国税庁の最新の調査「令和7年分 民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)では、1年間勤め続けた人の平均給与が487万円となり、前の年より1.9%増えました。そのうち男性は597万円です。物価が上がるなか、自分の年収が同じ年代と比べてどうか、気になる方も多いでしょう。
年収に関する話で話題に挙がりがちなのが、アニメキャラの年収です。人気アニメ『クレヨンしんちゃん』の主人公、しんちゃんの父である野原ひろしの平均年収の目安は600万円台ですが、現代では無理ではないか、野原ひろしと同じ年代の人の平均年収はどれくらいなのか気になる方もいるでしょう。
今回は野原ヒロシに視点をあて、その年収を現代版と照らし合わせて確認していきます。
宮野茉莉子:野村證券で個人の資産運用のコンサルティングを担当し、現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO」編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)合格。
1. 野原ひろしは年収約600万円【35〜39歳の男性の平均年収は?】平均で597万7000円に
まずは、ひろしの年収と、今の同じ年代の平均を確かめます。
野原ひろしは35歳で、1994年に放送された回で手取りが約30万円と紹介されていることから、額面を約38万円と推定しています。ボーナスを夏と冬に給与の2か月分ずつとすると、年収は約600万円になります。
ちなみにひろしは妻と子ども2人の4人家族で、住宅ローンで建てた一戸建てに住んでいる設定です。
では、現代においての同年代はどうでしょうか。国税庁の統計表で、1年を通じて勤めた男性の平均給与を年齢ごとにみると、30〜34歳が528万7000円、35〜39歳が597万7000円、40〜44歳が647万8000円です。35歳のひろしと同じ年代の平均は、ひろしの年収とほぼ同じ水準にあります。
2. 【「ふつう」はどれくらい?】男性全体で年収600万円を超える人は37.4%。男性の中央値は400万円超500万円以下
平均は年収の高い人に引っ張られやすく、「ふつう」の感覚とずれることがあります。同じ調査で「年齢を問わず1年を通じて勤めた男性全体(約2934万人)」の給与の分布をみると、最も多いのは400万円超500万円以下で16.6%、次いで500万円超600万円以下が14.6%です。600万円を超える人を合わせると約1097万人で37.4%と、4割に届きません。反対に、500万円以下の人を合わせると約1409万人で48.0%と、ほぼ半数にあたります。
ここでいう平均給与には、正社員だけでなく、パートなど正社員以外で働く人も含まれます。この分布は年齢を問わない男性全体の数字です。35〜39歳だけの分布はこの調査にはなく、同じ35〜39歳でも、勤め先の規模や業種、働き方によって年収はさまざまに分かれます。
こうしてみると、ひろしの年収は「今では無理な金額」というより、同じ年代の平均にあたる金額といえるでしょう。一方で、男性全体でみると年収600万円を超える人は4割に届かないため、多くの人にとっては少し上の水準に見えるのも自然なことだと考えられます。
まとめると、ひろしの年収約600万円は今の35〜39歳の男性の平均とほぼ同じですが、年収の分布でみると上のほうにあたります。自分と比べるときは、平均だけでなく分布もあわせて見るとよいでしょう。
また、当時とは物価や社会保険料など暮らしにかかるお金が異なります。生活的な実感としては年収だけでなく、手取りや家計でも考えることが大切でしょう。
