在学中の授業料は、入学したときの額のまま続く。そう考えていたご家庭には、気になる話題かもしれません。
国立大学の後期分の授業料は、10月下旬に口座振替で納める大学が多く、熊本大学の2026年度後期分の振替日は10月27日です。
その熊本大学は、2027年度から授業料を年53万5800円から59万4600円に上げると公表しました。新しく入学する学生だけでなく、在学生を含めた全学年に一斉に適用され、年5万8800円の負担増になります。
この記事では、国立大学の授業料の決まり方や熊本大学の改定内容、入学年度ごとに卒業までの授業料がいくら増えるのか、授業料減免を受けている世帯への対応について確認します。
1. 国立大学の授業料はどう決まる?標準額は年53万5800円、上限は64万2960円
国立大学の授業料は、国が定める標準額をもとに、それぞれの国立大学法人が決めています。標準額は年53万5800円で、各大学は標準額の120%にあたる年64万2960円まで授業料を定めることができます。
授業料は年額を前期と後期に分けて、2分の1ずつ納めるのが一般的です。熊本大学の2026年度の授業料は、学部・学環と大学院のいずれも半期ごとに26万7900円で、前期分は4月27日、後期分は10月27日に口座から振り替えられます。
標準額は2005年度から変わっていませんが、近年は物価の上昇などを理由に、標準額を上回る授業料に改定する国立大学が出てきています。
2. 熊本大学の授業料は2027年度から年59万4600円に、学部も大学院も全学年一斉
熊本大学は「熊本大学における授業料の改定について」で、2027年度から授業料の改定を実施すると公表しています。対象は学部・学環、大学院のほか、特別支援教育特別専攻科、養護教諭特別別科、研究生、科目等履修生などです。
2.1 学部・学環と大学院は、年5万8800円の値上げ
学部・学環の授業料は、年53万5800円から59万4600円に上がります。値上げ額は年5万8800円で、熊本大学は約11%の値上げとしています。大学院の授業料も学部と同じ額で改定され、年59万4600円になります。
特別支援教育特別専攻科と養護教諭特別別科は、年27万3900円から30万3900円へ3万円上がります。研究生は月額2万9700円から3万2900円に、科目等履修生は1単位1万4800円から1万6400円になります。
2.2 上限の64万2960円までは上げず、入学料と検定料は据え置き
改定後の59万4600円は、国立大学が定められる上限の年64万2960円より4万8360円低い額です。入学料と検定料は、今回の改定では変更しません。
熊本大学は値上げの理由として、物価高騰や賃上げの影響が、大学の自助努力による節減の効果を上回っていることを挙げています。増える分は、施設の修繕や無線LAN環境の整備、教育の質の向上などに充てるとしています。
3. 在学生の授業料も上がる?2026年度入学なら4年間で17万6400円増える
今回の改定は全学年に一斉に適用されるため、2027年度に入学する学生だけでなく、すでに在学している学生の授業料も上がります。4年制の学部で、入学した年度ごとに4年間の授業料の合計を計算すると、次のとおりです。2028年度以降も59万4600円のままと仮定した試算です。
3.1 2026年度入学の学生は、2年生からの3年分が59万4600円に
2026年度に入学した学生は、1年生の授業料が53万5800円で、2027年度からの3年分が59万4600円になります。4年間の合計は231万9600円で、改定がなかった場合の214万3200円より17万6400円多くなります。
3.2 2025年度入学は11万7600円、2024年度入学は5万8800円増える
2025年度に入学した学生は、3年生と4年生の2年分が改定後の額になり、4年間の合計は226万800円で11万7600円の増加です。2024年度に入学した学生は4年生の1年分だけが上がり、5万8800円の増加になります。
2027年度に入学する学生は4年間すべてが改定後の額で、合計は237万8400円です。
4. 授業料減免を受ける世帯は値上げ分も免除、世帯年収425万円以下にも広げる
国の高等教育の修学支援新制度では、住民税非課税世帯などの学生に授業料の減免があります。国立大学の授業料の減免の上限は、標準額と同じ年53万5800円です。
熊本大学は、修学支援新制度で授業料の3分の2または3分の1の免除を受ける世帯について、値上げ分を免除するとしています。
さらに大学独自の制度として、世帯年収の基準を380万円以下から425万円以下に引き上げ、新たに基準に当てはまる世帯も値上げ分を免除します。大学院生なども同じ扱いです。
熊本大学の授業料は、2027年度から学部・学環と大学院で年59万4600円になり、在学生にも一斉に適用されます。2026年度に入学した学生の場合、4年間の授業料は17万6400円増える計算です。
修学支援新制度で授業料の減免を受けている世帯や、世帯年収が425万円以下の世帯は、値上げ分が免除の対象になります。
続いて、改定後の授業料の納め方と、国立大学ごとの改定の違い、卒業までの学費の見通しの立て方を見ていきます。