株式の配当を受け取っている75歳以上の方にとって、保険料の決まり方が変わる時期の案が示されました。

厚生労働省は2026年10月16日の社会保障審議会医療保険部会で、後期高齢者医療制度に金融所得を反映するスケジュールの案を報告しました。2028年分の配当などを、2029年8月から保険料と窓口負担に反映する内容です。

この記事では、反映の仕組みと、どの年の配当がいつから使われるのかを厚生労働省の資料でひもといていきます。

1. 後期高齢者医療に金融所得を反映する法律は2026年6月に公布

後期高齢者医療制度(原則75歳以上が加入)の保険料と窓口負担割合は、市区町村が把握した所得をもとに決まります。まずは、金融所得の扱いがどう変わるのかを確認しましょう。

1.1 いまは確定申告の有無で差が出る

上場株式の配当などは源泉徴収で課税が終わるため、確定申告をするかどうかを本人が選べます。厚生労働省の資料では、申告すれば市町村が所得を把握できる一方、源泉徴収だけで申告しなければ把握できないと整理されています。

同じ額の配当を受け取っていても、申告したかどうかで保険料や窓口負担が変わってしまうのです。厚生労働省はこれを是正が必要な不公平と位置づけていました。

1.2 金融機関が法定調書を広域連合へ提出する

2026年6月5日に公布された「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)」は、この差をなくす仕組みを設けました。金融機関などが税務署に出している報告書(法定調書)を、後期高齢者医療広域連合にもオンラインで提出する義務を課すものです。

提出された情報は「法定調書データベース(仮称)」で個人ごとに名寄せされ、保険料の算定や窓口負担割合の判定に使われます。金融所得の反映は、公布後5年以内に政令で定める日に施行されます。

確定申告をしない上場株式の配当なども、保険料・窓口負担の判定に入る1/2

後期高齢者医療の保険料と窓口負担に反映される所得を、いまと改正法の施行後で比べた表。確定申告しない上場株式の配当などは、いまは反映されず施行後は反映される

出所:厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」を参考にLIMO編集部作成

法律が対象にしているのは、上場株式の配当などの金融所得です。預貯金の残高のような資産の額そのものを、保険料の計算に加える仕組みではありません。

2. 【2029年8月から】後期高齢者医療への反映は2028年分の配当から

10月16日の部会で示されたのは、法定調書のオンライン提出と、保険料・窓口負担への反映の時期の案です。どの年の金融所得がいつ使われるのかを見ていきます。

法定調書の提出から保険料・窓口負担への反映までの流れ2/2

後期高齢者医療に金融所得を反映するスケジュール案。2026年6月の公布から、2029年8月に2028年分の反映を始め、2030年8月にすべての法定調書の金融所得を反映するまでの流れを示した図

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映のスケジュールについて」を参考にLIMO編集部作成

  • 2029年8月から:2029年1月末に提出される、2028年分の年単位の法定調書(枚数で全体の約8割)
  • 2030年8月から:2029年分のすべての法定調書

2.1 初回は2029年1月末に出される法定調書

案では、2029年1月末に提出される法定調書のうち、2028年の1年分の金融所得をまとめて記載したものを先に使います。これを2029年8月から、保険料と窓口負担に反映する計画です。

この年単位の法定調書は、枚数でみると全体の約8割にあたります。

2.2 2030年8月からはすべての法定調書が対象

2029年2月から2030年1月末までに提出される、2029年分の金融所得が記載された法定調書は、2030年8月から反映されます。2030年8月以降は、すべての法定調書の金融所得が反映の対象になります。

案のとおりに進めば、確定申告をしていない2028年分の配当が、2029年8月からの保険料と窓口負担の判定に入ります。自分が1年にどれくらい配当を受け取っているかを、証券会社などから届く書類で確かめておくと安心です。

太田 彩子

後期高齢者医療の保険料は、住民税の申告などで把握された所得をもとに計算されます。確定申告をしていない配当がこれから計算に入ることを、2029年の通知書が届く前に知っておいてほしいと思います。