子どもが熱を出して病院にかかったとき、窓口でいくら払うのか。その答えは、住んでいる市区町村によっても変わります。

子どもの医療費の自己負担分を助成する制度は、国が一律に決めているものではありません。都道府県と市区町村がそれぞれ設けていて、対象になる年齢や所得制限の有無が地域ごとに違うのです。

こども家庭庁の令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」によると、2025年4月1日時点で通院の助成に所得制限を設けていた市区町村は49でした。この記事では、前年の調査と比べながら、子ども医療費助成の地域差を数字で確認していきます。

1. 【子ども医療費助成】2025年4月時点で全1741市区町村が実施

健康保険では、小学校に入る前の子どもは医療費の2割、小学生以上は3割を医療機関の窓口で払います。子ども医療費助成は、この自己負担分の一部または全部を自治体が肩代わりする仕組みです。

こども家庭庁の調査では、2025年4月1日時点で全国の都道府県と1741の市区町村のすべてが、何らかの形で子どもの医療費を助成していました。違いが出るのは、何歳まで対象にするか、所得制限を設けるか、自己負担を残すかの3点です。

この調査は毎年4月1日時点の状況をまとめたもので、例年12月に公表されています。2026年4月時点の調査はまだ公表されていないため、この記事の数字は2025年4月時点のもので、その後に制度を変えた市区町村もあります。

1.1 対象年齢は「18歳年度末」までが9割

通院の助成を高校生年代(18歳になった後の最初の3月31日まで)かそれより上まで行っている市区町村は、1586でした。全体の91.1%にあたり、前年の1455から131増えています。

なかには、高校生年代より先まで対象を広げているところもあります。通院の助成を20歳の年度末までとしている市区町村が4、22歳の年度末までが6ありました。

1.2 都道府県の制度は「就学前まで」が最多

都道府県が設けている制度を見ると、通院の対象を「就学前まで」としているところが17と最も多くなっています。「18歳年度末まで」は12、「15歳年度末まで」は8でした。

子ども医療費助成は、都道府県の制度を土台に、市区町村が対象年齢などを独自に上乗せする仕組みです。そのため、同じ県の中でも、どこまで上乗せするかによって市区町村ごとに対象年齢が分かれます。

子ども医療費助成を行う市区町村の数の変化(通院・2024年4月と2025年4月)1/2

通院の子ども医療費助成について、高校生年代以上まで助成する市区町村は1455から1586に増え、所得制限がある市区町村は96から49に、自己負担がある市区町村は475から422に減ったことを示す図

出所:こども家庭庁「令和7年度 こどもに係る医療費の助成についての調査」、こども家庭庁「令和6年度 こどもに係る医療費の助成についての調査」を参考にLIMO編集部作成

  • 通院の助成が高校生年代(18歳年度末)以上:2024年4月1455、2025年4月1586
  • 通院の助成に所得制限がある:2024年4月96、2025年4月49
  • 通院の助成に自己負担がある:2024年4月475、2025年4月422

2. 子ども医療費助成で所得制限がある市区町村は「96」から「49」へ

この1年でいちばんの変化と言えるのが、所得制限です。通院の助成に所得制限を設けている市区町村は、2024年4月の96から2025年4月の49へと、ほぼ半分になりました。

2.1 1年で「有」から「無」に変わった48市区町村

2つの調査を市区町村ごとに突き合わせると、所得制限が「有」から「無」に変わったのは48市区町村でした。反対に「無」から「有」に変わった町も北海道に1つあり、差し引きでは47の減少です。

「有」から「無」に変わった市には、青森市、秋田市、東京都町田市、津市、兵庫県姫路市、広島県東広島市などがあります。

都道府県別に見ると、三重県は14から4へ、東京都は11から4へ、兵庫県は14から9へと減りました。秋田県、鹿児島県、青森県、茨城県、和歌山県では、所得制限のある市町村がなくなっています。

2.2 2025年4月時点の49のうち26は北海道

それでも、2025年4月時点で所得制限が残っていた49市区町村のうち、26は北海道の市町村でした。北海道は前年の39から13減ったものの、全国の半数を超えています。

政令指定都市では、札幌市、相模原市、広島市の3市が所得制限を設けていました。通院の助成の対象は、札幌市と相模原市が高校生年代まで、広島市が15歳の年度末まででした。

通院の子ども医療費助成に所得制限がある市区町村の数(都道府県別)2/2

通院の子ども医療費助成に所得制限がある市区町村の数を都道府県別に2024年4月と2025年4月で比べた棒グラフ。北海道は39から26、三重県は14から4、兵庫県は14から9、東京都は11から4に減った

出所:こども家庭庁「令和7年度 こどもに係る医療費の助成についての調査」、こども家庭庁「令和6年度 こどもに係る医療費の助成についての調査」を参考にLIMO編集部作成

  • 北海道:2024年4月39、2025年4月26
  • 三重県:2024年4月14、2025年4月4
  • 兵庫県:2024年4月14、2025年4月9
  • 東京都:2024年4月11、2025年4月4
  • 広島県:2024年4月5、2025年4月2
  • 岩手県:2024年4月3、2025年4月1
  • 秋田県:2024年4月2、2025年4月0
  • 鹿児島県:2024年4月2、2025年4月0
  • 青森県:2024年4月1、2025年4月0
  • 茨城県:2024年4月1、2025年4月0
  • 神奈川県:2024年4月1、2025年4月1
  • 京都府:2024年4月1、2025年4月1
  • 和歌山県:2024年4月1、2025年4月0
  • 山口県:2024年4月1、2025年4月1

2.3 北海道は2026年8月から補助の要件で所得制限を外した

北海道では、子ども医療費助成を実施しているのは市町村で、道は「乳幼児等医療給付事業」として費用の2分の1を補助しています。道の補助の対象は、就学前の子どもの通院・入院と、小学生の入院です。

北海道の2026年度の補助金交付要綱は、4月1日の版では、前年の所得が一定額以上の人を乳幼児等医療給付事業の対象から除いていました。8月1日から適用された改正版ではこの条件がなくなり、所得制限の撤廃に伴うシステム改修の費用も、1市町村1回・上限33万1000円として補助の対象に加わっています。

ただし、実際に所得制限をなくすかどうかは市町村が決めます。たとえば札幌市の案内(2026年7月6日更新)では、高校生年代まで助成したうえで、主たる生計維持者の所得が限度額未満であることを条件にしています。

この1年で、子ども医療費助成の所得制限をなくす市区町村が相次ぎました。住んでいる市区町村の条件は、市区町村のホームページにある子ども医療費助成の案内で確かめられます。