1. 国家公務員の超過勤務手当は「勤務1時間当たりの給与額」×支給割合で決まる
国家公務員にも、民間の残業代にあたる「超過勤務手当」があります。人事院が2026年8月に公表した「国家公務員の超過勤務の実態(令和7年)」では、令和7年の平均年間超過勤務時間数は224時間で、前年より4時間増えました。
超過勤務手当の額は、一般職の職員の給与に関する法律(給与法)と人事院規則で計算方法が決まっています。ここでは、条文に沿って計算の仕組みを確認し、行政職俸給表(一)の平均的な給与で1時間あたりの額を試算します。
1.1 勤務1時間当たりの給与額
給与法第19条は、勤務1時間当たりの給与額を、俸給の月額と、これに対する地域手当・広域異動手当・研究員調整手当の月額の合計に12をかけ、1週間当たりの勤務時間に52をかけた数で割った額と定めています。
- (俸給+地域手当等)×12÷(38時間45分×52)
国家公務員の1週間当たりの勤務時間は、休憩時間を除いて38時間45分です。
つまり、1年分の俸給と地域手当等を、1年間の勤務時間(38時間45分×52週=2015時間)で割った額が、超過勤務手当の計算の土台になります。扶養手当や住居手当、通勤手当は、この計算に入りません。
1.2 支給割合は原則125%、週休日などは135%
超過勤務手当は、勤務1時間当たりの給与額に支給割合をかけた額を、超過勤務をした全時間について支給します。人事院規則九―九七によると、正規の勤務時間が割り振られた日の超過勤務は100分の125、それ以外の日(週休日など)の勤務は100分の135です。
超過勤務が午後10時から翌日の午前5時までの深夜にかかる場合は、それぞれの割合に100分の25が加わります。正規の勤務日なら100分の150、週休日などなら100分の160になる計算です。
1.3 1か月60時間を超えた部分は150%に上がる
1か月の超過勤務が60時間を超えた場合、その超えた時間については支給割合が100分の150(深夜は100分の175)になります。長時間の超過勤務ほど、1時間あたりの手当が高くなる仕組みです。
なお、指定職俸給表の適用を受ける職員と、管理監督職員等には、超過勤務手当の規定は適用されません(給与法第19条の8)。
2. 行政職俸給表(一)の平均で試算する超過勤務手当の額
計算の仕組みが分かったところで、実際の金額に当てはめてみます。人事院「令和8年国家公務員給与等実態調査」の行政職俸給表(一)の平均(令和8年4月1日現在)を使って、LIMO編集部で1時間あたりの超過勤務手当を試算しました。
勤務の区分と時間帯ごとの支給割合と、1時間あたりの超過勤務手当の試算額1/2
出所:e-Gov法令検索「一般職の職員の給与に関する法律」、e-Gov法令検索「人事院規則九―九七(超過勤務手当)」、人事院「令和8年国家公務員給与等実態調査報告書」を参考にLIMO編集部作成
【1時間あたりの超過勤務手当(試算)】
- 正規の勤務時間が割り振られた日(125%):2889円
- 正規の勤務時間が割り振られた日の深夜(150%):3467円
- 週休日など(135%):3120円
- 週休日などの深夜(160%):3698円
- 1か月60時間を超えた部分(150%):3467円
- 1か月60時間を超えた部分の深夜(175%):4045円
2.1 俸給と地域手当等が月38万8090円なら、1時間当たりの給与額は約2311円
令和8年国家公務員給与等実態調査によると、行政職俸給表(一)の平均は、俸給が34万2178円、地域手当等が4万5912円で、合計は38万8090円です。12か月分の465万7080円を2015時間で割ると、勤務1時間当たりの給与額は約2311円になります。
これに支給割合をかけると、正規の勤務日の超過勤務は1時間あたり2889円です。週休日などの勤務なら3120円、深夜にかかれば3467円になります。
2.2 月20時間なら5万7780円、上限の45時間なら13万5円
正規の勤務日に月20時間の超過勤務をした場合、2889円×20時間で、超過勤務手当は5万7780円です。原則の上限にあたる月45時間なら、13万5円になります。
月70時間の場合は、60時間分が2889円、残りの10時間分が3467円で計算され、合計は20万8010円です。ここで示した額は平均的な給与をもとにした目安で、実際の額は一人ひとりの俸給や地域手当の支給割合によって変わります。
国家公務員の超過勤務手当は、勤務1時間当たりの給与額に原則125%をかけて計算し、行政職俸給表(一)の平均なら1時間あたり2889円が目安です。自分の場合は、給与明細の俸給と地域手当の額を合計し、12をかけて2015で割ると、1時間当たりの給与額を確かめられます。
ここで取り上げたのは国家公務員の制度で、地方公務員の手当はそれぞれの自治体の条例で定められています。地方公務員の方は、勤務先の給与規程や人事担当の部署で、計算の基礎になる額や割合を確かめてみてください。
