日本人のオーラル意識の低さを問われると、堀江氏は「歯科検診に行かない意識の低い人たちの行動を変えるには、強制的な保険制度がないと無理」と断言。

小山氏が「定期的に歯医者に行くことが一番の予防歯科。保険制度の問題もあるが、会社がいかに各自に歯医者に行かせるかも大事になってくるのでは」と問題を提起するも、堀江氏は「たとえば、社員の歯が健康であれば会社の利益が上がるというインセンティブがなければ、会社側も難しい」と経営者側の見解を示しました。

堀江氏が活動している予防医療普及協会では、歯科以外にも、糖尿病やピロリ菌、子宮頸がんワクチンなど様々な予防医療の啓蒙を行っています。任意の歯科検診やワクチン接種などの予防医療に対して、なかなか行動を起こさない人を数多く見ている堀江氏だからこそ、彼らの行動変容を起こす難しさを実感しているようです。

そして「歯磨き粉や歯ブラシなどさまざまなメーカーがあたかも『毎日歯磨きをしていたらむし歯にも歯周病にもならない』と言っているようにも思えるが、歯ブラシ以外のアイテムを使わないと正しい歯磨きはできない。歯間ブラシやデンタルフロスのマーケットを歯ブラシ並みに拡大したり、各メーカーが広告宣伝の際に必ず『定期的に歯医者に行け』と伝えたりすることが大事なのでは」と実業家ならではの持論を展開しました。

「口が臭い」はビジネスマンが歯医者に行く動機になるはず

予防医療普及協会では現在、「くちくさえもん」という口臭通知代理サービスも行っています。このサービスに対し堀江氏は「歯周病菌による口臭は、口からおならの臭いが出るとも言われている。『口が臭い』と言われるのが、最も簡単で最も刺さりやすく、最も『歯医者行かなきゃ』という強い動機が生まれるはず」と語りました。

そして「口が臭い人には仕事を発注しない」と断言した堀江氏。堀江氏ならではの毒づきにも思えますが、口臭が自分の仕事や不利益に直接影響するという共通認識を多くの人が持つことは、何より予防歯科の促進につながるのではないかと感じました。

厚労省や日本歯科医師会だけでなく、今回のシンポジウムの協賛であり、電動歯ブラシ「ドルツ」を展開するパナソニックなどの電機メーカー、さらには歯磨き粉を展開する化学メーカーなど、各所がさまざまな観点から予防歯科を呼びかけている昨今。若年層やビジネスパーソンの歯の健康に対する行動変容や意識改革を起こすには、堀江氏のようなインフルエンサーの発言や活動こそ、大きな影響を及ぼしていくのかもしれません。

秋山 悠紀