自治体の職員というと、役所の窓口で働く事務の職員を思い浮かべる人も多いでしょう。実際には、学校給食や清掃、庁舎の守衛など、現場の仕事を担う職員もいます。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」によると、こうした「技能労務職」の職員は令和7年4月1日時点で6万1790人でした。職種ごとに、平均の給与月額や期末手当・勤勉手当の額も公表されています。

この記事では、技能労務職の月収・ボーナス・年収の目安を職種別に並べ、最も高い職種と低い職種でいくら違うのかを確認します。

1. 地方公務員の技能労務職とは。全体の月収・ボーナス・年収の目安

まずは、地方公務員の技能労務職がどんな職員なのか、全体の給与の水準とあわせて見ていきましょう。

1.1 技能労務職は6万1790人、平均年齢は52.0歳

技能労務職は、地方公務員法に定める「単純な労務に雇用される者」にあたる職員です。総務省の調査では、清掃職員、学校給食員、守衛、用務員、自動車運転手、その他に分けて集計されています。

令和7年4月1日時点の職員数は6万1790人で、地方公務員全体の2.2%にあたります。平均年齢は52.0歳で、一般行政職の42.0歳より10歳高くなっています。

1.2 技能労務職全体の平均は月37万5384円、年収の目安は611万5487円

技能労務職全体の平均給与月額は37万5384円です。このうち給料月額が31万2143円、扶養手当や地域手当などの諸手当が6万3241円でした。

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、各自治体の条例にもとづいて6月と12月の年2回に分けて支給されます。たとえば埼玉県は、令和6年12月期の期末手当と勤勉手当を12月10日に支給しました。

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で161万879円です。給与月額の12か月分にボーナスを足して年収の目安を出すと、611万5487円になります。

同じ調査の一般行政職は、平均給与月額が41万3968円、期末手当と勤勉手当が170万2670円で、年収の目安は667万286円です。技能労務職全体とは55万4799円の差があります。

2. 地方公務員の技能労務職の月収・ボーナス・年収を職種別に見る

技能労務職の給与を職種別に分けると、月収とボーナスの水準には差があります。

地方公務員の技能労務職、職種別の年収の目安1/2

地方公務員の技能労務職のうち守衛・清掃職員・自動車運転手・用務員・学校給食員の年収の目安と平均年齢を、技能労務職全体と一般行政職と比べた横棒グラフ

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」を参考にLIMO編集部作成

【守衛(401人・平均54.5歳)】

  • 平均給与月額:40万6007円
  • 期末手当・勤勉手当:162万4582円
  • 年収の目安:649万6666円

【清掃職員(1万9729人・平均51.2歳)】

  • 平均給与月額:40万2159円
  • 期末手当・勤勉手当:166万2693円
  • 年収の目安:648万8601円

【自動車運転手(2992人・平均55.2歳)】

  • 平均給与月額:37万7705円
  • 期末手当・勤勉手当:155万7578円
  • 年収の目安:609万38円

【用務員(1万1344人・平均54.6歳)】

  • 平均給与月額:36万1400円
  • 期末手当・勤勉手当:159万4387円
  • 年収の目安:593万1187円

【学校給食員(8827人・平均51.6歳)】

  • 平均給与月額:35万5965円
  • 期末手当・勤勉手当:161万4064円
  • 年収の目安:588万5644円

年収の目安は、平均給与月額の12か月分に、期末手当と勤勉手当の年額を足して計算しています。期末手当と勤勉手当は支給された職員1人当たりの額なので、実際に受け取る額とは差が出ることがあります。

2.1 守衛と清掃職員は年収の目安が650万円前後

年収の目安が最も高いのは守衛の649万6666円で、清掃職員の648万8601円が続きます。2つの職種は、平均給与月額がどちらも40万円を超えています。

ただし、守衛は401人と人数が少なく、技能労務職の1%に届きません。人数が最も多いのは清掃職員の1万9729人で、技能労務職の約3割を占めています。

2.2 学校給食員と用務員は590万円前後

年収の目安が最も低いのは学校給食員の588万5644円で、用務員の593万1187円が続きます。どちらも平均給与月額は36万円前後です。

3. 技能労務職の職種別の年収、最も高い守衛と学校給食員の差は61万1022円

技能労務職のなかで年収の目安が最も高い守衛と、最も低い学校給食員の差は61万1022円です。差がどこから生まれているのかを、給与の内訳で確認します。

3.1 給料月額はほぼ同じで、差の大半は毎月の手当

手当を除いた給料月額は、守衛が31万5691円、学校給食員が31万6442円で、学校給食員のほうが751円高くなっています。

一方で、諸手当は守衛が9万316円、学校給食員が3万9523円で、5万793円の差があります。期末手当と勤勉手当の差は1万518円にとどまるため、年収の差の大半は毎月の手当の違いから生まれていることになります。

4. 技能労務職の年収に差が生まれるのは諸手当の違い

技能労務職の職種別の給料月額は、どれも31万円前後にそろっています。年収の差を広げているのは、職種によって付き方が違う諸手当です。

4.1 清掃職員は特殊勤務手当と地域手当が多い

清掃職員の諸手当は8万8990円で、学校給食員の3万9523円の2倍以上です。主な内訳を比べると、次のとおりです。

  • 地域手当:清掃職員3万3492円、学校給食員2万1999円
  • 特殊勤務手当:清掃職員1万1053円、学校給食員54円
  • 時間外勤務手当:清掃職員7621円、学校給食員2800円

特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務など、特殊な勤務に従事した職員に支給される手当です。ごみの収集や処理にあたる清掃職員には支給額が大きく、学校給食員にはほとんど付いていません。

守衛は時間外勤務手当が1万9521円で、学校給食員の2800円を大きく上回ります。時間外勤務手当が最も多いのは自動車運転手の2万7462円でした。

地方公務員の技能労務職の年収の目安は、守衛と清掃職員が650万円前後、学校給食員と用務員が590万円前後でした。給料月額はどの職種も31万円前後で、差を生んでいるのは特殊勤務手当や時間外勤務手当などの諸手当です。

自治体ごとの技能労務職の給与は、各自治体が公表している「給与・定員管理等について」の資料で確かめられます。

ここからは、技能労務職の年収の目安を、民間で近い仕事をしている人の賃金と比べてみます。

太田 彩子

自治体には、窓口や事務の職員のほかに、学校給食や清掃の現場で働く職員もいます。同じ自治体の職員でも、職種によって手当の付き方が違う点は、給与を比べるときに押さえておきたいところです。