スーパーやコンビニのレジで、1年前より値上がりしたと感じる場面は増えていないでしょうか。

日本銀行が2026年10月13日に公表した「生活意識に関するアンケート調査(第107回<2026年9月調査>)」によると、物価が1年前より「上がった」と答えた人は95.5%、1年後も「上がる」と見込む人は88.6%にのぼりました。

ただし、1年後の予想が前回の6月調査から1.8ポイント低下している点にも注目したいところです。暮らし向きの回答や数字の読み方の注意点とあわせ、最新の結果を整理します。

1. そもそも日銀の「生活意識に関するアンケート調査」とは?

「生活意識に関するアンケート調査」は、日本銀行が1993年から実施している調査です。景気や暮らし向き、物価、収入・支出に対する生活者の実感を尋ねる内容が中心となっています。

企業短期経済観測調査(短観)のような統計調査とは異なり、生活者の意識や行動を大まかに把握する一種の世論調査というのが日銀の位置づけです。

第107回の調査期間は2026年8月3日から9月4日で、全国の満20歳以上の個人4000人を層化二段無作為抽出法で選びました。郵送調査法(郵送またはインターネットで回答)で実施し、有効回答者数は1972人(有効回答率49.3%)です。

2. 物価が「上がった」と感じる人は95.5%、1年後も88.6%が「上がる」と予想

物価実感と1年後の物価予想の回答割合1/4

物価実感と1年後の物価予想の回答割合

出所:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(第107回)」をもとにLIMO編集部作成

  • 物価実感「上がった」の合計:2026年3月95.0%、6月95.3%、9月95.5%
  • 1年後の物価予想「上がる」の合計:2026年3月83.7%、6月90.4%、9月88.6%

2.1 1年前と比べた物価の実感はどうなっている?

現在の物価を1年前と比べた設問では、「かなり上がった」が68.9%、「少し上がった」が26.6%でした。合計した「上がった」は95.5%に達しています。「ほとんど変わらない」は2.4%で、「少し下がった」と「かなり下がった」の合計は1.1%です。

3月調査の95.0%、6月調査の95.3%からわずかに増加し、9割台半ばの高い水準が続いています。変化率を数字で答える設問では、平均値(極端な値を除いた平均)がプラス16.2%、中央値がプラス10.0%という結果でした。

2.2 1年後の物価はどう見られている?

1年後の物価について「かなり上がる」と「少し上がる」を合計した「上がる」は、88.6%でした。

6月調査の90.4%から1.8ポイント低下したものの、8割台後半という高い水準です。内訳では、「かなり上がる」が40.5%から34.5%へ6.0ポイント減少し、「少し上がる」は49.9%から54.1%へ増加しています。

1年後の上昇率の予想は、平均値がプラス11.8%、中央値がプラス10.0%でした。あくまで計算上の例ですが、中央値の10%を月の生活費が20万円の世帯に当てはめると、毎月の支出は22万円となり、年間では24万円増える計算です。

3. 暮らし向きは?「ゆとりがなくなってきた」は54.4%

1年前と比べた暮らし向きでは、「ゆとりがなくなってきた」が54.4%(6月調査は55.0%)と過半数を占めました。「どちらとも言えない」は40.3%、「ゆとりが出てきた」は4.5%でした。

ゆとりがなくなった理由(複数回答)で最も多かったのは、「物価が上がったから」の91.4%です。「給与や事業などの収入が減ったから」の29.0%を大きく上回りました。

熊谷 良子

アンケート調査の数字は、「何をどう尋ねたか」と「誰が答えたか」によって意味合いが変わります。今回の物価の設問は、回答者自身が購入する物やサービスの価格全体について、1年前と比べた実感を尋ねたものです。

人によって買うものも頻度も違うため、同じ「上がった」でも、思い浮かべている品目は同じとは限りません。

また、日銀はこの調査を、統計調査とは異なる一種の世論調査と説明しています。物価の動きを測る公的統計とは役割が違い、どちらが正しいかを競うものではありません。

数字を見るときは、割合の大きさだけでなく、質問文や回答者の構成にも目を向けたいところです。2ページ目では、読むときに押さえておきたい点を順に整理します。