自分の家の世帯年収は、ほかの世帯と比べてどのあたりなのだろうと気になったことはないでしょうか。平均の金額を見て、思っていたより高いと感じた方もいるかもしれません。

厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、2024年の1世帯当たりの平均所得金額は575万2000円でした。一方で、所得を低い順に並べてちょうど真ん中にあたる中央値は451万円で、平均より120万円あまり低くなっています。

本記事では、同じ調査をもとに、所得の金額ごとに世帯がどう分かれているのか、18歳未満の子どもがいる世帯ではどうか、調査の「所得」が何を含む金額なのかを順に見ていきます。実際には世帯の所得は、働いている人の数や年齢、年金を受け取っているかどうかなどで大きく変わります。数字は全体の目安を知るものとして読んでいただければと思います。

1. 【世帯年収の中央値】全世帯は451万円。平均の575万2000円以下の世帯が61.5%

国民生活基礎調査の「所得」は、2024年1月1日から12月31日までの1年間に世帯の全員が得た所得を合わせたものです。2024年の1世帯当たり平均所得金額は、全世帯で575万2000円でした。前の年から7.3%増えています。

中央値は、所得を低いものから高いものへ順に並べて、2つに分ける境目の金額です。全世帯の中央値は451万円で、平均所得金額の575万2000円以下の世帯は61.5%でした。

平均が中央値より高くなっているのは、所得の高い一部の世帯が平均を押し上げているためと考えられます。自分の世帯の所得を平均の金額と比べて、低いと感じることがあるかもしれませんが、半分の世帯は451万円より下に、半分の世帯は上にいるというのが、中央値の読み方です。

このため、世帯年収の真ん中あたりの水準を知りたいときは、平均の金額だけでなく、中央値もあわせて見ておくと実感に近づきやすいでしょう。

2. 【所得の分布】200万円台が13.5%、300万円台が13.0%、1000万円以上は13.9%

所得の金額ごとに世帯の割合を見ると、全世帯では「200〜300万円未満」が13.5%、「300〜400万円未満」が13.0%、「100〜200万円未満」が12.2%と多くなっています。

続いて「400〜500万円未満」が9.6%、「500〜600万円未満」が9.1%、「600〜700万円未満」が7.5%です。700万円以上になると、100万円ごとの割合は6.2%、4.9%、4.3%と少しずつ小さくなり、「1000万円以上」は13.9%でした。「100万円未満」の5.8%も含めると、400万円未満の世帯は合わせて44.5%です。

所得金額階級別の世帯の割合(全世帯・児童のいる世帯)1/2

所得金額階級別の世帯の割合(全世帯・児童のいる世帯)

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

全世帯には、年金を中心に暮らす高齢の世帯や、ひとり暮らしの世帯も含まれています。そのため、働き盛りの世帯が多い地域や職場で感じる「世帯年収の相場」とは、分布の形が違って見えるかもしれません。

分布の表を自分の世帯にあてはめるときは、注意点がいくつかあります。いちばん多い所得の区分と中央値は、同じ場所にあるとは限りません。全世帯では、中央値の451万円は「400〜500万円未満」の区分に入りますが、1000万円以上をのぞく100万円ごとの区分で割合が大きいのは200万円台と300万円台です。どちらか一方だけを見ると、全体の姿をつかみにくくなります。

もうひとつは、世帯の人数の違いです。同じ世帯年収でも、ひとり暮らしと4人家族では、1人あたりに回せるお金が変わってきます。表と並べるときは、自分の世帯の人数や、働いている人の数もあわせて思い浮かべておくと、数字の受け止め方がずれにくくなるでしょう。

3. 【子育て世帯】18歳未満の子どもがいる世帯の中央値は766万円。多いのは700万円台

調査では、18歳未満の人がいる世帯を「児童のいる世帯」として集計しています。2024年の1世帯当たり平均所得金額は857万3000円で、中央値は766万円でした。

所得の金額ごとの割合を見ると、1000万円以上をのぞく100万円ごとの区分では、「700〜800万円未満」が11.7%でもっとも多く、「600〜700万円未満」が11.0%、「500〜600万円未満」と「800〜900万円未満」がそれぞれ10.4%、「900〜1000万円未満」が8.8%です。500万円から1000万円未満までの5つを合わせると、52.3%と半分を超えます。

「1000万円以上」は27.6%でした。一方で、500万円未満の世帯も合わせて20.1%あります。子育て中の世帯でも所得には幅があり、共働きかどうかや子どもの年齢など、さまざまな事情が関わっていると考えられます。

子育て世帯の数字を見るときに気をつけたいのは、この表には子どもの人数や年齢が表れていないという点です。同じ所得でも、子どもの人数や進学の時期によって、家計の状況は変わってきます。所得の金額だけで家計のゆとりを比べると、実感とずれることがあります。数字は「どのあたりの世帯が多いか」をつかむ目安として読み、わが家の場合は、子どもの年齢や進学の予定とあわせて考えてみましょう。

4. 【「所得」とは?】税金や社会保険料を差し引く前の金額。手取りに近い可処分所得は平均439万4000円

調査の「所得」には、給料や事業の所得のほか、公的年金、児童手当などの社会保障給付金、仕送りや企業年金なども含まれます。預貯金の利子や株式の配当、家や土地を貸して得た収入から必要経費を差し引いた財産所得も入ります。給料については、税金や社会保険料を差し引く前の金額です。

所得から所得税や住民税、社会保険料、固定資産税などを差し引いたものが「可処分所得」で、手取り収入に相当します。2024年の1世帯当たり平均可処分所得金額は、全世帯で439万4000円、児童のいる世帯で658万8000円でした。児童のいる世帯では、平均所得金額の857万3000円から、198万5000円が税金や社会保険料などにあたる計算です。

世帯年収を比べるときは、それが税金などを差し引く前の金額なのか、手取りなのかをそろえて見ることが大切です。給与明細や源泉徴収票の手取りの金額を、調査の所得と並べると、実際より低く見えてしまうことがあります。

税金を差し引く前の金額で比べるメリットは、調査の数字と同じ物差しで並べられることです。一方で、手取りの金額で比べると、毎月の家計にどれだけ回せるかという実感に近くなります。どちらにも良さがあるので、目的に合わせて使い分け、ひとつの比較の中で2つを混ぜないことがポイントです。

この調査から見えてくるのは、2024年の世帯の所得の中央値が全世帯で451万円、18歳未満の子どもがいる世帯で766万円だったことです。平均はそれぞれ575万2000円と857万3000円で、どちらも中央値より高くなっています。数字は税金などが引かれる前の金額なので、わが家の金額と並べるときは、世帯全員の税引前の金額(源泉徴収票の支払金額など)を合わせて使うと、条件をそろえて見比べられます。これからの家計の見通しを立てる出発点として、わが家の1年間の所得を一度書き出してみましょう。

宮野 茉莉子
世帯年収の数字を読むうえで、平均と中央値には、それぞれ良さと注意点があります。平均は、すべての世帯の所得を合計して世帯数で割った金額で、全体の規模をつかみやすいのがメリットです。ただし、所得の高い一部の世帯に引き上げられやすく、全世帯では中央値の451万円より120万円あまり高くなっています。中央値は、ちょうど真ん中の世帯の金額なので、多くの世帯の実感に近づきやすいのが良さです。一方で、中央値だけでは分布の広がりまでは分かりません。2つはどちらが正しいというものではなく、見ている場所が違うのです。自分の世帯と並べるときは、まず中央値で真ん中の位置を確かめ、分布の表で前後の区分の割合も見ておくと、数字に振り回されずに済むでしょう。