定年を迎えて退職金を受け取ったら、その一部をどこに置いておくかを考える方もいるのではないでしょうか。
財務省は2026年10月7日、10月8日から募集している個人向け国債の発行条件を発表しました。固定5年(第187回債)の利率は年2.39%で、募集は10月30日までです。
この記事では、個人向け国債の10月募集分の利率と決まり方を確認したうえで、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」から、定年退職者が受け取る退職給付額の平均を学歴・職種別に見ていきます。
1. 個人向け国債の10月募集分は固定5年が年2.39%、募集は10月30日まで
個人向け国債は、国が個人向けに発行する国債で、満期と金利のタイプが違う3種類があります。財務省の発行条件のページで、10月募集分の利率と日程を確認します。
1.1 固定3年は年2.07%、変動10年は初回の利子が年2.05%
10月募集分の利率(年率・税引前)は、固定5年(第187回債)が年2.39%、固定3年(第197回債)が年2.07%です。変動10年(第199回債)は、初回の利子に適用される利率が年2.05%です。
税引後の利率は、固定5年が1.9044715%、固定3年が1.6494795%、変動10年が1.6335425%と示されています。
1.2 発行日は11月16日、11月募集分の利率は11月6日に発表される予定
10月募集分の発行日は11月16日で、利子は毎年5月15日と11月15日の年2回受け取ります。償還期限は、固定3年が2029年11月15日、固定5年が2031年11月15日、変動10年が2036年11月15日です。
次の11月募集分は、募集期間が11月9日から11月30日までと示されています。利率は、財務省のページで「令和8年11月6日発表予定」とされており、まだ決まっていません。
2. 個人向け国債の利率は、3タイプで決まり方が違う
個人向け国債の利率は、市場の金利をもとにした基準金利から、タイプごとに決まった計算式で算出されます。財務省の商品概要で、3タイプの決まり方を確認します。
個人向け国債は3タイプとも、最低1万円から1万円単位で購入でき、額面100円につき100円で買って、満期には額面100円につき100円が戻ります。
2.1 変動10年は基準金利3.10%に0.66を掛けて求める
変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」で算出されます。10月募集分の初回の利子の基準金利は3.10%で、0.66を掛けた年2.05%が初回の適用利率になりました。
変動10年の適用利率は半年ごとに見直されるため、年2.05%が10年間続くと決まっているわけではありません。
2.2 固定5年・固定3年は基準金利から差し引き、下限は年0.05%
固定5年は「基準金利-0.05%」、固定3年は「基準金利-0.03%」で算出されます。10月募集分の基準金利は、固定5年が2.44%、固定3年が2.10%でした。
固定タイプは、発行時に決まった利率が満期まで変わりません。3タイプとも金利の下限は年0.05%で、計算した利率がこれを下回るときは年0.05%が適用されます。
3. 定年退職者の退職給付額は、大学・大学院卒の管理・事務・技術職で平均1896万円
個人向け国債の買い手には、まとまった退職金を受け取った人もいます。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」で、定年退職者が受け取った退職給付額の平均を確認します。
対象は、退職給付制度がある企業で令和4年の1年間に退職した、勤続20年以上かつ45歳以上の人です。退職給付額は、退職一時金だけの場合はその額、退職年金だけの場合は年金現価額、両方ある場合はその合計です。
3.1 高校卒の管理・事務・技術職は1682万円、高校卒の現業職は1183万円
定年で退職した人の1人平均の退職給付額は、学歴・職種別に次のとおりです。
【令和5年調査(定年退職者)】
- 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1896万円(月収換算36.0か月分)
- 高校卒(管理・事務・技術職):1682万円(月収換算38.6か月分)
- 高校卒(現業職):1183万円(月収換算34.3か月分)
月収換算は、退職時の所定内賃金の何か月分にあたるかを示したものです。
3.2 大学・大学院卒は平成30年調査より87万円少なく、高校卒は増えた
5年前の平成30年調査では、定年退職者の退職給付額は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が1983万円、高校卒(管理・事務・技術職)が1618万円、高校卒(現業職)が1159万円でした。
令和5年調査と比べると、大学・大学院卒は87万円少なくなりました。一方で、高校卒の管理・事務・技術職は64万円、高校卒の現業職は24万円多くなっています。
3.3 固定5年の10月募集分なら、額面100万円の1年分の利子は税引前2万3900円
退職給付額は人によって大きく違いますが、個人向け国債に置く金額の目安として、額面100万円あたりの利子を計算しておきます。
10月募集分の固定5年(年2.39%)を額面100万円買うと、1年分の利子は税引前で2万3900円、税引後の利率1.9044715%で計算すると約1万9044円です。初回の利子は、発行日から初回の利子支払日までの期間に応じた額になります。
定年退職者の退職給付額の平均は、大学・大学院卒の管理・事務・技術職で1896万円でした。個人向け国債の10月募集分は、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%です。
自分の退職金の見込額は、勤務先の退職金規程や人事・総務の担当部署で確かめられます。個人向け国債の各回号の利率は、財務省の「個人向け国債」のページで確認できます。
ここからは、元銀行員として退職金のご相談を受けてきた立場から、退職金にかかる税金の計算と、受け取った年に確定申告をするときの注意点を見ていきます。