自営業やフリーランス、パートで働く人など、国民年金の保険料を自分で納める人は「第1号被保険者」と呼ばれます。2026年度(2026年4月分から)の国民年金保険料は月1万7920円です。
厚生労働省の「令和5年国民年金被保険者実態調査」によると、第1号被保険者1175万4000人のうち、保険料の納付者は50.2%でした。保険料を納めていない1号期間滞納者に理由を尋ねると、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が72.3%を占めています。
この記事では、第1号被保険者の保険料の納付状況と納めない理由、免除や猶予を受けた期間をあとから納める「追納」の制度がどのくらい知られているかを、調査の数字で確認します。
なお、公的年金の仕組みや2026年度の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 国民年金の第1号被保険者は、保険料を自分で納める自営業やパートの人など
公的年金は、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金(基礎年金)を1階、会社員や公務員などが上乗せで加入する厚生年金を2階とする「2階建て」の仕組みです。
会社員や公務員は第2号被保険者、その被扶養配偶者は第3号被保険者で、保険料を自分で納める必要はありません。これに対し、自営業者や学生、厚生年金に加入していないパートの人などは第1号被保険者として、国民年金保険料を自分で納めます。2026年度の保険料は月1万7920円です。
実態調査で第1号被保険者の就業状況を見ると、無職が33.7%、パート・アルバイト・臨時が31.9%、自営業主が18.7%、家族従業者が6.4%、常用雇用が5.9%でした。自営業の人より、パートなどで働く人や無職の人のほうが多くなっています。
2. 国民年金の第1号被保険者の保険料、納付者は50.2%
「令和5年国民年金被保険者実態調査」は、第1号被保険者の保険料の納付状況や意識を調べるため、厚生労働省が3年ごとに行っている調査です。令和5年3月末現在の第1号被保険者が対象で、結果は令和7年3月に公表されました。
第1号被保険者1175万4000人のうち、令和3年度・令和4年度に保険料を納めたことがある納付者は589万7000人で、全体の50.2%でした。このうち、すべての月を納めた完納者は40.6%です。申請全額免除者は19.4%、学生納付特例者は13.5%、納付猶予者は5.1%で、1号期間滞納者は11.9%でした。
令和2年の前回調査と比べると、納付者の割合は1.3ポイント、申請全額免除者の割合は2.7ポイント増え、1号期間滞納者の割合は3.7ポイント減っています。
2.1 1号期間滞納者の割合は25〜29歳の16.1%が最も高い
年齢階級別に見ると、納付者の割合は年齢が上がるほど高くなり、55〜59歳では65.7%でした。1号期間滞納者の割合は25〜29歳の16.1%が最も高く、それより上の年齢ではおおむね低くなっています。
2022年度に保険料を納める対象の月が12か月あった人を見ると、12か月すべて納めた人が71.5%、1か月も納めなかった人が16.2%と、二極化しています。
3. 国民年金保険料を納めない理由、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が72.3%
1号期間滞納者に国民年金保険料を納付しない理由を尋ねると、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が72.3%で最も多く、「うっかりして忘れた、後でまとめて払おうと思った」が7.0%、「納める保険料に比べて、十分な年金額が受け取れないと思う」が5.2%、「年金制度の将来が不安・信用できない」が4.6%で続きました。
「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と答えた人にその理由を聞くと、「もともと収入が少ない、あるいは不安定だったから」が55.4%、「失業、倒産、天災、事故、病気などにより所得が低下したから」が20.8%、「保険料より優先度の高い支出が多かったから」が18.2%でした。
一方で、保険料を納めていないことについての意識を尋ねると、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」が67.0%を占めています。
4. 免除や猶予を受けた期間の追納制度、知っている人は53.5%
経済的に保険料を納めるのが難しいときは、未納のままにせず、免除や納付猶予を申請する方法があります。日本年金機構によると、全額免除を受けた期間は、平成21年4月以降の分について保険料を納めた場合の2分の1の額が年金額に反映されます。一方、納付猶予や学生納付特例を受けた期間は、あとから保険料を納めなければ年金額には反映されません。
免除や猶予を受けた期間は、追納が承認された月の前10年以内の分であれば、あとから保険料を納めることができます。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。
実態調査で、保険料免除制度を知っていると答えた人に追納制度を知っているかを尋ねると、知っている人は53.5%でした。前回調査の50.7%から上がったものの、およそ半数にとどまります。また、国民年金保険料が税額の計算上、全額所得から控除されることを知っている人は46.0%でした。追納した保険料も、社会保険料控除の対象になります。
2026年10月1日からは、子を養育する第1号被保険者について、子が1歳になるまでの期間の保険料が届出により免除される育児免除制度も始まりました。この期間は、保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。
国民年金保険料の納付者は第1号被保険者の50.2%で、納めない理由の72.3%は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」でした。
保険料を納めるのが難しい時期にどの制度を使えるか、使った期間があとで年金額にどう響くかを知っておくことが、将来の年金額を守ることにつながります。
ここからは、2026年度の年金額と国民年金の月額ごとの受給権者数を確認し、最後に筆者の考えをまとめます。

