公務員と会社員では、年収にどのくらいの差があるのでしょうか。会社員の給与は勤め先の規模によって大きく変わるため、比べる相手しだいで答えも変わります。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」と、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」という直近データから、月の給与とボーナスをもとに同じ計算方法で年収の目安を出しました。

この記事では、県庁や市役所などで事務や技術の仕事をする地方公務員と、従業員の人数で分けた民間企業の年収の目安を並べ、差がどこから生まれるのかを確認します。

1. 地方公務員(一般行政職)の月収・ボーナス・年収の目安

はじめに、地方公務員の一般行政職の給与を確認しておきましょう。

1.1 一般行政職は88万1517人、平均給与月額は41万3968円

一般行政職は、都道府県や市区町村で事務や技術の仕事をする職員です。総務省の調査では、税務職や福祉職、教員、警察官などとは分けて集計されています。

令和7年4月1日時点の職員数は88万1517人で、平均年齢は42.0歳でした。

平均給与月額は41万3968円です。内訳は給料月額が32万6911円、諸手当が8万7057円で、諸手当には時間外勤務手当の3万2861円も含まれています。

1.2 地方公務員のボーナスは170万2670円、年収の目安は667万286円

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で170万2670円です。内訳は期末手当が91万7513円、勤勉手当が78万5157円でした。

平均給与月額の12か月分にボーナスを足すと、年収の目安は667万286円になります。

2. 民間企業の月収・ボーナス・年収の目安を企業規模別に見る

次に民間企業の月収やボーナスを見ていきます。

民間企業の給与がわかる資料は厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で、企業規模別に公表されています。企業規模は、その企業で働く常用労働者の人数で分けたものです。

2.1 民間企業全体(10人以上)の年収の目安は545万5600円

民営事業所で働く一般労働者の「きまって支給する現金給与額」は月37万500円、「年間賞与その他特別給与額」は100万9600円でした。年収の目安は545万5600円で、平均年齢は44.4歳、勤続年数は12.7年です。

きまって支給する現金給与額は令和7年6月分の給与で、基本給や手当に加えて時間外勤務手当などの超過労働給与も含みます。賞与は前年1年間に支給された額です。

2.2 1000人以上の企業は649万4400円、10〜99人の企業は456万1700円

企業規模別に同じ計算をすると、年収の目安は規模が大きいほど高くなります。

  • 1000人以上:月42万4100円、賞与140万5200円
  • 100〜999人:月35万5400円、賞与91万9200円
  • 10〜99人:月32万5700円、賞与65万3300円

3. 地方公務員と民間企業の年収を並べると

地方公務員の一般行政職と民間企業の年収の目安を、企業規模別に並べました。

地方公務員と民間企業の年収の目安(企業規模別)1/2

地方公務員の一般行政職と、民間企業の1000人以上、計(10人以上)、100〜999人、10〜99人の年収の目安と平均年齢を比べた横棒グラフ

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を参考にLIMO編集部作成

【地方公務員の一般行政職(平均42.0歳)】

  • 年収の目安:667万286円

【民間企業(企業規模別)】

  • 1000人以上(平均43.4歳):649万4400円
  • 計・10人以上(平均44.4歳):545万5600円
  • 100〜999人(平均44.1歳):518万4000円
  • 10〜99人(平均46.0歳):456万1700円

年収の目安は、月の給与の12か月分にボーナスを足して計算しています。地方公務員は令和7年4月1日時点、民間は令和7年6月分の給与と前年1年間の賞与で、時点はそろっていません。民間は一般行政職と違い、事務職以外の職種も含みます。

3.1 地方公務員の一般行政職は1000人以上の企業を17万5886円上回る

月の給与は、1000人以上の企業が42万4100円で、地方公務員の41万3968円より1万132円高くなっています。

一方でボーナスは、地方公務員が170万2670円、1000人以上の企業が140万5200円で、地方公務員のほうが29万7470円多くなりました。その結果、年収の目安では地方公務員が17万5886円上回ります。

3.2 10〜99人の企業との差は210万8586円

民間企業全体(10人以上)との差は121万4686円、100〜999人の企業とは148万6286円、10〜99人の企業とは210万8586円の差です。

3.3 年齢をそろえると1000人以上の企業のほうが高い

民間企業の平均年齢は43.4〜46.0歳で、地方公務員の42.0歳より高めです。そこで民間の40〜44歳に絞って同じ計算をすると、年収の目安は次のとおりです。

  • 1000人以上:723万4000円
  • 100〜999人:559万7700円
  • 10〜99人:485万8600円

地方公務員の一般行政職の667万286円は、年齢を近づけると1000人以上の企業と100〜999人の企業の間に入ります。

4. 公務員の給与は企業規模100人以上の民間と比べて決まる

公務員の年収が中規模から大規模の企業に近い水準になるのは、給与の決め方と関係があります。

4.1 人事院と人事委員会は企業規模100人以上・事業所規模50人以上の民間を調べる

人事院の「令和8年職種別民間給与実態調査」は、公務員の給与を改定する勧告の基礎資料を得るための調査です。対象は、企業規模100人以上で事業所規模50人以上の事業所のうち、約1万100所でした。

調査は人事院と、47都道府県・20政令指定都市・特別区・和歌山市の69の人事委員会が分担して行っています。

4.2 役職段階・勤務地域・学歴・年齢をそろえて比べる

人事院は、公務員と民間の給与を「役職段階、勤務地域、学歴、年齢を同じくする者同士」で比べる方法(ラスパイレス方式)をとっています。単純な平均では給与水準の高低を適切に判断できないためです。

比べる相手に従業員100人未満の企業は入っていないため、10〜99人の企業と並べると差が大きく見えます。

年収の目安は、地方公務員の一般行政職が667万286円、民間は1000人以上の企業が649万4400円、10〜99人の企業が456万1700円でした。公務員の給与は企業規模100人以上の民間と比べて決まるため、どの規模の企業と並べるかで差の大きさが変わります。

自分の年収と比べるときは、勤め先から受け取る源泉徴収票の「支払金額」の欄で、1年間の給与とボーナスの合計を確かめられます。

ここからは、給与と並んで差が出やすい年間休日と年次有給休暇を、企業規模別に見ていきます。

太田 彩子

公務員の給与は「高い」「低い」と一言で語られがちですが、比べる企業の規模や年齢をそろえると見え方が変わります。元自治体職員としては、数字の前提を確かめてから比べることをおすすめしたいです。