生活保護を受けている世帯というと、高齢の方のひとり暮らしを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際には、障害や病気を抱える世帯も少なくありません。

厚生労働省が令和8年9月2日に公表した「被保護者調査(令和8年6月分概数)」によると、保護停止中を除く163万4108世帯のうち、障害者・傷病者世帯は41万6933世帯で25.5%でした。

この記事では、生活保護を受けている世帯の世帯類型別の内訳と、障害のある人が使う障害福祉サービスや自立支援医療の自己負担が、生活保護世帯ではいくらになるかを確認します。

1. 生活保護を受けている世帯の55.3%は高齢者世帯、障害者・傷病者世帯は25.5%

被保護者調査によると、令和8年6月に生活保護を受けていた世帯は、保護停止中を含めて164万2778世帯でした。前年同月より2424世帯少なくなっています。

生活保護を受けていた人は196万9502人で、前年同月から1万8995人減りました。

1.1 世帯類型別の割合は、保護停止中を除く163万4108世帯が分母

世帯類型別の数は、保護停止中の世帯を除いて集計されています。総数163万4108世帯を世帯類型別に分けると、次のとおりです。

保護停止中を除く被保護世帯163万4108世帯のうち、高齢者の単身世帯が51.7%、障害者・傷病者世帯が25.5%を占めています1/2

被保護者調査(令和8年6月分概数)による生活保護を受けている世帯の世帯類型別の割合を示した横棒グラフ。分母は保護停止中を除く163万4108世帯。高齢者世帯(単身)51.7%、高齢者世帯(2人以上)3.6%、障害者・傷病者世帯25.5%、その他の世帯15.8%、母子世帯3.4%

出所:厚生労働省「被保護者調査(令和8年6月分概数)」をもとにLIMO編集部作成

【世帯類型別の世帯数と割合(総数163万4108世帯・保護停止中を除く)】

  • 高齢者世帯:90万3532世帯(55.3%)
  • うち単身世帯:84万4730世帯(51.7%)
  • うち2人以上の世帯:5万8802世帯(3.6%)
  • 母子世帯:5万4953世帯(3.4%)
  • 障害者・傷病者世帯:41万6933世帯(25.5%)
  • その他の世帯:25万8690世帯(15.8%)

1.2 高齢者の単身世帯は84万4730世帯、高齢者世帯の93.5%を占める

高齢者世帯の90万3532世帯のうち、単身世帯は84万4730世帯でした。高齢者世帯を分母にすると93.5%、保護停止中を除く被保護世帯全体を分母にすると51.7%です。

この51.7%は「高齢者の単身世帯」の割合です。高齢者世帯以外にも単身の世帯はありますが、この集計ではそれぞれの世帯類型に含まれています。

1.3 障害者・傷病者世帯は前年同月から4281世帯増えた

障害者・傷病者世帯は41万6933世帯で、前年同月の41万2652世帯から4281世帯(1.0%)増えました。

同じ期間に、高齢者世帯は1006世帯、母子世帯は3761世帯、その他の世帯は1778世帯減りました。高齢者世帯のうち単身世帯は1533世帯増えていますが、2人以上の世帯が2539世帯減ったため、高齢者世帯全体では減少です。

2. 生活保護の保護費は、最低生活費から収入を引いた差額で決まる

生活保護の保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費と、世帯の収入を比べて決まります。収入が最低生活費に届かない場合に、その差額が保護費として支給されます。

2.1 生活保護の扶助は8種類、医療扶助と介護扶助は本人負担なし

扶助には、生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助の8種類があります。医療扶助と介護扶助は、費用が医療機関や介護事業者に直接支払われるため、本人の負担はありません。

2.2 ほかの制度で受けられる給付は、生活保護より先に活用する

生活保護を受けるには、資産や働く能力に加えて、ほかの制度で受けられる給付をまず活用することが前提です。障害のある人の場合は、障害福祉サービスや自立支援医療といった制度との関係も確かめておく必要があります。

3. 障害福祉サービスの利用者負担、生活保護世帯の負担上限月額は0円

障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスには、所得に応じて1か月あたりの利用者負担の上限が決められています。ひと月に利用したサービスの量にかかわらず、上限を超える負担は生じません。

3.1 障害福祉サービスの負担上限月額は4つの区分で0円から3万7200円

障害福祉サービスと、障害のある人の医療費の自己負担を軽くする自立支援医療について、所得区分ごとの負担上限月額を並べました。

障害福祉サービスと自立支援医療のどちらも、生活保護世帯の負担上限月額は0円です2/2

障害福祉サービスと自立支援医療の所得区分別の負担上限月額の表。障害福祉サービスは生活保護0円、低所得(市町村民税非課税世帯)0円、一般1(市町村民税課税世帯で所得割16万円未満)9300円、一般2は3万7200円。自立支援医療は生活保護0円、低所得1が2500円、低所得2が5000円

出所:厚生労働省「障害者の利用者負担」、厚生労働省「自立支援医療等における利用者負担区分の見直しについて」をもとにLIMO編集部作成

【障害福祉サービスの負担上限月額】

  • 生活保護(生活保護受給世帯):0円
  • 低所得(市町村民税非課税世帯):0円
  • 一般1(市町村民税課税世帯で所得割16万円未満):9300円
  • 一般2(上記以外):3万7200円

一般1からは、20歳以上の入所施設利用者とグループホーム利用者が除かれており、これらの人は一般2の区分になります。

3.2 自立支援医療の自己負担上限月額も、生活保護世帯は0円

自立支援医療は、精神通院医療・更生医療・育成医療の医療費の自己負担を軽くする制度です。生活保護世帯の自己負担上限月額は0円です。

  • 生活保護世帯:0円
  • 低所得1(市町村民税非課税世帯のうち、本人などの年収が一定以下):2500円
  • 低所得2(市町村民税非課税世帯で、低所得1を除く):5000円

生活保護を受けている世帯の25.5%は障害者・傷病者世帯で、障害福祉サービスと自立支援医療の負担上限月額は、生活保護世帯ではどちらも0円です。障害福祉サービスは住民税非課税世帯でも0円、課税世帯は9300円か3万7200円が上限になります。

障害福祉サービスの利用者負担の区分は、サービスの支給決定を受けるときに市区町村が決めます。自分の区分は、市区町村から交付される受給者証で確かめられます。

ここからは、所得区分を判断する「世帯」の範囲や、自己負担のために生活保護が必要になる場合の扱いを、金融機関で家族のお金の相談を受けてきた立場から見ていきます。

和田 直子

障害のある家族がいると、生活費とは別に、サービスや通院の費用が毎月かかります。それぞれの制度で月の上限がいくらになるかを一度書き出しておくと、家計全体で毎月いくら必要かが見えやすくなります。