獣医師として働く人の年収は、民間などで働く場合と、都道府県の職員として働く場合とでどのくらい違うのでしょうか。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、獣医師のきまって支給する現金給与額は49万7200円でした。総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」では、獣医師を含む職種区分である都道府県の「薬剤師・医療技術職」の平均給与月額は41万4875円です。
この記事では、2つの調査の月収・ボーナス・年収の目安を同じ比較し、月収とボーナスのどちらで差が生まれているのかを確認します。
1. 賃金構造基本統計調査の獣医師の月収・ボーナス・年収の目安
はじめに、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種が獣医師の人の給与を見ていきます。
1.1 獣医師は約4500人、平均年齢は38.7歳
賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者の賃金を職種別に公表しています。獣医師は約4500人で、平均年齢は38.7歳、平均の勤続年数は9.6年でした。
残業代なども含めた、きまって支給する現金給与額は49万7200円です。このうち所定内給与額は45万3100円で、残りの4万4100円が超過労働給与にあたります。
1.2 年間賞与を足すと獣医師の年収の目安は680万5100円
年間賞与その他特別給与額は83万8700円です。きまって支給する現金給与額の12か月分に足すと、獣医師の年収の目安は680万5100円になります。
2. 都道府県の薬剤師・医療技術職の月収・ボーナス・年収の目安
続いて、総務省の調査で、都道府県に勤める薬剤師・医療技術職の給与を同じ並びで確認します。
2.1 家畜保健衛生所などで働く獣医師は「薬剤師・医療技術職」に区分される
総務省の調査は、地方公務員の給与を職種ごとに集計しています。総務省が示している職種区分の説明では、薬剤師・医療技術職は、国の医療職俸給表(二)が適用される職員に相当する職員と、獣医師の資格を持ち、保健所や家畜保健衛生所などで獣医師としての本来の業務に従事している職員が対象です。
家畜保健衛生所は、家畜保健衛生所法で都道府県が設置すると定められています。この記事では、獣医師を含むこの区分のうち、都道府県の数字を使います。
2.2 都道府県の薬剤師・医療技術職は1万1493人、平均給与月額は41万4875円
令和7年4月1日時点で、都道府県の薬剤師・医療技術職は1万1493人、平均年齢は42.6歳でした。
平均給与月額は41万4875円です。このうち給料が33万6588円、通勤手当や地域手当などの諸手当が7万8287円でした。
2.3 期末手当・勤勉手当を足すと年収の目安は668万4345円
期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で170万5845円です。内訳は期末手当が92万2684円、勤勉手当が78万3161円でした。平均給与月額の12か月分に足すと、年収の目安は668万4345円になります。
【獣医師(賃金構造基本統計調査・平均38.7歳)】
- 月収(きまって支給する現金給与額):49万7200円
- ボーナス(年間賞与その他特別給与額):83万8700円
- 年収の目安:680万5100円
【都道府県の薬剤師・医療技術職(1万1493人・平均42.6歳)】
- 月収(平均給与月額):41万4875円
- ボーナス(期末手当・勤勉手当):170万5845円
- 年収の目安:668万4345円
3. 獣医師と都道府県の薬剤師・医療技術職の年収の差は12万755円
2つの調査を並べると、年収の目安は賃金構造基本統計調査の獣医師のほうが12万755円高くなりました。ただし、月収とボーナスでは結果が逆になっています。
3.1 月収は獣医師が8万2325円高く、ボーナスは都道府県が86万7145円多い
月収は獣医師のほうが8万2325円高く、12か月分にすると98万7900円の差です。一方、ボーナスは都道府県の薬剤師・医療技術職のほうが86万7145円多く、獣医師の年間賞与83万8700円の約2倍にあたります。月収の差をボーナスの差がほぼ埋め、年収の目安の差は12万755円になりました。
3.2 2つの調査は時点と職種の範囲が違う
賃金構造基本統計調査の獣医師の月収は2025年6月分、賞与は2024年1月から12月までの1年間の額です。都道府県の薬剤師・医療技術職の月収は令和7年4月分、ボーナスは令和6年度に支給された額です。
また、総務省の調査の薬剤師・医療技術職には、獣医師のほかに薬剤師や栄養士なども含まれます。年収の目安は、どちらも「月収×12か月+ボーナス」で計算しています(LIMO編集部計算)。
4. 都道府県と市区町村で薬剤師・医療技術職の年収の目安は45万4313円違う
同じ薬剤師・医療技術職でも、勤め先が都道府県か市区町村かで給与は変わります。総務省の調査で、市区町村と一部事務組合などを合わせた区分と比べてみます。
4.1 市区町村などの薬剤師・医療技術職は2万3830人、年収の目安は623万32円
市区町村などの薬剤師・医療技術職は2万3830人で、平均年齢は41.1歳でした。平均給与月額は38万7918円、期末手当・勤勉手当は157万5016円で、年収の目安は623万32円です。
都道府県の668万4345円との差は45万4313円で、内訳は月収の差2万6957円の12か月分で32万3484円、ボーナスの差で13万829円でした。
4.2 初任給調整手当は都道府県が5475円、市区町村などは419円
諸手当を比べると、都道府県は初任給調整手当が職員1人当たり平均5475円で、市区町村などの419円を大きく上回ります。通勤手当も都道府県が1万5234円、市区町村などが7588円でした。いずれも、支給されていない職員を含めた平均額です。
賃金構造基本統計調査の獣医師の年収の目安は680万5100円、都道府県の薬剤師・医療技術職は668万4345円で、差は12万755円でした。月収は獣医師が8万2325円高い一方、ボーナスは都道府県が86万7145円多くなっています。
薬剤師・医療技術職の年収の目安は、都道府県と市区町村などの間でも45万4313円違い、初任給調整手当の平均額にも差が見られました。
ここからは、家畜保健衛生所に勤める獣医師の給料表や初任給調整手当の状況と、賃金構造基本統計調査の獣医師の年齢階級別の年収を確認します。