金に投資する方法には、金地金や金貨を買う、純金積立を続ける、金の価格に連動する上場投資信託(ETF)や投資信託を買う、といった選択肢があります。NISAの非課税枠を使えるかどうかは、このどれを選ぶかで変わります。
金融庁が2026年10月2日に公表した調査では、NISAの口座数は2026年6月末に3048万口座、買付額は累計85兆円に達しました。2026年の成長投資枠でETFが買われた額は、6月末までに4385億7375万円です。
この記事では、NISAで金に投資するときにどの商品が対象になるのかを、金融庁と東京証券取引所の資料で確認します。
1. NISAで買えるのは上場株式や投資信託などで、金地金・金貨・純金積立は対象外
NISAで非課税になるのは、対象の商品から得た配当や売却益です。まず金融庁の資料で、NISAの2つの投資枠と対象になる商品を確認します。
1.1 NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円
2024年からのNISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、あわせて年360万円まで投資できます。非課税で保有できる限度額は1800万円で、このうち成長投資枠は1200万円までです。
利用できるのは日本に住む18歳以上の人で、非課税で保有できる期間に期限はありません。
なお、つみたて投資枠で投資できるのは、「長期の積立・分散投資」に適していると国が認めた投資信託などが対象となります。成長投資枠については、上場株式や投資信託など、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資ができます。
1.2 金地金や金貨、純金積立はNISAの対象商品に入らない
NISAで買えるのは、上場株式や投資信託などです。金地金や金貨を買うこと、毎月一定額で金を買い付ける純金積立は、NISAの対象商品に入っていません。
金地金を売った利益は、原則として譲渡所得として給与などと合算する総合課税の対象になります。NISAの非課税の対象にはなりません。
金に投資する方法ごとの、NISAの対象かどうかと売った利益の課税1/2
出所:金融庁「NISAを知る」、国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」、国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」を参考にLIMO編集部作成
1.3 つみたて投資枠の対象商品は372本で、分類は「株式型」と「資産複合型」
つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散投資に向く一定の要件を満たし、金融庁に届け出られた投資信託とETFです。2026年10月8日時点の対象商品は372本でした。
【つみたて投資枠の対象商品(2026年10月8日時点)】
- 公募投資信託(株式型):199本
- 公募投資信託(資産複合型):162本
- ETF:11本
金融庁の分類は「株式型」と「資産複合型」の2つで、金だけに投資する商品の区分はありません。金に連動するETFや投資信託を探すときに見るのは、主に成長投資枠の対象商品です。
2. 金ETFでも、NISAの成長投資枠の「対象」と「対象外」に分かれる
金ETFは、金の価格に連動するように運用され、証券取引所に上場している投資信託です。同じ金ETFでも、NISAの成長投資枠で買えるかどうかは銘柄ごとに違います。
2.1 東証の銘柄資料では、純金上場信託は「対象」、WisdomTree 金上場投資信託は「対象外」
東京証券取引所が公表している銘柄ごとの資料(2026年2月27日現在)では、どちらも金を対象指標とするETFですが、「NISA制度成長投資枠」の欄が分かれています。
- 純金上場信託(現物国内保管型)(銘柄コード1540):成長投資枠の対象、信託報酬(税込)0.44%、管理会社は三菱UFJ信託銀行
- WisdomTree 金上場投資信託(銘柄コード1672):成長投資枠の対象外、信託報酬0.39%、外国籍ETF
どちらも資料上は分配金の支払いがありません(純金上場信託は「原則として」)。値上がりによる利益を受け取るには、売却する必要があります。
2.2 成長投資枠の対象かどうかは、管理会社などの申告をまとめた一覧で確かめる
東京証券取引所は、内国商品現物型ETFや外国ETFなどについて、各管理会社や発行者が税法上の要件を踏まえて成長投資枠の対象と判断した商品を申告してもらい、一覧にまとめて公表しています。国内のETFやREITなどの対象商品は、別に業界団体がまとめています。
成長投資枠では、整理・監理銘柄や、信託期間20年未満・毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などが対象から除かれています。買う前に、取引する金融機関でNISA口座での取扱いがあるかもあわせて確かめます。
3. NISAの成長投資枠で2026年1〜6月に買われたETFは4385億7375万円、成長投資枠全体の4.3%
金融庁の「NISA口座の利用状況に関する調査結果(2026年6月末時点)」から、NISAの成長投資枠でどの商品が買われているかを見ます。
3.1 成長投資枠の買付額10兆1577億3万円のうち、投資信託が48.4%、上場株式が46.9%
2026年の成長投資枠で6月末までに買われた額は10兆1577億3万円でした。商品別の内訳は次のとおりです。
【成長投資枠の商品別買付額(2026年1〜6月)】
- 投資信託:4兆9151億9628万円(48.4%)
- 上場株式:4兆7623億6077万円(46.9%)
- ETF:4385億7375万円(4.3%)
- REIT:415億6923万円(0.4%)
金額は2026年の投資枠で買付があった分の合計で、買付時の時価で計算されています。
3.2 ETFの4385億7375万円は、金ETFに限らないETF全体の金額
この調査はETFを対象資産で分けておらず、株価指数に連動するETFなども含んだ金額です。金ETFがどれだけ買われたかは、この数字からは分かりません。
つみたて投資枠でもETFは185億9539万円買われていますが、つみたて投資枠の対象になるETFは2026年10月8日時点で11本に限られます。
NISAで非課税の対象になるのは上場株式や投資信託などで、金地金や金貨、純金積立は対象外です。金ETFは銘柄によって、成長投資枠の「対象」と「対象外」が分かれます。
買おうとしている金ETFが対象かどうかは、東京証券取引所の銘柄ごとの資料や成長投資枠の対象銘柄一覧、取引する金融機関の画面で確かめられます。
ここからは、NISAの内と外で変わる金の利益の扱いと、金に回す額の決め方を考えます。