3. 【働く人への調査】「貯蓄がない」25.2%、理由は「毎月の生活費で手一杯」が64.0%
民間の調査でも貯蓄の状況が示されています。働く人に直接聞いた調査の結果と、2つの調査を並べるときの注意点を見ていきます。
株式会社ベター・プレイスが2026年10月14日に公表した調査は、2026年10月1日から2日に、全国の20歳から59歳の働く男女595人にインターネットで聞いたものです。貯蓄が「ある」と答えた人は74.8%、「ない」と答えた人は25.2%でした(出典元:ベター・プレイス調べ)。
貯蓄がない人にその理由を聞くと、「毎月の生活費で手一杯だから」が64.0%で最も多く、「収入が少ないから」が36.7%でした。また、将来のための貯蓄や投資に回す余裕が「あまりない」「まったくない」と答えた人は、合わせて57.6%です(出典元:ベター・プレイス調べ)。
毎月の生活費をまかなうことと、将来に向けたお金を分けておくことの両立が課題になっている様子が、調査から読み取れるでしょう。
ベター・プレイスの調査は、働いている人一人ひとりに聞いたもので、回答者は595人です。一方、J-FLECの調査は世帯ごとに聞いたもので、「金融資産」の範囲も調査の注で決められています。聞いている相手も、何をもって貯蓄とするかも違うため、ベター・プレイスの「貯蓄がない」25.2%と、J-FLECの貯蓄ゼロ(金融資産を保有していない)15.7%・30.1%をそのまま比べることはできない点に注意が必要です。
それぞれの調査が誰に何を聞いたものかを確かめてから数字を見ると、自分に関係のある数字を選びやすくなるでしょう。
数字の範囲を知ったうえで、わが家の状況と照らし合わせることが、家計を見直す手がかりになります。
4. 【わが家の場合は】年収と手元のお金、将来のために分けているお金を確かめる
一覧の数字をわが家の家計に生かすには、手元のお金を調査と同じ見方で整理してみることが近道です。年収、毎月の貯蓄、これからの変化の順に確かめていきましょう。
4.1 世帯年収と手元のお金の内訳を確かめる
世帯年収別の数字を見たあとに、まず確かめたいのは、わが家の年収と、手元にあるお金の内訳です。源泉徴収票や確定申告書で世帯の年収を確かめ、預貯金の残高を「毎月の暮らしに使うお金」と「将来のために分けているお金」に分けて書き出してみましょう。J-FLECの調査の区分と同じ見方で整理すると、一覧の数字と照らし合わせやすくなります。
4.2 毎月将来のために回せている金額を確かめる
次に、毎月の収入のうち、どのくらいを将来のために回せているかを確かめます。給与明細や家計簿で、手取りの金額と毎月の支出を並べてみると、将来のために残せている金額が見えてくるでしょう。生活費で手一杯だと感じるときも、固定費のうち見直せるものがないかを1つずつ確かめると、少しずつでもお金を分けておく余地が見つかるかもしれません。家計簿をつけていない場合は、まず1か月分の通帳やクレジットカードの明細を見返すだけでも、お金の流れがつかみやすくなります。
4.3 これからの収入と支出の変化を書き出す
そして、これからの働き方と家計の見通しをあわせて考えておきたいところです。転職や昇給、子どもの進学、住まいの変化など、数年先に収入や支出が変わる場面を書き出しておくと、いつまでにどのくらいのお金を分けておきたいかを考えやすくなるでしょう。勤め先に給与から天引きで積み立てられる制度があるかどうかも、福利厚生の案内などで確かめておくとよいでしょう。
5. まとめにかえて
手元に残るお金は、年収だけでなく、毎月の支出や家族の状況、住宅ローンの有無などによって変わってきます。今回の調査では、預貯金のうち日常的な出し入れや引き落としに備えている部分を、「金融資産」に含めていません。毎月の暮らしのお金と将来のためのお金を分けて見ると、わが家の家計の見え方も少し変わってくるかもしれません。
わが家がこれから何にお金を使いたいかを考え、そのためにどのくらいを分けておくかを決めておくことが、この先の暮らしを選ぶ手がかりになるでしょう。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 株式会社ベター・プレイス「【10月17日は貯蓄の日】20~50代の働く男女の4人に1人が貯蓄ゼロ、理由の第1位は「生活費で手一杯」(64.0%)」(PR TIMES)(出典元:ベター・プレイス調べ)
宮野 茉莉子
