病院や診療所の窓口で受け取る明細書に、見慣れない加算の名前が載っていることがあります。マイナ保険証に関わる加算は、2026年6月1日に施行された診療報酬改定で入れ替わりました。
厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」によると、「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」は廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されました。初診時の点数は15点・9点・4点の3区分です。
この記事では、廃止された2つの加算と新しい加算の点数を並べ、窓口負担の割合ごとにいくらに当たるかを計算します。
1. 2026年6月の診療報酬改定で、医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算は廃止された
まず、2026年5月まで医療機関の窓口で算定されていた、マイナ保険証に関わる2つの加算を確認します。
1.1 医療情報取得加算は初診時1点、再診時は3か月に1回1点だった
医療情報取得加算の点数は、初診時が1点、再診時が3か月に1回に限り1点でした。
薬局でも、調剤時に12か月に1回に限り1点が算定されていました。
1.2 医療DX推進体制整備加算は、医科の初診時に8点から12点の6区分
医療DX推進体制整備加算は、医療機関の体制に応じて6つの区分に分かれていました。医科の初診時の点数は、加算1の12点から加算6の8点までです。
厚生労働省の資料によると、医療DX関連施策の進捗等を踏まえ、マイナ保険証の利用や電子処方箋などに関する新たな評価に切り替えるというのが、2つの加算を廃止した理由です。
2. 新設の電子的診療情報連携体制整備加算は初診時15点・9点・4点、3割負担なら45円・27円・12円
2026年6月から算定が始まった電子的診療情報連携体制整備加算は、初診時に月1回に限り加わる点数です。医療機関の体制によって、加算1から加算3のいずれかになります。
2.1 1点は10円。窓口負担3割の人なら、加算1は45円、加算3は12円
診療報酬の点数は1点10円で計算します。初診時の加算1の15点は150円で、窓口負担が3割の人は45円、2割の人は30円、1割の人は15円に当たります。
加算2の9点は3割負担で27円、加算3の4点は12円です。窓口で払う額はその日の医療費全体で計算するため、加算分だけを切り出した金額は目安になります。
2.2 再診時の電子的診療情報連携体制整備加算は月1回2点
再診時にも、月1回に限り2点が加わります。窓口負担3割なら6円です。
廃止された医療情報取得加算は、再診時が3か月に1回1点でした。3か月続けて同じ医療機関に通う場合で比べると、医療情報取得加算は1点(3割負担で3円)、電子的診療情報連携体制整備加算は6点(同18円)です。
3. 電子的診療情報連携体制整備加算の要件には「マイナ保険証利用率30%以上」がある
電子的診療情報連携体制整備加算は、医療機関の体制に対する評価です。加算3を含むすべての区分で、マイナ保険証の利用率が30%以上であることが求められます。
3.1 加算3の施設基準は、オンライン資格確認や明細書の無償交付など7項目
厚生労働省の資料では、加算3の施設基準として次の7項目をすべて満たすことが挙げられています。
- オンライン請求を行っている
- 診療報酬明細書を患者に無償で交付している
- オンライン資格確認を行う体制がある
- オンライン資格確認等システムで取得した診療情報を、診察室などで閲覧・活用できる
- マイナ保険証利用率が30%以上
- マイナポータルの医療情報等にもとづき、患者からの健康管理の相談に応じる体制がある
- 明細書の発行や医療DX推進の体制などを、院内の見やすい場所とウェブサイトに掲載している
3.2 加算1・加算2は、電子処方箋や電子カルテの体制が加わる
加算2は、7項目に加えて、電子処方箋を発行する体制、一定の要件を満たす電子カルテ、電子カルテ情報共有サービスや地域の医療情報ネットワークを活用する体制のうち、いずれかを満たす医療機関です。
加算1は、この3つをすべて満たす医療機関です。
マイナ保険証に関わる初診時の加算は、2026年6月から電子的診療情報連携体制整備加算の15点・9点・4点になりました。窓口負担3割なら、加算分は45円・27円・12円です。
医療DX推進の体制は、院内の見やすい場所とウェブサイトへの掲載が要件の1つです。実際に算定された加算は、窓口で無償交付される明細書の項目で確かめられます。
ここからは、薬局と入院で変わった加算と、初診料・再診料の改定を見ていきます。
加算の区分は医療機関の体制で決まるため、同じ内容の初診でも、受診先によって窓口の金額が数十円違うことがあります。
明細書をすぐに捨てず、どの加算が算定されたかを一度見ておくと、医療費の内訳がつかみやすくなるように思います。
