同じ市役所の職員でも、勤める市によって年収はどれくらい違うのでしょうか。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」には、令和7年4月1日現在の給料と手当が、全国の市区町村ごとに載っています。指定都市を除く772市について、一般行政職の月収とボーナスから年収を試算すると、最も高い東京都小平市は776万6600円、最も低い鹿児島県阿久根市は543万7500円でした。

この記事では、772市の上位10市と下位10市を並べ、年収の差がどの手当から生まれているのかを確認します。

1. 市役所の一般行政職の年収は、772市の平均で658万1511円

まず、772市の一般行政職全体の月収とボーナスを確認します。一般行政職は、税務や福祉、教育などの専門の職種を除いた、事務や技術の仕事をする職員です。

1.1 月収40万8453円、ボーナス168万75円

令和7年4月1日現在、772市の一般行政職の平均給与月額は40万8453円でした。このうち給料は32万8439円で、残りは地域手当や時間外勤務手当などの手当です。

ボーナスにあたる期末手当と勤勉手当は、年額で168万75円でした。内訳は期末手当が91万1617円、勤勉手当が76万8458円です。

1.2 年収は「月収×12か月+ボーナス」で試算した

この調査には、年収という項目はありません。この記事では、月収の12か月分にボーナスを足して年収を試算しました。

772市の平均では、40万8453円の12か月分にあたる490万1436円と、ボーナスの168万75円を足した658万1511円になります。

月収には時間外勤務手当(残業代)も含まれます。また、月収は職員1人当たりの平均、ボーナスは支給された職員1人当たりの平均で、寒冷地手当は含めていません。

2. 市役所の一般行政職の年収、トップは東京都小平市の776万6600円

次に、772市を年収の試算額が高い順に並べます。上位は東京都と神奈川県、兵庫県、愛知県の市が占め、下位には青森県や鹿児島県、北海道の市が並びました。

市役所の一般行政職の年収(試算)は、上位10市がいずれも740万円を超え、下位10市は560万円台以下でした1/2

指定都市を除く全国772市の一般行政職の年収の試算額を、上位10市と下位10市に分けて示した横棒グラフ。1位は東京都小平市の776万6600円、772位は鹿児島県阿久根市の543万7500円

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」をもとにLIMO編集部作成

2.1 年収の上位10市

年収の試算額が高い10市と、それぞれの月収・ボーナスは次のとおりです。

  • 1位 東京都小平市:月収48万2200円/ボーナス198万200円/年収776万6600円
  • 2位 東京都武蔵野市:月収47万5200円/ボーナス195万700円/年収765万3100円
  • 3位 東京都小金井市:月収47万1700円/ボーナス199万400円/年収765万800円
  • 4位 神奈川県厚木市:月収47万8400円/ボーナス190万3400円/年収764万4200円
  • 5位 東京都三鷹市:月収47万2800円/ボーナス196万8500円/年収764万2100円
  • 6位 兵庫県芦屋市:月収47万7300円/ボーナス190万7500円/年収763万5100円
  • 7位 神奈川県平塚市:月収47万6700円/ボーナス189万2100円/年収761万2500円
  • 8位 愛知県豊田市:月収47万5000円/ボーナス185万7400円/年収755万7400円
  • 9位 東京都国立市:月収46万4300円/ボーナス196万8300円/年収753万9900円
  • 10位 兵庫県西宮市:月収45万6900円/ボーナス194万3400円/年収742万6200円

2.2 年収の下位10市

年収の試算額が低い10市は、次のとおりです。

  • 763位 北海道夕張市:月収35万5200円/ボーナス140万2300円/年収566万4700円
  • 764位 新潟県五泉市:月収35万500円/ボーナス144万5600円/年収565万1600円
  • 765位 青森県五所川原市:月収34万6900円/ボーナス148万6800円/年収564万9600円
  • 766位 高知県室戸市:月収34万9800円/ボーナス143万8700円/年収563万6300円
  • 767位 青森県つがる市:月収34万3600円/ボーナス150万9900円/年収563万3100円
  • 768位 北海道歌志内市:月収35万2300円/ボーナス140万5200円/年収563万2800円
  • 769位 鹿児島県垂水市:月収34万3300円/ボーナス150万3800円/年収562万3400円
  • 770位 青森県黒石市:月収34万5300円/ボーナス142万7000円/年収557万600円
  • 771位 青森県平川市:月収33万7300円/ボーナス148万1800円/年収552万9400円
  • 772位 鹿児島県阿久根市:月収33万5100円/ボーナス141万6300円/年収543万7500円

3. 小平市と阿久根市の年収の差は232万9100円

772市のなかで最も高い小平市と最も低い阿久根市の年収を、月収とボーナスに分けて比べます。

3.1 差の約4分の3は月収の側で生まれている

小平市の月収は48万2200円、阿久根市は33万5100円で、差は月14万7100円です。12か月分では176万5200円になります。

ボーナスは小平市が198万200円、阿久根市が141万6300円で、差は56万3900円でした。年収の差232万9100円のうち、176万5200円が月収の側から生まれています。

小平市と阿久根市の月収の差14万7100円のうち、地域手当が5万7600円を占めています2/2

東京都小平市と鹿児島県阿久根市の一般行政職について、給料・地域手当・時間外勤務手当・管理職手当などの月額と、期末手当・勤勉手当、年収の試算額を並べた表。年収の差は232万9100円

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」をもとにLIMO編集部作成

【東京都小平市(一般行政職)】

  • 給料:33万8600円
  • 地域手当:5万7600円
  • 時間外勤務手当:5万5000円
  • 管理職手当:1万3700円
  • 扶養・通勤・その他の手当:1万7300円
  • 期末手当・勤勉手当(年額):198万200円

【鹿児島県阿久根市(一般行政職)】

  • 給料:29万5500円
  • 地域手当:0円
  • 時間外勤務手当:1万7700円
  • 管理職手当:3700円
  • 扶養・通勤・その他の手当:1万8200円
  • 期末手当・勤勉手当(年額):141万6300円

4. 市役所の年収の差を広げているのは地域手当

月収の差14万7100円を手当の種類ごとに見ると、いちばん大きいのは地域手当の5万7600円でした。給料の差4万3100円よりも大きくなっています。

4.1 地域手当は下位10市のほとんどで支給されていない

地域手当は、民間の賃金が高い地域で働く職員に支給される手当です。小平市は月5万7600円、上位10市はいずれも5万円を超えていました。

一方、下位10市の地域手当は、阿久根市や平川市など8市が0円で、残る2市も月800円以下でした。地域手当だけで、小平市と阿久根市には12か月分で69万1200円の差がつきます。

4.2 給料の差は月4万3100円、時間外勤務手当の差は月3万7300円

地域手当の次に大きいのは、給料の差の月4万3100円です。平均年齢は小平市が41.1歳、阿久根市が38.9歳で、職員の年齢構成の違いも給料の差に表れています。

時間外勤務手当は、小平市が月5万5000円、阿久根市が1万7700円でした。差の3万7300円は、12か月分にすると44万7600円になります。

4.3 ボーナスの差にも地域手当が関わる

国家公務員の場合、期末手当の額を計算する基礎には、俸給や扶養手当などに加えて、それらに対する地域手当の月額も含まれます(一般職の職員の給与に関する法律)。地方公務員の期末手当と勤勉手当は、各団体の条例で定められています。

772市の一般行政職の年収を試算すると、平均は658万1511円で、最も高い小平市と最も低い阿久根市の差は232万9100円でした。

差の多くは、地域手当と時間外勤務手当から生まれています。自分の住む市の給料や手当の水準は、各市が毎年公表している「給与・定員管理等について」で確かめられます。

ここからは、人事院が2026年9月30日に公表した「民間企業の勤務条件制度等調査」から、民間企業の定年と継続雇用、役職定年の状況を見たうえで、地方公務員の60歳以降の働き方と比べます。

中本 智恵

同じ市役所の一般行政職でも、地域手当の有無で月収が5万円以上変わることがあります。転居をともなう転職や、家族の勤務先を前提に住宅ローンを考えるときは、手当を含めた月収だけでなく、給料の額もあわせて確かめておくと安心です。