補聴器や車椅子、義肢・装具などの「補装具」は、身体障害者手帳を持つ人などが購入や修理をするとき、費用の大部分を市町村から補装具費として受け取れます。
厚生労働省が2026年1月30日に公表した「令和6年度福祉行政報告例」によると、令和6年度の補装具費の購入決定は14万9267件、修理決定は10万1787件でした。購入決定で最も多かったのは補聴器の4万7530件です。
この記事では、補装具費の種目別の件数と、所得に応じて決まる自己負担の上限を確認します。
1. 補装具費の購入決定は令和6年度に14万9267件、最も多いのは補聴器の4万7530件
補装具費支給制度は、障害者総合支援法にもとづいて市町村が実施しています。対象は補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等(政令で定める疾病に限る)で、18歳以上の身体障害者は、身体障害者福祉法で身体障害者手帳の交付を受けた人と定められています。
令和6年度の補装具費の購入決定は14万9267件で、令和5年度の15万1785件から2518件減りました。種目別では補聴器が最も多くなっています。
【補装具費の購入決定件数(令和6年度)】
- 補聴器:4万7530件
- 装具:3万9707件
- 車椅子:1万8468件
- 姿勢保持装置:9467件
- 視覚障害者安全つえ:9026件
- 眼鏡:6974件
- 義肢:4684件
- 歩行器:2731件
- 歩行補助つえ:2712件
- 電動車椅子:2670件
- 座位保持椅子:2471件
- 義眼:924件
- 起立保持具:768件
- 重度障害者用意思伝達装置:748件
- 頭部保持具:377件
- 排便補助具:10件
件数は身体障害者・身体障害児と難病患者等を合わせたもので、特例補装具としての支給も含みます。
1.1 補聴器・装具・車椅子の3種目で購入決定の70.8%
補聴器(4万7530件)、装具(3万9707件)、車椅子(1万8468件)を合わせると10万5705件で、購入決定全体の70.8%を占めます。補聴器だけで31.8%です。
1.2 電動車椅子の購入決定は2670件で、令和5年度から14.3%減った
令和5年度と比べた減り方が大きかったのは電動車椅子で、3114件から2670件へ444件減りました。補聴器は4万7408件から4万7530件へ122件増えています。
2. 補装具費の修理決定は10万1787件、人工内耳の修理は1434件で42.3%増
補装具費は購入だけでなく修理にも支給されます。令和6年度の修理決定は10万1787件で、令和5年度の10万1914件とほぼ同じ水準でした。
2.1 修理決定が最も多いのは車椅子の3万2940件
修理決定を種目別に見ると、車椅子が3万2940件、補聴器が2万1725件、装具が1万4752件、電動車椅子が1万2728件でした。電動車椅子は購入決定(2670件)より修理決定のほうが多くなっています。
2.2 人工内耳は修理のみが対象で、修理決定は2年で2倍超に
人工内耳は、補装具費の対象が修理(人工内耳用音声信号処理装置)に限られています。修理決定は令和4年度の679件から、令和5年度は1008件、令和6年度は1434件と増えました。
3. 補装具費の自己負担は原則1割、市町村民税課税世帯の上限は月3万7200円
補装具費の利用者負担は原則1割で、世帯の所得に応じて負担上限月額が決められています。市町村民税(住民税)が非課税の世帯は、上限が0円です。
3.1 生活保護世帯と市町村民税非課税世帯の負担上限月額は0円
負担上限月額は、生活保護世帯に属する人と市町村民税非課税世帯が0円、市町村民税課税世帯が3万7200円です。
- 生活保護(生活保護世帯に属する者):0円
- 低所得(市町村民税非課税世帯):0円
- 一般(市町村民税課税世帯):3万7200円
3.2 市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上なら支給対象外
ただし、障害者またはその配偶者のうち、市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合は、補装具費の支給対象外になります。
3.3 基準額50万円の補装具なら、1割の5万円ではなく上限の3万7200円に
補装具費は、厚生労働省の告示で種目ごとに決められた基準額から利用者負担額を差し引いた額です。市町村民税課税世帯が基準額20万円の補装具を購入する場合、1割の2万円が自己負担になります。
基準額50万円の補装具なら1割は5万円ですが、負担上限月額の3万7200円が自己負担になり、市町村から46万2800円が支給されます(いずれもLIMO編集部の試算)。
補装具費の購入決定は令和6年度に14万9267件で、補聴器が4万7530件と最も多くなりました。自己負担は原則1割で、市町村民税課税世帯でも負担上限月額は3万7200円、非課税世帯は0円です。
補装具費の申請先は、お住まいの市町村の障害福祉の窓口です。購入や修理をする前に申請し、身体障害者更生相談所などの判定や意見を受けて支給が決まる流れになっています。
ここからは、補装具費の支払いの流れと、買い替えや修理を見込んだ家計の備え方を整理します。
補装具は一度買えば終わりではなく、修理や買い替えが続く道具です。自己負担の上限が月額で決まっていることと、支払いの流れによっては全額をいったん立て替える場面があることを、早めに家族で共有しておくと安心だと思います。
