薬剤師として働く人の年収は、勤め先が自治体かどうかでどのくらい変わるのでしょうか。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」によると、自治体で「薬剤師・医療技術職」に区分される職員の平均給与月額は39万6686円でした。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、薬剤師のきまって支給する現金給与額は39万8700円です。月収だけを見ると、2つの調査の差は2014円しかありません。

この記事では、2つの調査の月収・ボーナス・年収の目安を同じ並びで比べ、年収の差がどこから生まれているのかを確認します。

1. 自治体の薬剤師・医療技術職の月収・ボーナス・年収の目安

まずは、地方公務員として働く薬剤師・医療技術職の給与から見ていきます。

1.1 薬剤師・医療技術職は3万5323人、平均給与月額は39万6686円

総務省の調査は、地方公務員の給与を職種ごとに集計しています。薬剤師・医療技術職は、その職種区分の一つです。総務省が示している職種区分の説明では、国の医療職俸給表(二)が適用される職員に相当する職員などがこの区分に入り、職務内容が似ている国家公務員の例として薬剤師と栄養士が挙げられています。

令和7年4月1日時点の薬剤師・医療技術職は3万5323人で、平均年齢は41.6歳でした。

平均給与月額は39万6686円です。このうち給料が32万2864円、地域手当や時間外勤務手当などの諸手当が7万3822円でした。

1.2 期末手当・勤勉手当を足すと年収の目安は637万8426円

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で161万8194円です。内訳は期末手当が87万9005円、勤勉手当が73万9189円でした。

平均給与月額の12か月分にボーナスを足して年収の目安を出すと、637万8426円になります。

2. 賃金構造基本統計調査の薬剤師の月収・ボーナス・年収の目安

続いて、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種が薬剤師の人の給与を同じ並びで確認します。

2.1 薬剤師は約9万4850人、平均年齢は40.1歳

賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者の賃金を職種別に公表しています。薬剤師は約9万4850人で、平均年齢は40.1歳、平均の勤続年数は8.6年でした。

残業代なども含めた、きまって支給する現金給与額は39万8700円です。このうち所定内給与額は36万9700円で、残りの2万9000円が超過労働給与にあたります。

2.2 年間賞与を足すと薬剤師の年収の目安は566万7900円

年間賞与その他特別給与額は88万3500円です。きまって支給する現金給与額の12か月分に足すと、薬剤師の年収の目安は566万7900円になります。

自治体の薬剤師・医療技術職と薬剤師の月収・ボーナス・年収の目安1/2

総務省の令和7年地方公務員給与の実態と厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、自治体の薬剤師・医療技術職と薬剤師の平均年齢、月収、ボーナス、年収の目安を比べた表。薬剤師・医療技術職は41.6歳、月収39万6686円、ボーナス161万8194円、年収の目安637万8426円。薬剤師は40.1歳、月収39万8700円、ボーナス88万3500円、年収の目安566万7900円で、差は71万526円

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を参考にLIMO編集部作成

【自治体の薬剤師・医療技術職(3万5323人・平均41.6歳)】

  • 月収(平均給与月額):39万6686円
  • ボーナス(期末手当・勤勉手当):161万8194円
  • 年収の目安:637万8426円

【薬剤師(賃金構造基本統計調査・平均40.1歳)】

  • 月収(きまって支給する現金給与額):39万8700円
  • ボーナス(年間賞与その他特別給与額):88万3500円
  • 年収の目安:566万7900円

3. 自治体の薬剤師・医療技術職と薬剤師の年収の差は71万526円

2つの調査を並べると、年収の目安は自治体の薬剤師・医療技術職のほうが71万526円高くなっています。

3.1 月収は薬剤師が2014円高く、ボーナスは自治体が73万4694円多い

月収は賃金構造基本統計調査の薬剤師のほうが2014円高く、12か月分では2万4168円の差です。一方、ボーナスは自治体の薬剤師・医療技術職のほうが73万4694円多く、161万8194円は薬剤師の年間賞与88万3500円の約1.8倍にあたります。年収の目安の差71万526円は、ほぼボーナスの差で説明できます。

3.2 2つの調査は時点と職種の範囲が違う

自治体の薬剤師・医療技術職の月収は令和7年4月分、ボーナスは令和6年度に支給された額です。賃金構造基本統計調査の薬剤師の月収は2025年6月分、賞与は2024年1月から12月までの1年間の額です。

また、総務省の調査の薬剤師・医療技術職には、薬剤師以外の職種も含まれます。年収の目安は、どちらも「月収×12か月+ボーナス」で計算しています(LIMO編集部計算)。

4. 薬剤師の月収と賞与は勤め先の規模で変わる

賃金構造基本統計調査では、薬剤師の給与を勤め先の企業規模別にも公表しています。規模によって、月収と賞与の組み合わせが大きく変わります。

4.1 企業規模10〜99人の薬剤師は月収44万3000円で最も高く、賞与は55万1500円

  • 1000人以上(約5万2890人・平均36.2歳):月収39万2400円・賞与94万200円・年収の目安564万9000円
  • 100〜999人(約3万610人・平均44.3歳):月収39万3200円・賞与90万8700円・年収の目安562万7100円
  • 10〜99人(約1万1350人・平均47.0歳):月収44万3000円・賞与55万1500円・年収の目安586万7500円

企業規模10〜99人の薬剤師は、1000人以上と比べて月収が5万600円高い一方、賞与は38万8700円少なくなっています。年収の目安では、10〜99人が3つの区分の中で最も高くなりました。

4.2 どの企業規模でも年収の目安は自治体の薬剤師・医療技術職を下回る

3つの企業規模のうち最も高い10〜99人の586万7500円でも、自治体の薬剤師・医療技術職の637万8426円を51万926円下回ります。企業規模によって平均年齢が10歳以上違う点もあわせて見ておく必要があります。

自治体の薬剤師・医療技術職の年収の目安は637万8426円、賃金構造基本統計調査の薬剤師は566万7900円で、差は71万526円でした。月収の差は2014円で、年収の差はほぼボーナスの差から生まれています。

民間の薬剤師は、勤め先の企業規模によって月収と賞与の組み合わせが変わり、規模の小さい事業所ほど月収が高く賞与が少ない傾向が見られました。

ここからは、自治体の薬剤師・医療技術職の諸手当の内訳と、賃金構造基本統計調査の薬剤師の男女別の年収を確認します。

熊谷 良子

年収を比べるときは、月収だけでなく、ボーナスが年に何か月分出ているのかも見ておきたいところです。

求人票では月給が目立ちますが、賞与の実績や支給の条件まで書面で確かめると、年収の目安を同じ形で並べやすくなります。