10月は、厚生労働省が「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン月間」と定めている月です。市区町村のがん検診には自己負担金がかかるものがありますが、住民税非課税世帯なら無料で受けられる市区町村もあります。
例えば千葉県柏市では、市民税非課税世帯の人が「成人健診等自己負担金免除証」を検診会場で出すと、胃がんや大腸がんなどの検診費用が免除されます。50〜69歳が胃内視鏡検査を受けると通常2800円かかりますが、この自己負担もかかりません。
この記事では、住民税非課税世帯の判定基準を確認したうえで、柏市を例に、がん検診の自己負担金が免除される条件と手続きを見ていきます。
1. 住民税非課税世帯とは「世帯全員の住民税の均等割と所得割がかからない世帯」
住民税は、所得に関係なく定額でかかる「均等割」と、所得に応じてかかる「所得割」の2つでできています。住民税非課税世帯とは、世帯の全員について、この2つがどちらもかからない世帯のことです。
1.1 住民税が非課税になる基準は3つある
柏市の案内では、令和8年度に均等割も所得割もかからない人として、次のいずれかに当てはまる人を挙げています。
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親に当てはまる人で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与の収入額では204万4000円未満)の人
- 前年中の合計所得金額が、市区町村の基準で計算した額以下の人
1.2 柏市は2級地
3つ目の基準は、生活保護の級地区分に準じて市区町村ごとに決まっています。柏市は2級地で、「31万5000円×(本人と同一生計配偶者、扶養親族の合計人数)+10万円」に、扶養親族等がいる場合は18万9000円を加えた額が基準です。
【柏市で均等割がかからない合計所得金額の上限(令和8年度)】
- 本人のみ:41万5000円(給与収入のみなら106万5000円)
- 扶養1人:91万9000円(給与収入のみなら156万9000円)
- 扶養2人:123万4000円(給与収入のみなら188万4000円)
1級地や3級地の市区町村では基準額が違うため、住んでいる市区町村の案内で確かめる必要があります。
2. 住民税非課税世帯が使える制度は医療・介護・教育・保育にまたがる
住民税非課税世帯に当てはまると、国の制度でも負担が軽くなるものがあります。主なものは次のとおりです。
- 高額療養費:医療費の自己負担限度額が低い区分になる
- 入院時の食事代:1食あたりの標準負担額が低い額になる
- 介護保険料:65歳以上の保険料段階が低い段階になる
- 高等教育の修学支援新制度:大学などの授業料等減免と給付型奨学金の対象になる
- 保育料:0歳から2歳児クラスの保育料が無償になる
このほか、市区町村が独自に負担を軽くしている制度もあります。がん検診の自己負担金の免除も、その1つです。
3. 柏市のがん検診は、市民税非課税世帯なら自己負担金が免除される
がん検診は、市区町村が健康増進事業として実施しているものです。柏市では、市民税非課税世帯の人は成人健診等自己負担金免除証を出すことで、対象のがん検診がすべて無料になります。
3.1 柏市で免除の対象になるのは胃がん・大腸がん・結核・肺がん・乳がん・子宮頸がん・骨粗しょう症
柏市の案内によると、市民税非課税世帯(申請日時点で世帯員全員が非課税)の人は、胃がん、大腸がん、結核・肺がん、乳がん、子宮頸がん、骨粗しょう症の検診が無料になり、費用のかかる検診はありません。
【柏市のがん検診の通常の自己負担金(令和8年度・年齢は令和9年3月31日時点)】
- 胃がん(胃内視鏡・個別検診):50〜69歳2800円、70歳以上2000円
- 胃がん(胃エックス線・集団検診):50〜69歳1300円、70歳以上無料
- 大腸がん:40〜69歳は個別検診300円・集団検診200円、70歳以上無料
- 結核・肺がん:40〜64歳300円、65歳以上無料
- 乳がん(集団検診):30歳代の超音波検査600円、40歳代のマンモグラフィ検査1200円、50〜69歳600円、70歳以上無料
- 乳がん(個別検診):40〜49歳1500円、50〜69歳1000円、70歳以上無料
- 子宮頸がん:20〜69歳は個別検診1200円・集団検診700円、70歳以上無料
胃内視鏡検査、乳がん検診、子宮頸がん検診はいずれも2年に1回の検診です。
3.2 柏市の成人健診等自己負担金免除証は、受診の14日前までに申請する
免除を受けるには、事前に成人健診等自己負担金免除証の交付を受ける必要があります。柏市は、免除証を必ず受診の14日前までに申請するよう案内しています。
- 申請書を記入する(柏市のホームページから印刷するか、健康増進課の窓口で記入)
- 申請書を柏市役所健康増進課(ウェルネス柏)へ提出する
- 申請書の到着後、10日前後を目安に免除証が普通郵便で届く
- 受診当日、検診会場で免除証を提出する
検診会場で免除証を提出できない場合は、費用の免除は受けられません。
3.3 生活保護を受けている人や65〜69歳で後期高齢者医療制度の被保険者
柏市では、生活保護を受けている人、中国残留邦人等支援給付を受けている人、65〜69歳で後期高齢者医療制度の被保険者の人も、免除証の対象です。ただし無料になるのは大腸がん、乳がん、子宮頸がん、胃がん(集団検診)で、胃内視鏡検査は減額、骨粗しょう症検査は費用免除の対象外です。
70歳以上の人(令和9年3月31日時点)は、事前の手続きなしで多くの検診が無料になります。ただし、医療機関で受ける胃がん検診と骨粗しょう症検査は、70歳以上でも免除を受けるには手続きが必要です。
3.4 がん検診を過去1年間に受けた割合
厚生労働省が2026年7月15日に公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、過去1年間に肺がん検診を受けた40〜69歳の割合は男性55.2%、女性49.5%でした。胃がん検診は男性48.8%、女性38.3%、大腸がん検診は男性50.9%、女性46.2%です。
過去2年間では、胃がん検診(50〜69歳)が男性55.9%、女性46.5%、子宮頸がん検診(20〜69歳)が46.1%、乳がん検診(40〜69歳)が51.0%でした。同調査は、いずれのがん検診も受診した人の割合は上昇傾向としています。
柏市では、市民税非課税世帯の人は免除証を出せば、胃内視鏡検査の2800円をはじめ、がん検診の自己負担金がかかりません。免除証は受診の14日前までに申請し、受診当日に検診会場へ持参します。
がん検診の自己負担金の扱いは市区町村ごとに決まっています。住んでいる市区町村のがん検診の案内か、健康づくりを担当する課で、住民税非課税世帯の扱いを確かめられます。
ここからは、国民健康保険などが行う健診とがん検診の違いと、非課税の確認で戸惑いやすい点を、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料を計算していた元公務員の立場から見ていきます。
がん検診の免除は、申請しておかないと受診当日に使えない仕組みです。世帯全員が非課税かどうかは、市区町村が持っている課税情報で判定されるので、まず手続きの期限を確かめるところから始めてみてください。
