家族が亡くなったあと、どの銀行に口座があったのか分からず、相続の手続きが進まないことがあります。通帳やキャッシュカードが見つからなければ、心当たりのある金融機関に1つずつ問い合わせるしかありませんでした。

2024年4月1日に施行された口座管理法で、亡くなった人がマイナンバーを付番していた預貯金口座は、相続人が1つの金融機関の窓口からまとめて照会できるようになりました。預金保険機構によると、手数料は1件5060円(消費税込)です。

この記事では、相続時預貯金口座照会で分かること・分からないこと、申込みに必要な書類、その前提となる預貯金口座付番制度を確認します。

1. 相続時預貯金口座照会は、亡くなった人の預貯金口座を1つの窓口からまとめて探せる制度

相続時預貯金口座照会は、口座管理法にもとづいて、預金保険機構が相続人に口座の情報を知らせる仕組みです。照会できる口座と、知らせてもらえる内容には決まりがあります。

1.1 相続時預貯金口座照会の対象は、亡くなった人が生前にマイナンバーを付番した口座

照会の対象は、亡くなった人を名義人とする預貯金口座のうち、生前にマイナンバーを付番していたものです。付番とは、本人が金融機関にマイナンバーを届け出て、口座をマイナンバーで管理してもらうことをいいます。

一部手続きの対象外となる金融機関を除き、すべての金融機関が照会先になります。取引のない金融機関でも、預金保険機構の委託先であれば申し込めます。

1.2 相続時預貯金口座照会で通知されるのは金融機関名や口座番号で、残高は含まれない

通知されるのは、金融機関名・支店名・預貯金の種類・口座番号・預貯金者名です。口座の残高や、亡くなった人のマイナンバーは含まれません。

残高を知りたいときは、通知された金融機関に相続の手続きとして問い合わせます。

1.3 相続人1人で申し込め、亡くなってから10年まで照会できる

申し込めるのは、国内に通知先がある相続人(包括受遺者を含む)か、その代理人です。相続人が複数いても、いずれか1人で申し込めます。他の共同相続人の同意は要りません。

照会できるのは、亡くなってから10年後までです。なお、マイナポータルからは申し込めず、金融機関で申し込みます。

2. 相続時預貯金口座照会の手数料は1件5060円、結果は申込みから1か月程度で届く

相続時預貯金口座照会は、金融機関で申し込んでから結果が届くまでに1か月程度かかります。手数料と必要な書類を確認しておきます。

相続人が金融機関で申し込み、預金保険機構が各金融機関に照会して結果を郵送する1/2

相続時預貯金口座照会の流れを、相続人の申込み、預金保険機構によるマイナンバーの取得、各金融機関の回答、相続人への簡易書留での通知の4段階で示した図

出所:預金保険機構「口座登録法及び口座管理法に基づく業務」、デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」をもとにLIMO編集部作成

2.1 相続時預貯金口座照会の申込みに必要な書類

預金保険機構の案内では、申込みに次の書類を用意します。亡くなった人のマイナンバーは、預金保険機構が住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)から取得するため、提示は要りません。

  • 相続時口座照会申込書(金融機関の所定様式)
  • 個人情報の第三者提供に係る同意書(金融機関の所定様式)
  • 亡くなったことが確認できる書類(住民票の除票の写し、戸籍の附票の除票の写し、法定相続情報一覧図の写しのいずれか1点)
  • 相続人であることが確認できる書類(亡くなった人の戸籍の謄本・抄本、または法定相続情報一覧図の写し)
  • 申込者の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)

亡くなった人の氏名・住所・生年月日は、書類の記載どおりに申込書に書きます。デジタル庁は、住基ネットの情報といちばん一致しやすい書類として住民票の除票を挙げています。

2.2 手数料5060円は、該当口座がなくても原則として返ってこない

手数料は申込み時に金融機関で支払います。申込みが受け付けられたあとは、照会の結果が「該当口座なし」だった場合も含め、原則として返金されません。

ただし、預金保険機構が亡くなった人のマイナンバーを確認できず、照会の手続きを進められなかった場合は、委託先の金融機関を通じて返金されます。振込で返金されるときは、振込手数料相当額が差し引かれることがあります。

3. 預貯金口座付番制度は、本人の申出で金融機関の窓口かマイナポータルから届け出る

相続時預貯金口座照会が使えるかどうかは、本人が生前に預貯金口座付番制度でマイナンバーを届け出ていたかで決まります。付番の仕組みも確認しておきます。

3.1 付番は任意で、2025年4月からはマイナポータルでも申し出られる

預貯金口座への付番は、預貯金者が任意で金融機関にマイナンバーを届け出る制度です。口座の開設時などに金融機関から届出の意向を確認されますが、本人の届出なく付番されることはありません。

付番は金融機関の窓口のほか、2025年4月1日からはマイナポータルからも申し出られます。一部の金融機関を除き、預金保険機構を経由して、一度に複数の金融機関へ届け出ることもできます。

3.2 預貯金口座に付番しても、預金の残高が国に伝わることはない

デジタル庁は、マイナンバーの届出をきっかけに、金融機関が国に預貯金残高などを知らせることはないと説明しています。国が口座の情報を確認できるのは、従来どおり法令にもとづく資力調査や税務調査などの場合に限られます。

また、預貯金口座付番制度は、行政からのお金を受け取る口座を国に登録する公金受取口座登録制度とは別の制度です。公金受取口座を登録していても、それだけで預貯金口座に付番されることはありません。

口座管理法の相続時預貯金口座照会を使うと、亡くなった人が付番していた預貯金口座を、相続人が1つの金融機関の窓口からまとめて探せます。手数料は1件5060円で、結果は申込みから1か月程度で簡易書留で届きます。

付番を申し出た結果は、マイナポータルから申し出た場合はマイナポータルの「お知らせ」に届きます。金融機関から複数の金融機関へまとめて申し出た場合は、預金保険機構から付番結果通知書が郵送されます。

ここからは、銀行で承継の相談を受けてきた立場から、災害時の照会と、照会結果を受け取ったときに気をつけたい点を見ていきます。

和田 直子

相続の手続きでは、どの金融機関に口座があるかを確かめるところで時間がかかりがちです。照会の制度は、生前に付番しておいて初めて使えます。家族で一度、付番しているかどうかを話しておくと、いざというときの手間が変わります。