「働いたら、障害年金が受け取れなくなるのでは」という不安を抱えている人は少なくありません。

日本年金機構が収入による支給制限として案内しているのは、20歳前の傷病による障害基礎年金です。

厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」でも、障害者雇用制度や就労継続支援A型・B型で働いている場合は、1級または2級の可能性を検討するとされています。

この記事では、働き方が障害年金の認定でどう見られるのかを、公的な資料をもとに整理します。

20歳前の傷病の所得制限や、税金・被扶養者の注意点もあわせて確認していきましょう。

1. 障害年金は「働くと受け取れない」わけではない|まず押さえたい基本

働きながらの受給を考える前に、障害年金の種類と、受け取るための条件を整理しておきましょう。

1.1 障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類

障害年金には、初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師などの診療を受けた日)に加入していた年金制度に応じて、障害基礎年金と障害厚生年金があります。

初診日に国民年金に加入していた人などは障害基礎年金、厚生年金の被保険者だった人は障害厚生年金の対象です。

障害基礎年金の対象は1級と2級で、障害厚生年金は、1級と2級に加えて3級もあります。

2026年度(令和8年度)の障害基礎年金の年金額は、昭和31年4月2日以後に生まれた人で、1級が105万9125円、2級が84万7300円です。

これに、18歳到達後の最初の3月31日までの子などがいる場合は、子の加算額がつきます。

1.2 受給には「3つの要件」を満たす必要がある

日本年金機構によると、障害年金を受け取るには、次の3つの要件を満たす必要があります。

1つ目は、初診日が、国民年金や厚生年金の加入期間中などにあることです。

2つ目は、障害認定日(原則として初診日から1年6カ月を経過した日など)に、障害の状態が1級から3級(障害基礎年金は1級・2級)に該当することです。

3つ目は、初診日の前日の時点で、保険料の納付要件を満たしていることです。

具体的には、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料を納付、または免除されている必要があります。

なお、初診日が2036年(令和18年)3月末日までで65歳未満の場合は、直近1年間に保険料の未納がなければ、この要件を満たすとされています。

20歳前の傷病による障害基礎年金は、保険料の納付要件は問われません。

要件のどこにも、「働いていないこと」は含まれていません。

1.3 等級の目安には「労働」という言葉が出てくる

日本年金機構は、障害の状態の目安を、等級ごとに次のように案内しています。

1級は、他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない程度です。

2級は、日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度とされています。

3級は、労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度です。

こうした定義を見ると、「働けている人は対象外では」と心配になるかもしれません。

しかし、実際の認定では、働いているかどうかだけでなく、障害の状態や日常生活の状況が総合的に見られます。

次のページでは、障害年金の種類別の違いと、働き方が認定でどう見られるのかを確認します。

2. 種類別にみる「働く」ときの違い|収入で止まるのは20歳前の傷病だけ

障害年金の種類ごとに、働いて収入があるときの扱いを一覧にすると、次のようになります。

障害厚生年金と、20歳以降に初診日がある障害基礎年金には、働いて収入があることを理由にした支給制限は定められていません。

一方、20歳前の傷病による障害基礎年金は、前年の所得に応じて、年金の全部または一部が支給停止になる場合があります。

なお、障害年金は、所得税・復興特別所得税の課税対象ではありません。