3. 後期高齢者医療の窓口負担割合は毎年8月に切り替わる

金融所得の反映は、保険料だけでなく窓口負担割合の判定にも及びます。後期高齢者医療の判定がどの周期で行われるのかも押さえておきましょう。

3.1 6月に所得が確定し8月から反映

厚生労働省の想定スケジュールでは、前の年の所得が6月に確定し、8月から保険料と窓口負担の区分に反映されます。初回の2029年8月も、この毎年の切り替えに合わせた時期です。

3.2 申告に出てこない配当は計算できなかった

筆者が元公務員として後期高齢者医療制度を担当していた頃、保険料は住民税の申告などで把握した所得から計算していました。源泉徴収だけで済ませた配当は申告に出てこないため、計算に入れようがない所得でした。

反映が始まると、配当の多い方は保険料が上がったり、窓口負担の区分が変わったりすることがあります。一方で、申告するかどうかで負担が変わるという差はなくなります。

4. 国民健康保険や介護保険の金融所得はまだ検討の段階

今回の法律で金融所得を反映するのは、後期高齢者医療制度だけです。ほかの制度については、国会の審議で検討を求める声が出ました。

4.1 国会で出た主な指摘

部会資料によると、衆議院と参議院の厚生労働委員会では、国民健康保険や介護保険などでも金融所得の勘案を検討すべきという指摘がありました。附帯決議では、導入後に後期高齢者の受診への影響を把握・検証し、必要な見直しを行うことも求めています。

4.2 2027年度の概算要求は56億円

厚生労働省は、法定調書データベースの構築や自治体・金融機関のシステム改修のため、2027年度予算の概算要求に56億円を計上しました。もっとも、法律の成立時に示された資料では、ほかの要因でスケジュールが後ろ倒しになる可能性にも触れていました。

5. まとめにかえて

後期高齢者医療制度では、確定申告をしていない上場株式の配当なども、保険料と窓口負担割合の判定に反映されることになりました。厚生労働省の案では、2028年分を2029年8月から、2029年分以降はすべての法定調書の分を2030年8月から反映します。

反映の時期はまだ案の段階です。保険料や窓口負担について気になることがあれば、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口に相談してみてください。

参考資料

太田 彩子