9月30日の福岡県を皮切りに、10月に入って各地の人事委員会が「職員の給与等に関する報告及び勧告」を相次いで出しました。
2026年10月13日までに勧告を確認できた8府県では、どこも地方公務員の月給とボーナスの引き上げを求めています。
地方公務員の給与は、この勧告をもとに各議会の条例改正で決まります。この記事では、8府県の勧告資料から月給・ボーナス・年収の3点を並べ、どれだけ上がるのかを確かめていきます。
1. 【人事委員会勧告】8府県の地方公務員の月給は民間より1万円以上低かった
人事委員会は、職員の給与と民間の給与を比べ、その差(公民較差)を埋めるよう勧告します。2026年は確認できた8府県すべてで、職員の月給が民間を1万1000円以上下回っていました。
2026年の都道府県人事委員会勧告では、月給の差は1万1065円から1万3171円、ボーナスは鳥取県を除き年4.70月に1/2
出所:福岡県・愛知県・鳥取県・岐阜県・新潟県・沖縄県・熊本県・京都府の各人事委員会「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要をもとにLIMO編集部作成
【月給の差(公民較差)】
- 福岡県(9月30日):1万1465円(2.97%)
- 愛知県(10月6日):1万2481円(3.09%)
- 鳥取県(10月7日):1万1065円(3.02%)
- 岐阜県(10月8日):1万2229円(3.17%)
- 新潟県(10月8日):1万3113円(3.40%)
- 沖縄県(10月8日):1万1296円(3.00%)
- 熊本県(10月9日):1万3171円(3.49%)
- 京都府(10月13日):1万2010円(3.08%)
1.1 職員の平均月給は36万円台から40万円台
比べる元になった職員の平均月給は、各府県の資料で次のとおりです。最も高いのは愛知県の40万4097円で、最も低い鳥取県の36万6828円とは3万7269円の開きがあります。
- 福岡県:38万6661円(行政職・平均41.0歳)
- 愛知県:40万4097円(行政職・平均40.7歳)
- 鳥取県:36万6828円
- 岐阜県:38万5768円
- 新潟県:38万5989円(行政職)
- 沖縄県:37万6992円
- 熊本県:37万7834円(行政職・平均42歳3か月)
- 京都府:38万9561円
1.2 差が最も大きいのは熊本県の3.49%
違いの割合で見ると、熊本県の3.49%、新潟県の3.40%が大きくなりました。新潟県の資料によると、改定額が1万円を超えるのは35年ぶりのことです。
熊本県は、人事院勧告に準じた給料表にさらに100分の101.08を掛ける形をとりました。給与月額は37万7834円から39万986円へ、1万3152円上がる計算です。
2. 地方公務員のボーナスは年4.65月から4.70月へ
特別給(期末手当・勤勉手当)も、民間の支給月数に合わせて引き上げを求めています。8府県のうち7府県は、年4.65月分から4.70月分への0.05月分の引き上げです。
2.1 鳥取県は4.45月から4.50月に
鳥取県だけは、もとの支給月数が4.45月分で、改定後は4.50月分でした。12月期は期末手当が1.2875月分、勤勉手当が0.9875月分になります。
2.2 愛知県の期末手当と勤勉手当の内訳
たとえば愛知県では、6月期・12月期とも、期末手当が1.2625月分から1.275月分に、勤勉手当が1.0625月分から1.075月分に上がります。年間で0.05月分の引き上げを、2回のボーナスに0.025月分ずつ分けた形です。
初任給も上がります。大卒程度では福岡県・鳥取県・新潟県が24万7100円、沖縄県が24万1500円となり、愛知県と京都府は地域手当を含めて約1万500円の引き上げです。
3. 行政職の年収は熊本県で24万5000円、愛知県で23万2000円増える
月給とボーナスが上がると、年収はどれだけ増えるのでしょうか。8府県のうち5県は、勧告資料に職員の平均年間給与の改定前と改定後を載せています。
勧告どおりに改定されると、行政職などの平均年間給与は20万円台の増加。最も高い愛知県は698万6000円に2/2
出所:福岡県・愛知県・新潟県・沖縄県・熊本県の各人事委員会「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要をもとにLIMO編集部作成
【平均年間給与(改定前→改定後)】
- 福岡県(行政職):651万6607円→673万2874円(21万6267円増)
- 愛知県(行政職):675万4000円→698万6000円(23万2000円増)
- 新潟県(行政職):645万6000円→670万円(24万4000円増)
- 熊本県(行政職):635万5000円→660万円(24万5000円増)
- 沖縄県(県職員):624万8000円→645万7000円(20万9000円増)
3.1 改定後の年収は645万円台から698万円台
改定後で比べると、愛知県の698万6000円と沖縄県の645万7000円には52万9000円の差があります。愛知県の資料では、増加額の23万2000円が1999年以降で最も高い額とされています。
沖縄県は資料に増加額が書かれていないため、改定前と改定後の差を計算しました。また、沖縄県の数字は行政職ではなく県職員の平均で、ほかの4県とは対象が少し違う点に注意が必要です。
3.2 新潟県のモデル給与では55歳部長級が1045万円台に
新潟県は、年齢と役職ごとのモデル給与(年間)も示しています。改定後は25歳の係員で432万9000円、55歳の部長級で1045万2000円です。
- 25歳・係員:413万8000円→432万9000円
- 35歳・主任:528万6000円→551万1000円
- 45歳・補佐級:681万7000円→707万9000円
- 50歳・課長級:866万4000円→896万3000円
- 55歳・部長級:1010万6000円→1045万2000円
8府県の勧告は、月給で1万1000円から1万3000円台、ボーナスで0.05月分の引き上げを求める内容でした。年収で見ると、資料に載っている5県では20万円台の増加です。
実際にいつからいくら上がるかは、各府県の議会での条例改正で決まります。お住まいの都道府県の勧告は、人事委員会のホームページに掲載された「報告及び勧告の概要」で確かめられます。
勧告から条例改正までの流れや、総務省が10月9日に出した通知の中身、国家公務員の人事院勧告との違いを、次のページで見ていきます。