保育士として働く人の給与は、公立の保育所など自治体で働く場合と比べて、どのくらい違うのでしょうか。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」では、保育士や児童指導員などの「福祉職」の平均給与月額は36万4889円でした。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、保育士のきまって支給する現金給与額は28万5700円です。

この記事では、自治体の福祉職と保育士の月収・ボーナス・年収の目安を同じ並びで比べ、差がどこで生まれているのかを確認します。

1. 自治体の福祉職(保育士など)の年収の目安は590万5389円

まずは、地方公務員の福祉職の給与から見ていきます。福祉職は、総務省の調査で職種ごとに集計される区分の一つです。

1.1 福祉職には保育士・児童指導員・生活指導員などが入る

総務省の調査では、福祉職を、保育士や児童指導員、生活指導員など、社会福祉の専門的な知識や技術をもって対人サービスを行う職員と定めています。社会福祉施設で会計事務や施設管理を担当する職員は含まれません。

令和7年4月1日時点の福祉職は10万6753人で、平均年齢は39.3歳でした。

1.2 月収36万4889円、ボーナス152万6721円を足した年収の目安は590万5389円

平均給与月額は36万4889円です。このうち給料が30万2813円、地域手当や時間外勤務手当などの諸手当が6万2076円です。

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で152万6721円です。平均給与月額の12か月分にボーナスを足すと、年収の目安は590万5389円になります。

2. 保育士の年収の目安は427万6300円、月収は28万5700円

続いて、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種が保育士の人の給与を同じ並びで確認します。

2.1 約29万2000人の保育士は平均40.3歳、月収28万5700円

賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者の賃金を職種別に公表しています。保育士は約29万2000人で、平均年齢は40.3歳、平均の勤続年数は9.1年でした。

残業代なども含めた、きまって支給する現金給与額は28万5700円です。このうち所定内給与額は27万9200円でした。

2.2 年間賞与84万7900円を足すと年収の目安は427万6300円

年間賞与その他特別給与額は84万7900円です。きまって支給する現金給与額の12か月分に足すと、年収の目安は427万6300円になります。

自治体の福祉職と保育士の月収・ボーナス・年収の目安1/2

総務省の令和7年地方公務員給与の実態と厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、自治体の福祉職と保育士の平均年齢、月収、ボーナス、年収の目安を比べた表。福祉職は39.3歳、月収36万4889円、ボーナス152万6721円、年収の目安590万5389円。保育士は40.3歳、月収28万5700円、ボーナス84万7900円、年収の目安427万6300円で、差は162万9089円

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を参考にLIMO編集部作成

【自治体の福祉職(10万6753人・平均39.3歳)】

  • 月収(平均給与月額):36万4889円
  • ボーナス(期末手当・勤勉手当):152万6721円
  • 年収の目安:590万5389円

【保育士(賃金構造基本統計調査・平均40.3歳)】

  • 月収(きまって支給する現金給与額):28万5700円
  • ボーナス(年間賞与その他特別給与額):84万7900円
  • 年収の目安:427万6300円

3. 自治体の福祉職と保育士の年収の差は162万9089円

2つの調査を比べると、年収の目安は自治体の福祉職のほうが162万9089円高くなっています。

3.1 毎月の給与の差は95万268円、ボーナスの差は67万8821円

月収の差は7万9189円で、12か月分にすると95万268円です。年収の差の6割近くを、毎月の給与の差が占めています。

ボーナスの差は67万8821円でした。平均年齢は福祉職のほうが1.0歳若く、年齢の高さで差がついているわけではありません。

3.2 比べるときの注意点は?2つの調査は月収とボーナスの時点がずれる

福祉職の月収は2025年(令和7年)4月分、ボーナスは2024年度(令和6年度)に支給された額です。保育士の月収は2025年6月分、ボーナスは2024年1月から12月までの1年間の額です。

年収の目安は、どちらも「月収×12か月+ボーナス」で計算しています(LIMO編集部計算)。

4. 福祉職の月収には地域手当などの諸手当が月6万2076円含まれる

毎月の給与の差がどこから生まれているのかを、福祉職の諸手当の内訳から確かめます。

4.1 福祉職の諸手当は月6万2076円、そのうち地域手当が2万3569円

福祉職の諸手当6万2076円のうち、最も多いのは地域手当の2万3569円で、諸手当の4割近くを占めています。次いで時間外勤務手当が1万7241円、通勤手当が6828円でした。

地域手当は、主に民間の賃金水準が高い地域で働く職員に支給される手当です。福祉職の地域手当を団体区分別に見ると、特別区が月5万9779円、指定都市が3万4418円、町村が4148円でした。

4.2 保育士の残業代などは月6500円

保育士のきまって支給する現金給与額28万5700円のうち、所定内給与額は27万9200円です。残業代などの超過労働給与は、差し引き月6500円でした。

自治体の福祉職の年収の目安は590万5389円で、賃金構造基本統計調査の保育士の427万6300円を162万9089円上回りました。差の6割近くは毎月の給与で、福祉職の月収には地域手当などの諸手当が月6万2076円含まれています。

勤め先の保育所の給与を比べるときは、求人票の「基本給」と「手当」の欄を分けて見ると、統計の数字と同じ形で並べられます。自治体の職員の給与は、各自治体が公表している「給与・定員管理等について」の資料で確認できます。

ここからは、保育士の年収の目安を年齢階級別に並べ、認定こども園などで働く保育教諭や、男女別の給与とあわせて確認します。