所得や資産が一定の水準を超えると、確定申告とは別に、持っている財産と債務の一覧を税務署に出す義務があります。それが「財産債務調書」です。

国税庁が公表した「国税庁レポート2026」によると、令和6年分の財産債務調書の提出件数は8万3427件、調書に記載された財産総額は142兆2965億円でした。

この記事では、財産債務調書を出す人の条件を確認したうえで、平成30年分からの提出件数と財産総額の推移を見ていきます。

1. 財産債務調書を出すのは、所得2000万円超で財産3億円以上か、財産10億円以上の人

財産債務調書は、一定の所得や財産がある人が、12月31日時点で持っている財産の種類・数量・価額と、債務の金額などを記載して出す書類です。国税庁のタックスアンサー「No.7457 財産債務調書の提出義務」で、提出が必要な人を確認します。

1.1 財産債務調書の提出義務者は2通り

No.7457によると、財産債務調書の提出が必要なのは、次のどちらかに当てはまる人です。

  • 所得税の確定申告書を出す必要がある人などで、退職所得を除く各種所得金額の合計額が2000万円を超え、かつ12月31日時点で合計3億円以上の財産、または合計1億円以上の有価証券等を持っている人
  • 12月31日時点で合計10億円以上の財産を持っている居住者(上の条件に当てはまる人を除く)

財産債務調書は、12月31日時点の状況について、翌年の6月30日までに所得税の納税地などを所轄する税務署長に提出します。提出するときは「財産債務調書合計表」も作成して添付します。

1.2 令和5年分から、所得に関係なく財産10億円以上の居住者も対象に

2つ目の「財産10億円以上」の条件は、令和4年度税制改正で加わりました。国税庁のリーフレット「財産債務調書制度等の見直しについて」によると、令和5年分以後の財産債務調書から適用されています。

同じ改正で、提出期限は翌年の3月15日から6月30日に後ろ倒しになりました。令和4年分以前の財産債務調書は、改正前の取り扱いのままです。

2. 令和6年分の財産債務調書は8万3427件、記載された財産総額は142兆2965億円

国税庁は、財産債務調書の提出件数と記載された財産総額を「国税庁レポート」の資料編で公表しています。国税庁レポート2026で、平成30年分からの7年分の財産債務調書の推移を確認します。

財産債務調書の提出件数と記載された財産総額は、令和6年分がどちらも7年間で最も多くなりました1/2

財産債務調書の提出件数と記載された財産総額の推移を示した棒グラフ。提出件数は平成30年分7万2633件、令和元年分7万2248件、令和2年分7万2215件、令和3年分7万5005件、令和4年分7万4772件、令和5年分7万8801件、令和6年分8万3427件。財産総額は平成30年分86.9兆円から令和6年分142.3兆円まで

出所:国税庁「国税庁レポート2026」をもとにLIMO編集部作成

同レポートによると、財産債務調書の提出件数は次のとおりです。

  • 平成30年分:7万2633件
  • 令和元年分:7万2248件
  • 令和2年分:7万2215件
  • 令和3年分:7万5005件
  • 令和4年分:7万4772件
  • 令和5年分:7万8801件
  • 令和6年分:8万3427件

財産債務調書に記載された財産総額は、次のとおりです。

  • 平成30年分:86兆8825億円
  • 令和元年分:93兆2571億円
  • 令和2年分:99兆8709億円
  • 令和3年分:105兆1238億円
  • 令和4年分:108兆1254億円
  • 令和5年分:125兆1805億円
  • 令和6年分:142兆2965億円

2.1 前年の令和5年分から、件数は4626件、財産総額は17兆1160億円増えた

令和6年分の財産債務調書は、令和5年分の7万8801件から4626件増えました。増加率は約5.9%です。

記載された財産総額は、令和5年分の125兆1805億円から17兆1160億円増え、増加率は約13.7%でした。件数より財産総額の伸びのほうが大きいことがわかりますね。

「財産10億円以上」の条件が加わった令和5年分は、令和4年分の7万4772件から4029件増えていました。令和5年分・令和6年分と、2年続けて件数が増えています。

2.2 平成30年分と比べると、財産総額は6年で約1.6倍に

平成30年分の財産債務調書は7万2633件、財産総額は86兆8825億円でした。令和6年分と比べると、件数は1万794件(約14.9%)の増加にとどまる一方、財産総額は55兆4140億円(約63.8%)増えています。

財産総額を提出件数で単純に割ると、1件あたりの財産額は平成30年分の約12億円から、令和6年分は約17億円になります。

中本 智恵
財産債務調書は、12月31日という1日の残高で判定します。株価が上がった年は、同じ株を持ち続けているだけでも価額が膨らむので、年末の取引残高報告書や通帳で一度確かめておきたいところです。