国民健康保険では、収入のない子どもにも、加入者1人ごとに均等割額がかかります。子どもの人数が多い世帯ほど、保険料が重くなるしくみです。

そんな中、2026年5月29日に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第31号)で、子どもの均等割額を5割軽減する措置の対象が、未就学児から高校生年代まで広がることになりました。施行は2027年4月1日です。厚生労働省の資料では、対象者は約50万人から約180万人になる見込みです。

この記事では、国民健康保険料の計算のしくみと、いまの子どもの均等割額の軽減、2027年4月からの変更点を、広島市の料率を使った試算例とあわせて確認します。

1. 国民健康保険料は令和8年度から4つの区分で計算する

国民健康保険料は、医療分・後期高齢者支援金分・介護分の3つの区分に、令和8年度から子ども・子育て支援金分が加わりました。いまは4つの区分の合計で計算します。

1.1 区分ごとに平等割・均等割・所得割などを組み合わせる

それぞれの区分は、世帯ごとにかかる平等割、加入者1人ごとにかかる均等割、前年の所得に応じてかかる所得割などを組み合わせて計算します。組み合わせ方や料率は、市区町村ごとに違います。

介護分は、40歳以上65歳未満の加入者にだけかかります。

1.2 広島市の令和8年度の均等割額

例として広島市の令和8年度の料率を見ると、加入者1人ごとの均等割額は医療分3万1228円、後期高齢者支援金分1万342円、介護分1万443円、子ども・子育て支援金分1072円です。

子ども・子育て支援金分には、18歳以上の加入者にだけかかる均等割56円もあります。18歳未満の子どもの分を軽減する費用に充てるためのものです。

2. 国民健康保険の均等割額は子どもにもかかる

国民健康保険には会社の健康保険のような扶養のしくみがなく、子どもも1人の加入者として均等割額の対象になります。そのため、子育て世帯の負担を軽くする措置が設けられています。

2.1 未就学児の均等割額は2022年4月から5割軽減

厚生労働省によると、未就学児の均等割保険料(税)を軽減する制度は令和4年4月に始まり、その5割が公費で軽減されています。対象は、6歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもです。

2.2 子ども・子育て支援金分の均等割額

令和8年度に加わった子ども・子育て支援金分では、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもの均等割額が全額軽減されます。軽減に必要な費用は、18歳以上の加入者の均等割で賄うしくみです。

ただし全額軽減されるのは子ども・子育て支援金分だけです。医療分と後期高齢者支援金分の均等割額は、小学生以上の子どもにもそのままかかっています。

3. 2027年4月から、国民健康保険の子どもの均等割5割軽減が高校生年代まで広がる

健康保険法等の一部を改正する法律で、未就学児の5割軽減の対象が広がります。厚生労働省がまとめた法律の概要では、この「子育て世帯の保険料負担軽減」の施行日は2027年(令和9年)4月1日です。

3.1 対象は「18歳に達する日以後の最初の3月31日」までの子ども

改正法の要綱では、均等割額を減額する対象を、6歳に達する日以後の最初の3月31日以前の被保険者から、18歳に達する日以後の最初の3月31日以前の被保険者に改めるとしています。高校3年生の年度末までの子どもが対象になります。

厚生労働省は、軽減の対象になる子どもが、未就学児だけの約50万人から、高校生年代までの約180万人に広がると見込んでいます。軽減の費用は、いまと同じく国が2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつ負担します。

2027年4月から、医療分・後期高齢者支援金分の5割軽減が小学生から高校生年代にも広がる1/2

国民健康保険の子どもの均等割額の軽減を、未就学児・小学生から高校生・それより上の年齢に分けて、いまと2027年4月からで比べた表

出所:厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」などを参考にLIMO編集部作成

3.2 所得による7割・5割・2割の軽減がある世帯は、合わせて8.5割・7.5割・6割に

所得が一定以下の世帯は、均等割額が7割・5割・2割軽減されます。子どもの5割軽減はこの軽減後の額にかかります。

合わせると、7割軽減の世帯の子どもは8.5割、5割軽減の世帯は7.5割、2割軽減の世帯は6割の軽減になります。厚生労働省の法律の概要にも、この3つの割合が示されています。

3.3 【試算】広島市の料率なら、中学生・高校生1人あたり年2万785円の軽減

広島市の令和8年度の料率で、所得による軽減がない世帯の中学生1人と高校生1人を試算します。医療分3万1228円と後期高齢者支援金分1万342円を合わせた均等割額は、1人あたり年4万1570円です。

2027年4月からの5割軽減を同じ料率に当てはめると、1人あたり2万785円になります。2人では年8万3140円から4万1570円に下がる計算です。

中学生と高校生がいる世帯の均等割額は、2人で年8万3140円から4万1570円に2/2

広島市の令和8年度の料率で、中学生と高校生の2人の均等割額をいまと2027年4月からで比べた棒グラフ

出所:広島市「国民健康保険料の計算方法」を参考にLIMO編集部作成

2027年度の料率はまだ決まっていないため、実際の額は各市区町村の2027年度の料率で変わります。

2027年4月からは、国民健康保険の子どもの均等割額の5割軽減が、未就学児だけでなく高校生年代まで広がります。広島市の令和8年度の料率に当てはめると、中学生・高校生1人あたり年2万785円の軽減です。

自分の世帯の均等割額は、国民健康保険料の納入通知書の内訳で確かめられます。2027年度の通知が届いたら、子どもの人数分の均等割額がどう変わったかを前年度と見比べてみましょう。

ここからは、元自治体職員として国民健康保険料の相談を受けてきた経験をもとに、子どもの年齢で保険料が変わる時期と、通知書で確かめたい欄を見ていきます。

太田 彩子

国民健康保険料の計算を担当していた頃、子どもが生まれて加入すると保険料が上がることを、通知を見て初めて知ったという方が少なくありませんでした。均等割額は子どもの人数分かかるので、年度が替わったら通知書の内訳を確かめておくと安心です。