個人情報の取り扱いへの関心が高まるなか、マイナンバーカードの暗証番号を紙に書いて保管したり、家族と共有したりすることに不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

暗証番号を設定しない「顔認証マイナンバーカード」でも、健康保険証の利用登録をすれば医療機関・薬局で受診できます。東京都港区などの市区町村では、2023年12月15日から受付が始まりました。

一方で、マイナポータルへのログインやコンビニ交付など、暗証番号の入力が必要なサービスは使えません。本記事では、厚生労働省「福祉施設・支援団体向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」などをもとに、できることとできないこと、受付での本人確認の流れを確認します。

1. 顔認証マイナンバーカードは、暗証番号の設定をしないマイナンバーカード

顔認証マイナンバーカードは、通常のマイナンバーカードと同じカードの設定を切り替えたものです。まず、どこが通常のカードと違うのかを確認します。

1.1 本人確認を顔認証か目視に限り、暗証番号の設定をなくした

顔認証マイナンバーカードは、利用者証明用電子証明書を使うときの本人確認の方法を、機器による顔認証か目視による顔確認に限ったカードです。そのため、暗証番号を設定する必要がありません。

厚生労働省の福祉施設・支援団体向けマニュアルでは、暗証番号の設定や管理に不安がある人が安心して取得・利用でき、代理交付を受ける人の負担軽減にもつながるよう導入されたと説明しています。

1.2 カード表面の追記欄に「顔認証」と記載される

顔認証マイナンバーカードには、カード表面右下の追記欄に「顔認証」と記載されます。暗証番号での認証ができないカードであることが、券面で分かるようにするためです。

顔認証マイナンバーカードであることは、カードのICチップには記録されません。日本国内に住民登録をしている人なら、誰でも申請できます。

2. 顔認証マイナンバーカードでできること、マイナポータルなどできないこと

顔認証マイナンバーカードは、主に健康保険証として使うことを想定したカードです。通常のマイナンバーカード、資格確認書と並べて、使える場面を確認します。

マイナンバーカード・顔認証マイナンバーカード・資格確認書でできること1/2

通常のマイナンバーカード、顔認証マイナンバーカード、資格確認書について、暗証番号の設定、医療機関・薬局での受診、過去の薬剤情報などの提供、マイナポータル・コンビニ交付、署名用電子証明書の可否を比べた表

出所:厚生労働省「福祉施設・支援団体向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」、マイナンバーカード総合サイト「顔認証マイナンバーカードについて」を参考にLIMO編集部作成

2.1 顔認証マイナンバーカードで健康保険証としての利用と本人確認書類としての利用ができる

健康保険証の利用登録をした顔認証マイナンバーカードなら、医療機関・薬局で受診できます。本人が同意すれば、過去の薬剤情報や特定健診などの情報を医師・薬剤師に提供することもできます。

券面の顔写真と、氏名・住所・生年月日・性別の記載事項を使って、本人確認書類としても利用できます。

2.2 マイナポータル、コンビニ交付、オンライン診療は使えない

暗証番号の入力が必要なサービスは、顔認証マイナンバーカードでは使えません。マイナポータルへのログイン、各種証明書のコンビニ交付、各種オンライン手続、オンライン診療・オンライン服薬指導での健康保険証としての利用などです。

特例転出・特例転入の手続きはできますが、マイナポータルを通じたオンラインでの転出届・転入予約は利用できません。

2.3 署名用電子証明書は搭載できず、すでにある場合は失効する

顔認証マイナンバーカードには、署名用電子証明書を搭載できません。署名用電子証明書の6〜16桁の暗証番号の入力を、顔認証や目視で代えることができないためです。

すでに署名用電子証明書を搭載している場合は、顔認証マイナンバーカードにする際に失効します。一方、利用者証明用電子証明書は搭載が必要です。

3. 健康保険証として使うときは、顔認証付きカードリーダーで顔認証を選ぶ

顔認証マイナンバーカードを医療機関・薬局で使う場合も、受付の流れは通常のマイナンバーカードとほぼ同じです。健康保険証の利用の申込みと、受付での本人確認を確認します。

3.1 健康保険証の利用の申込みは、切り替えの前に市区町村で済ませられる

マイナンバーカードを健康保険証として使うには、健康保険証の利用の申込みが必要です。申込みは生涯1回で済みます。

申込みをしていない人が顔認証マイナンバーカードに切り替える場合は、切り替えの前に市区町村で申し込むよう案内されています。切り替えのあとでも、医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーで顔認証か目視による顔確認を行えば申し込めます。

3.2 顔認証が難しいときは、受付職員が顔写真と見比べて確認する

受付では、顔認証付きカードリーダーの本人確認方法の選択画面で「顔認証」を選び、カードの顔写真と照合します。そのあと、薬剤情報などを提供するかどうかの同意を選択します。

機器による顔認証が難しい場合は、受付職員がカードの顔写真と本人を目視で見比べて、オンライン資格確認を行います。その際は確認方法の切り替えに一定の時間がかかると案内されています。

顔認証マイナンバーカードは暗証番号を設定しないカードで、健康保険証の利用登録をすれば医療機関・薬局で受診できます。マイナポータルやコンビニ交付など、暗証番号の入力が必要なサービスは使えなくなります。

家族のカードがどちらの種類かは、カード表面右下の追記欄に「顔認証」の記載があるかで確かめられます。

ここからは、顔認証マイナンバーカードへの切り替えの手続きと、高齢者施設に入所している人の申請、元のカードに戻すときの扱いを見ていきます。

熊谷 良子

顔認証マイナンバーカードにすると、暗証番号を覚えておく必要はなくなりますが、マイナポータルなどは使えなくなります。どちらを優先したいかを、本人と家族で話し合ってから決めたいところです。

切り替える前に、マイナンバーカード総合サイトの案内で、できることとできないことを一度確かめておくと安心です。