わるため、通知書の金額に疑問があれば、早めに市区町村の窓口に問い合わせてみてください。