個人向け国債の利率が上がり、預金の一部を国債に移すかどうか考えている方も多いのではないでしょうか。実際に、個人向け国債を買う人は大きく増えています。
財務省の「個人向け国債の発行額の推移」によると、2026年の個人向け国債の発行額は、1月から10月までの発行分の合計で8兆2947億円になりました。これまで1年間で最も多かった2006年の7兆5605億円を、10月発行分の時点で上回っています。
この記事では、10月30日まで募集している個人向け国債の利率と決まり方を確認したうえで、2026年の発行額が月ごと・タイプごとにどう積み上がってきたかを見ていきます。
1. 個人向け国債の10月募集分は固定5年が年2.39%、募集は10月30日まで
財務省は2026年10月7日、10月8日から募集している個人向け国債の発行条件を発表しました。個人向け国債には、満期と金利のタイプが違う固定3年・固定5年・変動10年の3種類があります。
1.1 固定3年は年2.07%、変動10年は初回の利率が年2.05%
10月募集分の利率(年率・税引前)は、固定5年(第187回債)が年2.39%、固定3年(第197回債)が年2.07%、変動10年(第199回債)が初回の利子に適用される利率で年2.05%です。
募集期間は10月8日から30日までで、発行日は11月16日です。償還期限は固定3年が2029年11月15日、固定5年が2031年11月15日、変動10年が2036年11月15日です。
1.2 個人向け国債の利率は基準金利から決まり、3タイプとも下限は年0.05%
固定5年の利率は「基準金利-0.05%」、固定3年は「基準金利-0.03%」で求めます。10月募集分の基準金利は、固定5年が2.44%、固定3年が2.10%でした。
変動10年の利率は「基準金利×0.66」で、10月募集分の初回の基準金利は3.10%です。変動10年の利率は半年ごとに見直され、3タイプとも金利の下限は年0.05%です。
2. 2026年の個人向け国債の発行額は10月発行分までで8兆2947億円、2006年の1年分を上回った
財務省は、個人向け国債の発行額を発行月ごと・タイプごとに公表しています。2026年10月15日発行分(9月募集分)までを足し上げ、年ごとの発行額と比べてみます。
2.1 個人向け国債の発行額は、2006年の7兆5605億円がこれまでの年間の最高
個人向け国債は2003年3月に変動10年の発行が始まりました。年ごとの発行額は2006年の7兆5605億円が最も多く、その後は減って2010年には9037億円でした。2025年は5兆2803億円です。
2026年は1月から9月までの発行分で7兆2696億円となり、10月発行分を加えた合計は8兆2947億円です。2006年の年間の発行額を、2か月を残して上回りました。
2.2 10月発行分は1兆250億円で、3か月続けて1兆円を超えた
10月15日に発行された分(9月募集分)の発行額は1兆250億9160万円でした。8月発行分の1兆177億円、9月発行分の1兆729億円に続き、3か月続けて1か月で1兆円を超えています。
10月発行分をタイプ別にみると、固定5年が5292億7531万円で51.6%、変動10年が3455億6541万円で33.7%、固定3年が1502億5088万円で14.7%でした。
【2026年の月別発行額(3タイプの合計・億円未満は四捨五入)】
- 1月:5034億円
- 2月:7530億円
- 3月:8743億円
- 4月:7214億円
- 5月:9435億円
- 6月:7272億円
- 7月:6562億円
- 8月:1兆177億円
- 9月:1兆729億円
- 10月:1兆251億円
2.3 年度でみると、令和8年度は7か月で令和7年度1年間の6兆1526億円を上回った
4月から翌年3月までの年度で数えると、令和7年度の発行額は6兆1526億円でした。令和8年度は4月から10月までの発行分で6兆1641億円となり、7か月で前の年度1年分を上回っています。
個人向け国債の10月募集分は、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%、変動10年が初回年2.05%で、募集は10月30日までです。2026年の発行額は10月発行分までで8兆2947億円となり、これまで年間で最も多かった2006年を上回りました。
個人向け国債の利率と募集期間は、財務省のホームページの「現在募集中の個人向け国債」で確かめられます。取扱機関の窓口やインターネット取引の画面でも、同じ利率が案内されています。
ここからは、元銀行員として資産運用のご相談に携わってきた立場から、2006年と2026年の発行額の中身の違いと、申し込む前に確かめておきたいことを見ていきます。